StudyMed医師国家試験

入口は横長、出口は縦長―児頭の「回り方」から見抜く第2回旋の異常

第113回医師国家試験 A問題 第10問

国試問題にチャレンジ

第113回 A問題 第10問

経腟分娩における第2回旋の異常はどれか。2つ選べ。

  1. a.額位
  2. b.横位
  3. c.高在縦定位
  4. d.後方後頭位
  5. e.低在横定位

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、経腟分娩の第2回旋の異常を2つ選ぶ問題だ。選択肢にはいろいろな「位」や「定位」が並んでいるけれど、それぞれが分娩のどの段階の異常なのかを分類できれば迷わない。まず、正常の回旋の流れを確認しよう。第1回旋から第4回旋まで、それぞれ何をしているか言えるかな。
医学生医学生
第1回旋が屈曲、第2回旋が内回旋、第3回旋が伸展、第4回旋が外回旋……と語呂で覚えましたが、中身は少しあやしいです。
ドクタードクター
順番は合っているよ。中身を骨盤の形と一緒に理解しよう。第1回旋では児頭があごを胸につけるように屈曲して小泉門が先進し、最も小さい周囲径で産道に入る。骨盤入口部は横に長い楕円なので、矢状縫合は横径か斜径に一致して進入するんだ。
医学生医学生
そこから第2回旋で、児頭が回るんですよね。
ドクタードクター
そう。骨盤出口部は逆に前後に長い形をしている。だから児頭は骨盤内を下降しながら縦軸の周りを回って、後頭部が母体の前方、つまり恥骨側を向き、矢状縫合が前後径に一致する。これが第2回旋、内回旋だ。「入口は横長、出口は縦長」に合わせて向きを変えると考えればいい。
医学生医学生
なるほど。じゃあ第2回旋の異常は「うまく回れない」ことですね。
ドクタードクター
その通り。うまく回れないパターンは大きく2つある。1つは逆方向に回ってしまう場合、もう1つはそもそも回らない場合だ。逆方向に回ると、後頭部はどちらを向くかな。
医学生医学生
後頭部が母体の後ろ、仙骨側を向くので……後方後頭位ですか。
ドクタードクター
正解。後方後頭位は第1回旋の屈曲は正常にできているのに、第2回旋で後頭部が後方に回って、小泉門が後ろにある状態で下降する。前方後頭位より少し大きい周囲径で通過するから、分娩第2期が遷延しやすく、会陰裂傷も起こりやすい。多くは経腟分娩できるけれど、分娩停止なら吸引・鉗子分娩や帝王切開を考える。
医学生医学生
もう1つの「回らない」ほうが低在横定位ですね。矢状縫合が横向きのまま、低いところまで降りてきてしまう。
ドクタードクター
そう。入口部は横向きで正常に入ったのに、回旋しないまま骨盤底近くまで下降して止まる。縦長の出口を横向きでは通れないから分娩が停止するわけだ。原因には微弱陣痛、扁平骨盤、児頭の屈曲不良などがあり、用手回旋や吸引・鉗子分娩、だめなら帝王切開で対応する。
医学生医学生
名前が似ている高在縦定位も、向きの異常なので第2回旋の仲間かと思いました。
ドクタードクター
そこが一番のひっかけだね。高在縦定位は、骨盤入口部に入る段階で矢状縫合が前後径、つまり縦向きのまま高い位置にとどまって下降できない状態だ。横長の入口に縦向きで入ろうとしてつかえている。骨盤の中で回る前の、入口部での進入の異常なんだ。教科書によっては扱いが異なることもあるけれど、本問では第2回旋の異常には含めない。
医学生医学生
「高在」は入口で縦、「低在」は出口近くで横、と高さと向きをセットで覚えるとよさそうです。
ドクタードクター
いい整理だ。では額位はどうだろう。
医学生医学生
産婦人科の講義で反屈位として習いました。屈曲がうまくいかない異常なので、第1回旋の異常ですね。
ドクタードクター
その通り。屈曲すべきところを逆に反り返ってしまうのが反屈位で、前頭位、額位、顔位の順に反屈が強くなる。額位では最大の大斜径周囲で進入することになり、正期産の通常の大きさの児では経腟分娩は困難で、多くは帝王切開になる。横位はどう分類する?
医学生医学生
胎児が子宮の中で横に寝ている状態なので、回旋以前の胎位の異常です。ポリクリで、破水すると臍帯脱出が怖いと教わりました。
ドクタードクター
よく覚えているね。横位では児頭が骨盤に進入しないから回旋がそもそも始まらない。正期産では帝王切開の適応で、臍帯や上肢の脱出に注意が必要だ。まとめると、胎位の異常が横位、第1回旋の異常が額位、入口部での進入の異常が高在縦定位、第2回旋の異常が後方後頭位と低在横定位になる。
医学生医学生
実際の分娩では、回旋の状態をどうやって確認するんですか。
ドクタードクター
内診で矢状縫合の向きと、小泉門・大泉門の位置を触れて判断する。三角形の小泉門が後頭側、菱形の大泉門が前頭側だ。分娩の進みが悪いとき、児頭の下降度とあわせて矢状縫合の向きと小泉門の位置を確認すると、どの段階でつまずいているのかが見えてくる。OSCEや実習で内診所見を言葉にする練習をしておくと、こうした問題も臨床の感覚で解けるようになるよ。

まとめ

正常の経腟分娩では、児頭は屈曲(第1回旋)、内回旋(第2回旋)、伸展(第3回旋)、外回旋(第4回旋)の順に回旋し、横長の骨盤入口部から縦長の骨盤出口部へ向きを変えながら通過します。第2回旋の異常は、後頭部が逆に仙骨側へ回る後方後頭位と、回旋しないまま矢状縫合が横向きで骨盤底近くまで下降して停止する低在横定位です。額位などの反屈位は第1回旋の異常、横位は胎位の異常、高在縦定位は骨盤入口部での進入の異常として区別します。後方後頭位では分娩第2期の遷延や会陰裂傷、低在横定位では分娩停止が問題となり、吸引・鉗子分娩や帝王切開が考慮されます。骨盤の形と矢状縫合・小泉門の位置を結びつけて理解することは、内診所見から分娩の進行を判断する臨床の基本になります。

解答・解説

正解はd, eです

正常な胎児の回旋(頭位・前方後頭位)

経腟分娩では、児頭は狭く曲がった産道を通るために、決まった順序で4つの回旋を行う。 ・第1回旋(屈曲): 骨盤入口部で児頭があごを胸につけるように前屈し、小泉門(後頭部)が先進する。これにより児頭は最も小さい周囲径(小斜径周囲)で産道を通過できる。 ・第2回旋(内回旋): 骨盤入口部では横に長い形に合わせて矢状縫合は横径(または斜径)に一致して進入する。骨盤内を下降しながら児頭は縦軸の周りに回り、後頭部が母体の前方(恥骨側)を向き、骨盤出口部では矢状縫合が前後径に一致する。 ・第3回旋(伸展): 後頭部が恥骨下縁を支点として、児頭が反屈しながら娩出される。 ・第4回旋(外回旋): 児頭娩出後、肩甲が骨盤出口の前後径に一致するように回るのに伴い、児の顔が母体の大腿内側を向く。

第2回旋の異常とは

第2回旋に問題があると、後頭部が前方に向かない状態で分娩が進まなくなる。代表的なものが次の2つである。 (1) 回旋の方向が逆になる: 後頭部が母体の後方(仙骨側)に回ってしまう → 後方後頭位 (2) 回旋が起こらない: 矢状縫合が横向きのまま骨盤底まで下降して停止する → 低在横定位

考え方

選択肢を「胎位の異常(胎児の縦軸と子宮の縦軸の関係)」「第1回旋の異常(屈曲の異常=反屈位)」「骨盤入口部での進入の異常」「第2回旋の異常」に分類すると整理しやすい。この分類に従うと、第2回旋の異常は後方後頭位と低在横定位である。

選択肢考察

  1. ×a.  額位

    額位は、第1回旋で児頭が屈曲するべきところを、逆に反り返ってしまう反屈位の一つで、額(前頭部)が先進部となる。反屈の程度により、前頭位(大泉門が先進)<額位<顔位(顔面が先進)の順に強くなる。額位では児頭は最も大きい周囲径(大斜径周囲)で産道に進入することになるため、正期産の通常の大きさの胎児では経腟分娩は困難で、多くは帝王切開となる。第1回旋の異常であり、第2回旋の異常ではない。

  2. ×b.  横位

    横位は、胎児の縦軸が子宮(母体)の縦軸と直角に交わる状態であり、胎位の異常に分類される。胎児が子宮内で横たわっているため児頭が骨盤に進入せず、回旋そのものが始まらない。正期産の横位では経腟分娩は不可能であり、帝王切開の適応である。破水時に臍帯脱出や上肢の脱出を起こしやすい点にも注意する。回旋の異常ではない。

  3. ×c.  高在縦定位

    高在縦定位は、児頭が骨盤入口部に進入する段階で、本来は骨盤入口の横径(または斜径)に一致すべき矢状縫合が、前後径に一致した(縦向きの)まま高い位置にとどまり、下降できなくなった状態である。骨盤入口部は横に長い楕円形であるため、縦向きでは進入しにくい。骨盤入口部での児頭の進入(嵌入)の異常であり、骨盤内で起こる第2回旋の異常には該当しない。経腟分娩は困難で、帝王切開となることが多い。

  4. ○d.  後方後頭位

    後方後頭位は、第1回旋(屈曲)は正常に行われたものの、第2回旋で後頭部が母体の前方ではなく後方(仙骨側)に向かって回旋し、小泉門が後方に位置したまま下降する状態である。第2回旋の方向が逆になった異常であり、正しい。児頭は前方後頭位よりもやや大きい周囲径で産道を通過するため、分娩第2期が遷延しやすく、会陰の裂傷も起こりやすい。多くは経腟分娩が可能だが、分娩停止に至れば吸引・鉗子分娩や帝王切開を考慮する。

  5. ○e.  低在横定位

    低在横定位は、児頭が骨盤入口部では正常どおり矢状縫合を横径に一致させて進入したが、その後の第2回旋が起こらないまま骨盤底近く(低い位置)まで下降し、矢状縫合が骨盤の横径に一致した状態で分娩が停止したものである。骨盤出口部は前後に長い形をしているため、横向きのままでは通過できない。第2回旋が起こらない異常であり、正しい。原因として微弱陣痛、扁平骨盤、児頭の屈曲不良などがある。用手的回旋や吸引・鉗子分娩、分娩停止時には帝王切開で対応する。

骨盤の形と児頭の向き

・骨盤入口部: 横径が最も長い(横長の楕円)→ 矢状縫合は横径(または斜径)に一致して進入する ・骨盤濶部: 斜径が長い → 児頭は回旋しながら下降する ・骨盤出口部: 前後径が最も長い(縦長)→ 矢状縫合は前後径に一致して通過する この「入口は横長・出口は縦長」という形の変化に合わせることが、第2回旋(内回旋)の意味である。

分娩時の胎児の異常の整理

・胎位の異常: 骨盤位(殿位・足位・膝位)、横位、斜位 ・胎勢の異常(第1回旋の異常=反屈位): 前頭位、額位、顔位 ・骨盤入口部での進入の異常: 高在縦定位、不正軸進入(前頭頂骨進入・後頭頂骨進入) ・第2回旋の異常: 後方後頭位、低在横定位

児頭の周囲径と先進部(目安)

・前方後頭位(正常): 小斜径周囲で通過し、最も有利 ・後方後頭位: 前後径周囲に近く、やや不利 ・前頭位: 前後径周囲 ・額位: 大斜径周囲で最大となり、経腟分娩は困難 ・顔位: 気管支前頂径周囲。おとがい前方位であれば経腟分娩可能なことがある

用語

矢状縫合: 左右の頭頂骨の間の縫合。小泉門(後頭側、三角形)と大泉門(前頭側、菱形)をつなぐ。内診で矢状縫合の向きと小泉門の位置を触れることで、回旋の状態を判断する。

POINT

・正常の回旋は、第1回旋(屈曲)→ 第2回旋(内回旋)→ 第3回旋(伸展)→ 第4回旋(外回旋)の順である。 ・第2回旋の異常は「逆方向に回る」後方後頭位と、「回らずに降りて止まる」低在横定位である。 ・額位・顔位などの反屈位は第1回旋の異常、横位は胎位の異常、高在縦定位は骨盤入口部での進入の異常である。 ・骨盤は入口部で横長、出口部で縦長であり、矢状縫合の向きはそれに合わせて変わる。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。