「病院」の名がつくものは医療法―地域包括支援センターの根拠法を見抜く
第112回医師国家試験 F問題 第3問
国試問題にチャレンジ
医療法に規定されていないのはどれか。
- a.特定機能病院
- b.地域医療支援病院
- c.臨床研究中核病院
- d.地域包括支援センター
- e.医療安全支援センター
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
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ドクター
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ドクターまとめ
医療法は病院・診療所・助産所の定義や開設・管理、医療計画、医療安全の確保などを定める法律で、特定の役割を担う病院類型として特定機能病院(厚生労働大臣承認、高度医療)、地域医療支援病院(都道府県知事承認、かかりつけ医支援)、臨床研究中核病院(厚生労働大臣承認、臨床研究・医師主導治験の中核)を規定しています。医療安全支援センターも医療法に基づき、都道府県・保健所設置市・特別区が設置する相談窓口です。一方、地域包括支援センターは介護保険法に基づいて市町村が設置し、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員が高齢者の総合相談や権利擁護、介護予防ケアマネジメントを担います。名称に「病院」を含む類型は医療法、「地域包括」は介護保険法と結びつけると判別しやすく、根拠法の整理は医療と介護の連携を理解する土台にもなります。
解答・解説
正解はdです
医療法は、病院・診療所・助産所などの医療提供施設の開設や管理、医療計画、医療安全の確保などを定める法律である。本問は、選択肢の施設や機関の根拠法がどれかを問うている。 医療法は、一般の病院とは別に、特定の役割を担う病院の類型を設けている。人員配置・構造設備・病床数などの承認要件を満たせば、その病院は固有の名称を名乗ることができる。特定機能病院、地域医療支援病院、臨床研究中核病院の3つがこれにあたる。また、医療安全の確保は医療法の柱の一つであり、医療安全支援センターも医療法に設置の根拠がある。 一方、地域包括支援センターは介護保険制度の中核機関で、根拠法は介護保険法である。したがって、医療法に規定されていないのは地域包括支援センターである。 解き方のヒントとして、医療法は20床以上の入院施設を持つ医療機関を「病院」と定義している。そのため、名称に「病院」が含まれる類型は医療法に定められていると推測できる。残りの2つのうち、「医療安全」は医療法、「地域包括」は介護保険法と結びつけて覚えればよい。
選択肢考察
- ×a. 特定機能病院
医療法に規定されている。1992年の第二次医療法改正で制度化された。高度な医療の提供、高度な医療技術の開発・評価、高度な医療に関する研修を担う病院で、厚生労働大臣が個別に承認する。主な要件は、400床以上の病床、定められた数以上の診療科、紹介患者中心の診療、手厚い人員配置などである。大学病院本院の多くと、国立がん研究センター中央病院などのナショナルセンターが承認を受けている。
- ×b. 地域医療支援病院
医療法に規定されている。1997年の第三次医療法改正で制度化され、都道府県知事が個別に承認する。かかりつけ医などの地域の医療機関を支援する病院であり、次のような機能が求められる。紹介患者への医療提供(一定以上の紹介率・逆紹介率)、医療機器や病床の共同利用、救急医療の提供、地域の医療従事者への研修。病床数は原則200床以上が要件である。
- ×c. 臨床研究中核病院
医療法に規定されている。2014年の医療法改正で創設され、2015年4月に施行された。日本発の革新的な医薬品・医療機器の開発を進めるため、質の高い臨床研究や医師主導治験の中心となる病院であり、厚生労働大臣が承認する。他の医療機関が行う臨床研究への支援も役割に含まれる。名称に「病院」を含む医療法上の類型の一つと覚えておくとよい。
- ○d. 地域包括支援センター
医療法ではなく、介護保険法に規定される機関である。2005年の介護保険法改正で創設され、2006年から市町村(または市町村から委託を受けた法人)が設置している。保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)が配置され、地域の高齢者の暮らしを医療・介護・福祉の面から総合的に支える。主な業務は次の4つである。①総合相談支援、②権利擁護(高齢者虐待への対応、成年後見制度の活用支援など)、③包括的・継続的ケアマネジメント支援、④介護予防ケアマネジメント。医療法に規定されていないので、本問の正解である。
- ×e. 医療安全支援センター
医療法に規定されている。2003年頃から各地で設置が進み、2006年の第五次医療法改正で法律上に位置づけられた。都道府県、保健所を設置する市、特別区が設置する。主な業務は、患者・住民からの医療に関する苦情や相談への対応、医療機関・患者・住民への助言や情報提供、医療安全に関する研修などである。医療機関と患者の間に立つ中立的な窓口として、医療への信頼確保をめざしている。
医療法に規定される病院の類型
・特定機能病院:厚生労働大臣が承認。高度医療の提供・開発・研修を担う。400床以上。1992年(第二次改正) ・地域医療支援病院:都道府県知事が承認。紹介患者への医療、共同利用、救急医療、研修を担い、かかりつけ医を支援する。原則200床以上。1997年(第三次改正) ・臨床研究中核病院:厚生労働大臣が承認。臨床研究・医師主導治験の中核となる。2015年施行
医療法の主な内容
・病院(20床以上)、診療所(19床以下または無床)、助産所の定義と、開設・管理のルール ・医療計画(都道府県が策定。5疾病・6事業および在宅医療、二次医療圏・三次医療圏、基準病床数など)。6事業目の「新興感染症発生・まん延時の医療」は2024年度からの第8次医療計画で加わった ・医療安全の確保(医療安全支援センター、医療事故調査制度など) ・医療に関する情報提供、広告規制
介護保険法に規定される主な機関
・地域包括支援センター(市町村が設置) ・介護老人保健施設、介護医療院(いずれも介護保険法上の施設。医療法上は医療提供施設として扱われる) ・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム。設置の根拠は老人福祉法)
POINT
・地域包括支援センターは介護保険法に基づいて市町村が設置する。医療法の機関ではない。 ・特定機能病院、地域医療支援病院、臨床研究中核病院は、いずれも医療法上の病院類型である。 ・承認者は、特定機能病院と臨床研究中核病院が厚生労働大臣、地域医療支援病院が都道府県知事である。 ・医療安全支援センターは医療法に基づき、都道府県・保健所設置市・特別区が設置する。 ・地域包括支援センターの3職種は、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員である。
