思春期のゴールはどこにある?―女子の二次性徴を「順番」で理解する
第112回医師国家試験 C問題 第6問
国試問題にチャレンジ
女子の二次性徴のうち最も遅れてみられるのはどれか。
- a.初経
- b.子宮発育
- c.恥毛発生
- d.乳房発育
- e.全身の骨端線閉鎖
対話形式の解説
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ドクターまとめ
女子の二次性徴は、GnRH分泌の開始に続く卵巣からのエストロゲン産生などによって進み、おおむね乳房発育(約10歳)→恥毛発生→成長スパート→初経(平均12歳台)の順に現れ、子宮も思春期の開始とほぼ同時期から発育します。初経後も身長は数cm程度伸び続け、エストロゲンの作用で全身の骨端線が閉鎖する15〜16歳ころに成長が止まり、これが思春期の最終段階となります。エストロゲンは成長スパートと骨端線閉鎖の両方に関わるため、思春期早発症では一時的に背が伸びても最終身長が低くなりやすい点が臨床上重要です。男子では精巣容量の増大が最初の徴候で、思春期の開始は女子より約2年遅れます。二次性徴の順序をホルモンの働きと結びつけて理解しておくことは、成長曲線の評価や早発症・遅発症の判断の基礎になります。
解答・解説
正解はeです
思春期には視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の律動的分泌が始まり、下垂体から黄体形成ホルモン(LH)・卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、卵巣が成熟してエストロゲンを産生するようになる。このエストロゲンと副腎・卵巣由来のアンドロゲンの作用によって、女子では一定の順序で二次性徴が現れる。 日本人女子の一般的な順序は、乳房発育(乳房発育開始、thelarche:おおむね10歳前後)→ 恥毛発生(pubarche:11歳前後)→ 身長の急伸(成長スパート)→ 初経(menarche:平均12歳台)であり、その後エストロゲンの作用で骨端線(成長軟骨板)が閉鎖して身長の伸びが止まり、思春期が完了する(15〜16歳ころ)。 したがって選択肢の中で最も遅く起こるのは全身の骨端線閉鎖である。細かい年齢を覚えていなくても、骨端線閉鎖は成長の終わり=思春期の最終段階であると理解していれば正答できる。
選択肢考察
- ×a. 初経
初経は乳房発育・恥毛発生に続いて起こり、日本人女子の平均初経年齢は12歳台である。身長の伸びのピーク(最大成長速度)を過ぎた後に来ることが多く、初経後も身長はしばらく伸び続ける(数cm程度)。骨端線閉鎖はその後に起こるため、初経は最も遅い現象ではない。
- ×b. 子宮発育
子宮は思春期の開始とともにエストロゲンの作用で増大し、体部が頸部より大きい成人型の形態へ変化していく。乳房発育とほぼ同時期から進む変化であり、初経の前提となるものなので、骨端線閉鎖より早い。また子宮発育は外見から判断できないため、タナー分類などの外表上の二次性徴の評価には通常含めない。
- ×c. 恥毛発生
恥毛発生は主に副腎・卵巣由来のアンドロゲンの作用によるもので、乳房発育に続いて11歳前後に現れることが多い(乳房発育と前後することもある)。腋毛は恥毛よりやや遅れて生える。いずれも初経・骨端線閉鎖より早い。
- ×d. 乳房発育
乳房発育(乳房の芽生え、タナー分類2度)はエストロゲンの作用による変化で、女子の二次性徴の中で最初に現れる徴候である。日本人女子では10歳前後に始まることが多い。したがって最も早い徴候であり、最も遅いものではない。
- ○e. 全身の骨端線閉鎖
長管骨の骨端線(成長軟骨板)は、思春期のエストロゲンの作用によって成長スパートを起こしたのち、やがて閉鎖する。骨端線が閉鎖すると縦方向の骨成長は終わり、身長の伸びが止まる。女子では初経後数年、15〜16歳ころに全身の骨端線が閉鎖し、これが思春期の終了を示す。したがって選択肢の中で最も遅く起こる現象である。
女子の二次性徴の順序(目安)
乳房発育(約10歳)→ 恥毛発生(約11歳)→ 成長スパート(身長の最大成長速度)→ 腋毛発生 → 初経(平均12歳台)→ 骨端線閉鎖・身長の伸びの停止(15〜16歳ころ) 個人差が大きく、年齢はあくまで目安である。
男子との比較
男子では精巣容量の増大(4mL以上)が最初の徴候で、その後に陰茎増大、恥毛発生、成長スパート、変声、腋毛・ひげの発生と続く。男子の思春期は女子より約2年遅れて始まり、成長スパートも遅い。
タナー(Tanner)分類
乳房と恥毛(男子では外性器と恥毛)の発達を1〜5度に分けて評価する方法である。1度が思春期前、5度が成人型である。
思春期早発症・遅発症の目安(女子)
7歳6か月未満で乳房発育、8歳未満で陰毛発生、10歳6か月未満で初経がみられる場合は思春期早発症を疑う。思春期早発症ではエストロゲンが早期に作用して骨端線が早く閉鎖するため、最終身長が低くなりやすい。逆に、13歳になっても乳房発育がない、あるいは15歳(または18歳)までに初経がないなどの場合は思春期遅発症や原発性無月経として精査を考える。
POINT
・女子の二次性徴は「乳房発育 → 恥毛発生 → 初経」の順に起こり、最初の徴候は乳房発育である。 ・骨端線閉鎖は身長の伸びの停止を意味し、思春期の最終段階(女子では15〜16歳ころ)である。 ・骨端線閉鎖を促すのはエストロゲンであり、思春期早発症では最終身長が低くなりやすい。 ・男子の最初の徴候は精巣容量の増大である。
