「誰が・何の法律で・どう決める?」―二次医療圏を3つの問いで整理する
第112回医師国家試験 C問題 第15問
国試問題にチャレンジ
二次医療圏について正しいのはどれか。
- a.都道府県が定める。
- b.特定機能病院を設置する。
- c.ドクターヘリを配備する。
- d.地域保健法によって規定される。
- e.人口30万人を基準として設定される。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
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医学生
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ドクターまとめ
二次医療圏は、医療法に基づいて都道府県が策定する医療計画の中で設定される地域的単位で、入院を主とする一般的な医療を完結させる圏域です。一律の人口基準はなく、地理的条件や交通事情、患者の受療動向などを考慮して定められ、一般病床・療養病床の基準病床数はこの単位で算定されます。特定機能病院は厚生労働大臣が承認する全国80余りの病院で、二次医療圏ごとの整備が求められるのは都道府県知事が承認する地域医療支援病院です。また、地域保健法は保健所などを定める法律で、医療圏の根拠法ではありません。「誰が・何の法律で・どんな基準で」という視点で整理すると、医療計画全体の仕組みや地域医療連携の理解にもつながります。
解答・解説
正解はaです
本問は医療計画制度における「二次医療圏」の基本事項を問う問題である。
医療圏とは
医療圏は、医療資源(病院・病床・医療従事者など)を地域ごとに適切に配置し、住民が必要な医療を受けられる体制を整えるための地域的な単位である。根拠法は医療法で、都道府県が医療法第30条の4に基づいて策定する「医療計画」の中で定められる。 ・一次医療圏:日常的な外来診療やかかりつけ医による医療を提供する単位で、おおむね市町村単位とされる(医療法上の明文の規定はない)。 ・二次医療圏:入院を主とする一般的な医療を完結させる単位。複数の市町村で構成され、一般病床・療養病床の基準病床数はこの単位で算定される。 ・三次医療圏:高度・特殊な医療を提供する単位で、原則として都道府県の区域(北海道は面積が広いため複数に分けられている)。
解き方
二次医療圏は「誰が」「何の法律で」「どのような基準で」定めるかを整理しておけばよい。定めるのは都道府県、根拠法は医療法、設定の際は人口規模に加えて地理的条件・交通事情・患者の受療動向などを総合的に考慮し、一律の人口基準はない。特定機能病院やドクターヘリは二次医療圏ごとに配置されるものではない。
選択肢考察
- ○a. 都道府県が定める。
正しい。都道府県は、医療法に基づいて医療計画を策定し、その中で病院・診療所の病床の整備を図る地域的単位として二次医療圏および三次医療圏を設定する。国(厚生労働省)は医療計画作成のための基本方針や指針を示すが、具体的な区域の線引きは各都道府県が地域の実情に合わせて行う。
- ×b. 特定機能病院を設置する。
誤り。特定機能病院は、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発・評価、高度の医療に関する研修を行う能力を備えた病院として、厚生労働大臣が個別に承認するものである(医療法第4条の2)。大学病院本院や国立がん研究センター中央病院などが該当し、全国でも80余りにとどまるため、二次医療圏ごとに置かれるわけではない。二次医療圏の単位で整備が求められる病院としては、むしろ地域医療支援病院(都道府県知事が承認し、紹介患者への医療提供やかかりつけ医の支援を担う)が挙げられる。
- ×c. ドクターヘリを配備する。
誤り。ドクターヘリ(救急医療用ヘリコプター)は、医師・看護師が搭乗して救急現場へ向かい、早期に治療を開始するためのもので、主に救命救急センターを基地病院として配備され、都道府県単位(または複数県の広域連携)で運用される。二次医療圏ごとに配備することが定められているわけではない。
- ×d. 地域保健法によって規定される。
誤り。二次医療圏を含む医療圏は、医療法に基づく医療計画の中で定められる。地域保健法は、保健所や市町村保健センターの設置・業務など、地域における公衆衛生活動の基盤を定めた法律であり、医療圏の設定とは関係しない。なお、保健所の所管区域は二次医療圏などを参考に設定されるよう配慮することとされており、両者が混同されやすい点に注意する。
- ×e. 人口30万人を基準として設定される。
誤り。二次医療圏の設定に一律の人口要件はない。地理的条件、日常生活の需要の充足状況、交通事情、患者の受療動向などを考慮して設定されるため、その人口は数万人から数百万人までと大きな差がある。なお、国の指針では、人口規模が小さく(20万人未満)、入院患者の流入が少なく流出が多い二次医療圏については、設定の見直しを検討するよう求めているが、これは「30万人を基準に設定する」という意味ではない。
医療計画(医療法第30条の4)
都道府県が、地域の実情に応じて医療提供体制の確保を図るために策定する計画である。主な記載事項は次のとおり。 ・二次医療圏・三次医療圏の設定 ・基準病床数の算定(一般病床・療養病床は二次医療圏ごと、精神病床・結核病床・感染症病床は都道府県単位) ・5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)と6事業(救急医療、災害時における医療、新興感染症発生・まん延時における医療、へき地医療、周産期医療、小児医療〈小児救急を含む〉)および在宅医療に関する目標や医療連携体制 ・地域医療構想(2025年に向けた病床機能の分化・連携の構想) ・医療従事者の確保、医療の安全確保など 計画期間は6年で、在宅医療など一部の事項は3年ごとに中間見直しを行う。
医療圏の整理
・一次医療圏:市町村単位が目安。日常的な医療・保健サービス。 ・二次医療圏:複数の市町村からなる。入院医療を完結させる単位。全国で300余り。 ・三次医療圏:原則として都道府県単位(北海道のみ複数)。先進的・特殊な医療(臓器移植、高度救命救急、特殊な診断・治療など)を担う。
承認病院の区別
・特定機能病院:厚生労働大臣が承認。高度医療の提供・開発・研修。 ・地域医療支援病院:都道府県知事が承認。紹介患者への医療、医療機器の共同利用、地域の医療従事者の研修、救急医療の提供など。 ・臨床研究中核病院:厚生労働大臣が承認。質の高い臨床研究の中心的役割。
POINT
・医療圏は医療法に基づく医療計画の中で都道府県が定める(地域保健法ではない)。 ・二次医療圏は入院医療を完結させる単位で、一般・療養病床の基準病床数の算定単位。 ・二次医療圏の設定に一律の人口基準はない。 ・特定機能病院は厚生労働大臣、地域医療支援病院は都道府県知事が承認する。
