StudyMed医師国家試験

最後に一番高く、一番急な線―高齢化率グラフから日本を見抜く

第111回医師国家試験 B問題 第13問

国試問題にチャレンジ

第111回 B問題 第13問

 1990年から2014年までの日本,韓国,アメリカ,イタリア及びスウェーデンにおける65歳以上の人口比率の推移を示す。  日本はどれか。

第111回 B問題 第13問の問題画像
  1. a.①
  2. b.②
  3. c.③
  4. d.④
  5. e.⑤

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、5か国の65歳以上人口割合、つまり高齢化率の推移グラフから日本を当てる問題だ。こうしたグラフ問題では、最終年の水準と、上昇の傾きの2点に注目すると国を同定しやすい。まず、日本の高齢化率についてどんなイメージを持っているかな。
医学生医学生
公衆衛生の講義で、日本は世界一の高齢化率だと習いました。なので2014年時点で一番上にある線だと思います。
ドクタードクター
いい出発点だね。2014年の日本の高齢化率は26.0%で、世界で最も高い水準だ。もう一つの特徴は、上昇のスピードが際立って速いこと。グラフでは、1990年には約12%と5か国の中で中位なのに、急な傾きで上昇して2005年前後に他のすべての国を追い越し、2014年には約26%に達している線がある。
医学生医学生
1990年の時点では日本より高い国があったんですね。てっきり昔からずっと一番だと思っていました。
ドクタードクター
そこが引っかけポイントだ。1990年頃はスウェーデンなど欧州のほうが高齢化は進んでいた。日本はそこから一気に追い抜いたんだ。だから「最終的に最も高い」と「傾きが最も急」の2つを兼ね備えた、最初に挙げた線が日本で、これが正解になる。
医学生医学生
では1990年に一番高かった約18%の線がスウェーデンですか。
ドクタードクター
その通り。スウェーデンは早くから高齢化が進んだ国の一つだけど、出生率が比較的高く保たれてきたことなどから、その後20年ほどはほぼ横ばいで、2010年前後から緩やかに上昇して約20%になっている。
医学生医学生
約15%から着実に上がって約21%になった線は、もう一つの欧州の国、イタリアですね。
ドクタードクター
正解。イタリアは欧州の中でも出生率が低く、日本に次ぐ高齢化率の高さで知られている。残りの2本はどうかな。
医学生医学生
12〜13%前後でほとんど横ばいの線と、約5%から一貫して上がって約13%になった線ですね。最初は横ばいのほうが韓国かと思いましたが……。
ドクタードクター
そこは逆なんだ。アメリカは先進国の中では出生率が比較的高く、若年層を中心とした移民の流入も多いので、高齢化率が長く横ばいだった。2010年頃からベビーブーム世代が65歳に達し始めて、緩やかに上昇に転じている。
医学生医学生
なるほど。韓国は急激な少子化で、出発点は低いけれど急上昇している線ということですね。
ドクタードクター
そう。韓国は平均寿命の延伸と急激な少子化で、上昇の速さは日本と同等以上だ。今後は日本と同水準かそれ以上に高齢化が進むと予測されているけれど、このグラフの期間内ではまだ最も低い。
医学生医学生
CBTの勉強で高齢化社会、高齢社会、超高齢社会という用語が出てきましたが、基準を混同しがちです。
ドクタードクター
高齢化率が7%超で高齢化社会、14%超で高齢社会、21%超で超高齢社会と呼ぶ。7の倍数で覚えるといい。日本は1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超えた。
医学生医学生
7%から14%になるまでの年数を倍加年数というんでしたよね。
ドクタードクター
そう、高齢化の速さの指標だ。日本は1970年から1994年の24年で、フランスの100年以上、スウェーデンの80年以上と比べて著しく短い。韓国など東アジアの一部の国は、日本よりもさらに短い倍加年数で高齢化が進んでいるんだ。
医学生医学生
日本で2010年代前半に上昇が加速したのは、団塊の世代の影響ですか。
ドクタードクター
その通り。第1次ベビーブーム世代が2012〜2014年に65歳に到達したことで加速した。背景には世界最高水準の平均寿命と、人口置換水準の約2.07を大きく下回る合計特殊出生率の長期的な低迷がある。高齢化率はその後も上昇を続け、2020年代には約29%に達している。医療・介護の需要や社会保障の設計を考えるうえで、医師にとっても欠かせない知識だよ。

まとめ

高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)の国際比較グラフでは、最終年の水準と上昇の傾きの2点から国を同定します。日本は1990年には欧州諸国より低かったものの急速に上昇し、2000年代半ばに他国を追い越して2014年には26.0%と世界最高水準に達しました。早くから高齢化したスウェーデンやイタリアは高い水準で推移し、出生率と移民の影響で高齢化が緩やかなアメリカは横ばい、急激な少子化が進む韓国は低い水準から急上昇という特徴があります。あわせて、7%・14%・21%を区切りとする高齢化社会・高齢社会・超高齢社会の用語や、日本の倍加年数が24年と短いことも押さえておきましょう。人口の高齢化を国際的な視点で理解することは、医療・介護・社会保障の課題を考える土台になります。

解答・解説

正解はaです

テーマ

65歳以上人口が総人口に占める割合(高齢化率)の国際比較である。グラフを読む際は、(1) 最終年(2014年)の水準、(2) 1990年からの上昇の速さ(傾き)、の2点に注目すると各国を同定できる。

グラフの読み取り

・①:1990年に約12%と5か国中で中位だが、急峻に上昇し、2005年前後に他のすべての国を追い越して2014年には約26%に達している。 ・②:1990年に約15%、2014年に約21%と、比較的高い水準から着実に上昇している。 ・③:1990年に約18%と当時最も高く、2000年代前半まではほぼ横ばい、その後緩やかに上昇して約20%となっている。 ・④:12〜13%前後でほぼ横ばいが続き、2010年頃から緩やかに上昇して約14%となっている。 ・⑤:1990年には約5%と最も低いが、一貫して上昇を続け、2014年には約13%に達している。

考え方

日本は2014年時点で高齢化率が約26%と世界で最も高く、しかも1990年代以降の上昇速度が欧米諸国に比べて際立って速い。「最終的に最も高い」「傾きが最も急」という2つの特徴を併せ持つのは①であり、これが日本である。残りは、早くから高齢化が進んだ欧州2か国(イタリア・スウェーデン)が高い水準、移民の流入や比較的高い出生率により高齢化が緩やかなアメリカが中位で横ばい、出発点は低いが急速に高齢化が進む韓国が最下位から急上昇、という特徴で割り当てられる。

選択肢考察

  1. ○a.  ①

    1990年の約12%から2014年の約26%へと、24年間で2倍以上に急上昇し、2000年代半ばに欧州諸国を抜いて5か国中最高となっている。2014年の日本の高齢化率は26.0%であり、急速な高齢化と世界最高水準という日本の特徴に一致する。

  2. ×b.  ②

    イタリアである。1990年時点ですでに約15%と高く、その後も一定のペースで上昇して2014年には約21%に達している。イタリアは欧州でも出生率が低く、日本に次ぐ高齢化率の高さで知られる国である。

  3. ×c.  ③

    スウェーデンである。高齢化が最も早く進んだ国の一つで、1990年の時点では5か国中最高の約18%であった。しかし出生率が比較的高く保たれてきたことなどから、その後20年ほどはほぼ横ばいで推移し、2010年前後から緩やかに上昇して約20%となっている。

  4. ×d.  ④

    アメリカである。先進国の中では出生率が比較的高く、若年層を中心とした移民の流入も多いため、高齢化率は12〜13%前後で長く横ばいであった。2010年頃からベビーブーム世代が65歳に達し始めたことで、緩やかな上昇に転じている。

  5. ×e.  ⑤

    韓国である。1990年には約5%と5か国中で最も低いが、急激な少子化と平均寿命の延伸により一貫して上昇し、2014年には約13%に達している。上昇の速さは日本と同等以上であり、今後日本と同水準かそれ以上に高齢化が進むと予測されているが、本グラフの期間内ではまだ最も低い。

高齢化の段階を表す用語

高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)により、一般に次のように呼ばれる。 ・7%超:高齢化社会 ・14%超:高齢社会 ・21%超:超高齢社会 日本は1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超えた。

倍加年数

高齢化率が7%から14%に達するまでの年数を倍加年数といい、高齢化の速さの指標となる。日本は24年(1970→1994年)であり、フランス(100年以上)、スウェーデン(80年以上)などの欧州諸国と比べて著しく短い。韓国など東アジアの一部の国は日本よりもさらに短い倍加年数で高齢化が進んでいる。

日本の高齢化の背景

・平均寿命の延伸(世界最高水準) ・合計特殊出生率の長期的な低迷(人口置換水準の約2.07を大きく下回る) ・第1次ベビーブーム世代(団塊の世代)が2012〜2014年に65歳に到達したことにより、2010年代前半に高齢化率の上昇が加速した。 高齢化率はその後も上昇を続け、2020年代には約29%に達している。

POINT

・日本の高齢化率は世界で最も高い(2014年に26.0%、その後も上昇)。 ・日本は高齢化の速度も速く、倍加年数(7%→14%)は24年と欧米諸国より大幅に短い。 ・グラフ問題では「最終年の水準」と「上昇の傾き」の両方から国を同定する。 ・韓国は現時点の高齢化率は低いが上昇速度が非常に速い、アメリカは出生率と移民の影響で高齢化が緩やか、という特徴も合わせて押さえる。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。