StudyMed医師国家試験

「%」をグラムに読み替えよ―中心静脈栄養の総エネルギーを手で計算する

第109回医師国家試験 E問題 第69問

国試問題にチャレンジ

第109回 E問題 第69問

中心静脈から電解質輸液(20%ブドウ糖と3%アミノ酸とを含有)1,500 mLを,末梢静脈から20%脂肪乳剤250 mL(450 kcal)を投与した場合の総エネルギーを求めよ。  ただし,ブドウ糖は4 kcal/g,アミノ酸は4 kcal/gとする。  解答:①,②③ 0 kcal

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は輸液の中身から投与エネルギーを計算する問題だ。ポイントは、濃度の「%」を何グラムと読み替えるか、そして栄養素ごとのエネルギー換算係数をどう使うか。この2つさえ押さえれば、あとは足し算だよ。まず、20%ブドウ糖液の「20%」は何を意味していると思う?
医学生医学生
えっと、全体の重さの20%がブドウ糖、ということでしょうか。
ドクタードクター
惜しい。輸液の%は「100 mL中に何グラム含まれるか」、いわゆるw/v%で表すのが基本なんだ。だから20%ブドウ糖液なら100 mLにブドウ糖20 g、3%アミノ酸なら100 mLにアミノ酸3 gということになる。
医学生医学生
薬理学の講義で、生理食塩水の0.9%が「100 mLに食塩0.9 g」だと習ったのと同じ考え方ですね。
ドクタードクター
その通り。では実際に計算してみよう。1,500 mLの輸液に含まれるブドウ糖は何グラムになる?
医学生医学生
1,500 mLに100 mLあたり20 gなので、300 gです。4 kcal/gをかけて1,200 kcalですね。
ドクタードクター
正解。同じようにアミノ酸はどうかな。
医学生医学生
1,500 mL×3 g/100 mLで45 g、4 kcal/gで180 kcalです。でも、アミノ酸ってタンパク質の材料だから、エネルギーには数えなくていいような気もしてしまいます。
ドクタードクター
いい疑問だね。臨床ではアミノ酸を除いた「非タンパク質カロリー」を別に評価することがあるけれど、今回聞かれているのは「総エネルギー」。だからアミノ酸の180 kcalも含めるんだ。設問の言葉を正確に読むことが大事だよ。
医学生医学生
脂肪乳剤は450 kcalと書いてあるので、そのまま足せばいいですか。
ドクタードクター
そう。念のため検算すると、20%脂肪乳剤250 mLには脂肪が50 g含まれ、脂質は9 kcal/gだから50×9で450 kcal、ちゃんと合う。というわけで、1,200+180+450で総エネルギーは1,830 kcalになる。
医学生医学生
電解質輸液となっていますが、ナトリウムやカリウムの分は計算に入れなくていいんですよね。
ドクタードクター
その通り、電解質はエネルギーをもたない。計算に使うのは糖質4、タンパク質4、脂質9 kcal/gの3つだけだ。ここで少し臨床の話もしておこう。なぜブドウ糖は中心静脈から、脂肪乳剤は末梢静脈から入れていると思う?
医学生医学生
臨床実習で外科を回ったとき、高カロリー輸液はCVから入れると教わりました。浸透圧が高いからでしょうか。
ドクタードクター
正解。20%のような高濃度ブドウ糖液は浸透圧が高く、末梢から入れると静脈炎を起こしやすい。末梢から入れられるブドウ糖濃度はおおむね10%程度までとされる。一方、脂肪乳剤は血漿とほぼ等張だから末梢から投与でき、少ない容量で多くのエネルギーを補給できる。長期の無脂肪輸液で起こる必須脂肪酸欠乏の予防にも必要なんだ。
医学生医学生
脂肪乳剤は速く入れてもいいんですか。
ドクタードクター
急速投与は代謝が追いつかず高脂血症などを招くので、0.1 g/kg/時以下でゆっくり投与するのが原則だ。もう一つ発展として、NPC/N比も覚えておこう。アミノ酸をエネルギーとして燃やさず、タンパク合成に回すには十分な糖質・脂質が必要で、その指標が非タンパク質カロリーを窒素量で割った値なんだ。窒素量はアミノ酸量を6.25で割って求める。
医学生医学生
今回だと窒素は45÷6.25で7.2 g、非タンパク質カロリーは1,650 kcalなので、NPC/N比は約229ですね。一般の目安は150〜200くらいでしたっけ。
ドクタードクター
よく覚えているね。こうした計算は、病棟で実際に輸液メニューを組むときにそのまま役立つ。数字の意味を理解しておくと、患者さんごとの調整もできるようになるよ。

まとめ

輸液の濃度(%)は100 mL中に含まれる溶質のグラム数を表すため、投与量に濃度をかけて各栄養素のグラム数を求め、糖質4 kcal/g、アミノ酸4 kcal/g、脂質9 kcal/gの換算係数をかけてエネルギーを算出します。本問ではブドウ糖300 g(1,200 kcal)、アミノ酸45 g(180 kcal)、脂肪乳剤450 kcalを合計し、総エネルギーは1,830 kcalとなります。電解質はエネルギーをもたず、「総エネルギー」ではアミノ酸分も含める点に注意が必要です。高濃度ブドウ糖液は浸透圧が高いため中心静脈から、ほぼ等張の脂肪乳剤は末梢静脈から投与でき、脂肪乳剤は必須脂肪酸欠乏予防の意味ももちます。NPC/N比などと合わせて輸液の中身を数値で読めるようになることは、栄養管理を実践するうえでの基本となります。

解答・解説

正解は1,830 kcalです

考え方

輸液の濃度「%」は、ここでは100 mL中に含まれる溶質のグラム数(w/v%)を表す。つまり20%ブドウ糖液は100 mL中にブドウ糖20 gを、3%アミノ酸液は100 mL中にアミノ酸3 gを含む。投与量(mL)に濃度をかけて各栄養素のグラム数を出し、与えられたエネルギー換算係数(kcal/g)をかければよい。脂肪乳剤のエネルギーは問題文に450 kcalと与えられているので、そのまま加える。

計算過程

1. ブドウ糖の量:1,500 mL × 20 g/100 mL = 300 g  ブドウ糖のエネルギー:300 g × 4 kcal/g = 1,200 kcal 2. アミノ酸の量:1,500 mL × 3 g/100 mL = 45 g  アミノ酸のエネルギー:45 g × 4 kcal/g = 180 kcal 3. 脂肪乳剤のエネルギー:450 kcal(問題文で指定)  参考までに、20%脂肪乳剤250 mLには脂肪が250 × 0.20 = 50 g含まれ、50 g × 9 kcal/g = 450 kcalと検算できる。 4. 総エネルギー:1,200 + 180 + 450 = 1,830 kcal したがって解答欄は ①=1、②=8、③=3 となり、答えは1,830 kcalである。

注意点

・電解質輸液に含まれる電解質(ナトリウム、カリウムなど)はエネルギーをもたないので計算に入れない。 ・「総エネルギー」を問われているため、アミノ酸のエネルギーも含める。栄養管理の現場では、アミノ酸を除いた非タンパク質エネルギー(NPC)を別に評価することがあるが、本問では区別しない。

三大栄養素のエネルギー換算係数

・糖質(ブドウ糖):4 kcal/g ・タンパク質(アミノ酸):4 kcal/g ・脂質:9 kcal/g これらは暗記しておくべき基本の数値である。

中心静脈栄養(TPN)と末梢静脈栄養(PPN)

高濃度のブドウ糖液は浸透圧が高く、末梢静脈から投与すると静脈炎を起こしやすい。本問の20%ブドウ糖を含む輸液が中心静脈から投与されているのはこのためで、末梢静脈から投与できるブドウ糖濃度はおおむね10%程度までとされる。一方、脂肪乳剤は血漿とほぼ等張であるため末梢静脈から投与でき、少ない容量で多くのエネルギーを補給できる利点がある。また脂肪乳剤は、長期の無脂肪輸液で生じる必須脂肪酸欠乏の予防にも必要である。脂肪乳剤は急速に投与すると代謝が追いつかず高脂血症などを招くため、0.1 g/kg/時以下の速度でゆっくり投与するのが原則である。

非タンパク質カロリー/窒素比(NPC/N比)

アミノ酸がエネルギー源として消費されず、タンパク質合成に効率よく使われるためには、十分な糖質・脂質エネルギーが必要である。その指標がNPC/N比で、一般の患者では150〜200程度が目安とされる。窒素量はアミノ酸量を6.25で割って求める。 本問で計算すると、窒素量は45 g ÷ 6.25 = 7.2 g、非タンパク質カロリーは1,200 + 450 = 1,650 kcal、NPC/N比は1,650 ÷ 7.2 ≒ 229となる。

POINT

・輸液の濃度(%)は100 mL中のグラム数。投与量 × 濃度 = 栄養素のグラム数。 ・エネルギー換算係数:糖質4 kcal/g、アミノ酸(タンパク質)4 kcal/g、脂質9 kcal/g。 ・本問:ブドウ糖300 g(1,200 kcal)+アミノ酸45 g(180 kcal)+脂肪乳剤450 kcal = 1,830 kcal。 ・高濃度ブドウ糖液は中心静脈から、等張の脂肪乳剤は末梢静脈から投与できる。 ・電解質はエネルギーをもたない。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。