StudyMed医師国家試験

超高齢社会ニッポンの「人口の形」―数字の規模感で解く人口静態

第108回医師国家試験 B問題 第1問

国試問題にチャレンジ

第108回 B問題 第1問

我が国の人口静態(2011年度)で正しいのはどれか。

  1. a.総人口は6,218万4千人である。
  2. b.総人口に占める男性の割合は女性より多い。
  3. c.15歳未満の人口は1,000万人を超えていない。
  4. d.生産年齢人口が総人口に占める比率は40%である。
  5. e.老年人口(65歳以上)は総人口の21%を超えている。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は日本の人口静態、つまりある時点での人口の規模や構成についての問題だ。細かい数値を丸暗記していなくても、大まかな規模感を押さえていれば正解できる。そもそも人口静態統計と人口動態統計の違いは説明できるかな。
医学生医学生
静態はある時点の人口の断面で、動態は出生や死亡などの一定期間の動き、ですよね。公衆衛生の講義で習いました。
ドクタードクター
その通り。人口静態の代表は5年ごとに10月1日現在で行う国勢調査で、その間の年は国勢調査をもとにした推計人口が毎年公表される。人口動態は出生・死亡・死産・婚姻・離婚の5事象を届出に基づいて集計するものだ。では、2011年の日本の総人口はどのくらいだと思う?
医学生医学生
1億2千万人台です。選択肢にある6千万人台は少なすぎますね。
ドクタードクター
そう、2011年の総人口は約1億2,780万人。6千万人台というのは、実はその年の男性人口の数字なんだ。紛らわしい数値をそのまま流用したひっかけだね。日本の人口は2008年ごろをピークに減少に転じている。
医学生医学生
男性が女性より多いというのはどうでしょう。生まれるときは男の子のほうが多いと聞いた気がします。
ドクタードクター
いい知識だ。出生性比は女児100に対して男児およそ105で、生まれた時点では男児がやや多い。でも各年齢で男性のほうが死亡率が高いから、年齢が上がるにつれて女性の割合が増え、高齢者層では女性が大きく上回る。高齢化した日本では全体でも女性のほうが約340万人多いんだ。
医学生医学生
なるほど、高齢化が進んでいるからこそ女性が多くなるんですね。
ドクタードクター
次は年齢3区分だ。0〜14歳が年少人口、15〜64歳が生産年齢人口、65歳以上が老年人口。2011年の割合はおおよそどうなっていると思う?
医学生医学生
年少人口が1割強、生産年齢人口が6割強、老年人口が2割強、というイメージです。
ドクタードクター
完璧だね。具体的には年少人口が13.1%、生産年齢人口が63.6%、老年人口が23.3%。年少人口は1,670万人ほどで、1,000万人を大きく超えている。少子化で減り続けてはいるけれど、まだそこまでは少なくないんだ。
医学生医学生
生産年齢人口が40%というのは、さすがに低すぎますね。
ドクタードクター
そう。1990年代前半の約70%をピークに下がってはいるものの、2011年でも6割を超えている。そして老年人口は23.3%で21%を超えているから、これが正解だ。
医学生医学生
21%というのは、超高齢社会の基準ですよね。CBTの勉強で、7%、14%、21%の区切りを覚えました。
ドクタードクター
その通り。高齢化率7%超で高齢化社会、14%超で高齢社会、21%超で超高齢社会。日本は1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超えた。7%から14%までの倍加年数は24年で、フランスの約115年、スウェーデンの約85年と比べて非常に速い。高齢化率はその後も上がり続け、2023年には29%を超えているよ。
医学生医学生
人口指数の計算もよく出題されると聞きました。
ドクタードクター
大事な分野だね。分母はいずれも生産年齢人口で、年少人口指数、老年人口指数、その合計の従属人口指数がある。老年化指数だけは老年人口を年少人口で割る点に注意しよう。2011年の数値だと老年化指数は約178で、高齢者が子どもの2倍近くいることになる。
医学生医学生
人口ピラミッドで言うと、日本はつぼ型でしたね。
ドクタードクター
そう。第1次ベビーブーム世代と第2次ベビーブーム世代が膨らみ、その下が少子化で細くなったつぼ型だ。臨床に出ると、高齢患者が多く多疾患併存や介護の問題が当たり前になる。こうした人口構造は、地域医療や医療資源の配分を考える上での前提知識になるんだ。

まとめ

人口静態統計はある時点の人口の規模・構成を示すもので、5年ごとの国勢調査とその間の推計人口で把握され、出生・死亡などの動きを扱う人口動態統計と区別されます。2011年の日本は総人口約1億2,780万人で、男性より女性が多く、年少人口13.1%、生産年齢人口63.6%、老年人口23.3%という構成でした。高齢化率は7%で高齢化社会、14%で高齢社会、21%で超高齢社会とされ、日本は2007年に21%を超え、近年は29%を超えています。細かな数値を覚えきれなくても「総人口1億2千万人台、年齢3区分はおおむね1割強・6割強・2割強、女性が多い」という規模感を持っておけば判断でき、人口構造の理解は地域医療や医療政策を考える土台になります。

解答・解説

正解はeです

テーマ

人口統計は、ある一時点での人口の規模や構成をとらえる「人口静態統計」と、一定期間内の出生・死亡・婚姻・離婚・死産などの人口の動きをとらえる「人口動態統計」に分けられる。人口静態統計の代表は5年ごとに行われる国勢調査であり、国勢調査の間の年は総務省が国勢調査の結果を基に毎年10月1日現在の推計人口を公表している。本問は2011年10月1日現在の推計人口に関する問題である。

2011年10月1日現在の主な数値

・総人口:1億2,779万9千人(前年より25万9千人、0.20%の減少) ・男性:6,218万4千人、女性:6,561万5千人(男性は約48.7%) ・年少人口(0〜14歳):1,670万5千人(13.1%) ・生産年齢人口(15〜64歳):8,134万2千人(63.6%) ・老年人口(65歳以上):2,975万2千人(23.3%)

正解を導く考え方

細かな数値をすべて暗記していなくても、大まかな規模感で判断できる。日本の総人口は約1億2千万人台、人口構成はおおよそ年少人口が1割強、生産年齢人口が6割強、老年人口が2割強であり、高齢者の多い社会では長寿の女性が男性を上回る。この枠組みを押さえておけば、選択肢の誤りはすぐに見抜ける。老年人口割合は2007年に21%を超え、2011年時点で23.3%であった。

選択肢考察

  1. ×a.  総人口は6,218万4千人である。

    2011年の総人口は1億2,779万9千人である。6,218万4千人は男性人口の数値であり、総人口のほぼ半分にすぎない。日本の総人口が1億人を超えたのは1967年であり、それ以降は1億人台で推移している。なお総人口は2008年ごろをピークに減少に転じ、2011年は前年より25万9千人減少した。

  2. ×b.  総人口に占める男性の割合は女性より多い。

    男性6,218万4千人に対し女性6,561万5千人であり、女性の方が約340万人多い(男性の割合は約48.7%)。出生時には男児の方がやや多い(出生性比はおよそ女児100に対し男児105)が、各年齢で男性の死亡率が高いため、年齢が上がるにつれて女性の割合が増え、特に高齢者層では女性が大きく上回る。高齢化の進んだ日本では、全体でも女性が多くなる。

  3. ×c.  15歳未満の人口は1,000万人を超えていない。

    年少人口(0〜14歳)は1,670万5千人で、総人口の13.1%を占めており、1,000万人を大きく上回っている。ただし少子化によって年少人口は長期的に減少し続けており、割合は1997年に老年人口割合を下回って以降、その差は開き続けている。

  4. ×d.  生産年齢人口が総人口に占める比率は40%である。

    生産年齢人口(15〜64歳)は8,134万2千人で、総人口の63.6%を占める。40%ではない。生産年齢人口の割合は1990年代前半の約70%をピークに低下を続けているが、2011年の時点でも6割を超えている。生産年齢人口が減ると、年少人口と老年人口を支える負担(従属人口指数)が大きくなる。

  5. ○e.  老年人口(65歳以上)は総人口の21%を超えている。

    2011年の老年人口は2,975万2千人で、総人口に占める割合(高齢化率)は23.3%であり、21%を超えている。高齢化率21%は、一般に「超高齢社会」の目安とされる値であり、日本は2007年にこれを超えた。高齢化はその後も進み、2023年には高齢化率が29%を超え、高齢者数は約3,620万人となっている。

年齢3区分と人口指数

・年少人口:0〜14歳 ・生産年齢人口:15〜64歳 ・老年人口:65歳以上 ・年少人口指数=年少人口÷生産年齢人口×100 ・老年人口指数=老年人口÷生産年齢人口×100 ・従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100 ・老年化指数=老年人口÷年少人口×100 2011年の数値で計算すると、老年人口指数は約36.6、年少人口指数は約20.5、従属人口指数は約57.1、老年化指数は約178となる。

高齢化の段階

高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」とよばれる。日本は1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超えた。7%から14%に達するまでの期間(倍加年数)は24年で、欧米諸国(フランス約115年、スウェーデン約85年など)に比べ著しく短く、世界に例をみない速さで高齢化が進んだ。

人口ピラミッド

日本の人口ピラミッドは、2つのベビーブーム(第1次:1947〜1949年生まれ、第2次:1971〜1974年生まれ)の世代が膨らみ、その下の世代が少子化で細くなった「つぼ型」を示す。

人口静態統計と人口動態統計

・人口静態統計:ある時点の人口の規模・構成(性、年齢、配偶関係、就業状態など)。国勢調査(5年ごと、10月1日現在、総務省)とその間の推計人口。 ・人口動態統計:出生・死亡・死産・婚姻・離婚の5事象。届出に基づき厚生労働省が集計する。

POINT

・人口静態統計は国勢調査(5年ごと、10月1日現在)と毎年の推計人口で把握する。 ・2011年:総人口約1億2,780万人、女性が男性より多い。 ・年齢3区分の割合(2011年):年少人口13.1%、生産年齢人口63.6%、老年人口23.3%。 ・高齢化率7%で高齢化社会、14%で高齢社会、21%で超高齢社会。日本は2007年に21%を超えた。 ・近年の高齢化率は約29%と過去最高を更新し続けている。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。