StudyMed医師国家試験

重湯から常食へ―「○分粥」の数字が教える食上げの階段

第107回医師国家試験 G問題 第28問

国試問題にチャレンジ

第107回 G問題 第28問

病院食のうち固形成分が最も少ないのはどれか。

  1. a.重湯
  2. b.五分粥
  3. c.三分粥
  4. d.全粥
  5. e.七分粥

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は病院食の形態、特に主食の段階を問う問題だ。術後や絶食明けの患者さんに「何をどの順で食べてもらうか」は、病棟で毎日のように判断する大事なテーマなんだ。着目点は、粥の名前についている「○分」という数字の意味だよ。
医学生医学生
三分粥とか五分粥とか、数字が小さいほどお米が少ないイメージはあります。でも重湯との関係がはっきりしません。
ドクタードクター
そこを整理しよう。まず基準になるのが全粥。米と水をおおよそ1対5で炊いた、米粒がしっかり残る普通のお粥だね。一方、重湯は粥を炊いたときの上澄みの糊状の液体で、米粒をほとんど含まない。
医学生医学生
ということは、「○分粥」は全粥と重湯を混ぜたもの、という理解でいいですか。
ドクタードクター
そう考えるとわかりやすい。三分粥なら全粥3に重湯7、七分粥なら全粥7に重湯3くらいの割合に相当する。数字は全粥の割合、つまり米粒の多さを表していると覚えておこう。施設によっては米と水の比率で定義することもあるけれど、順番の考え方は同じだ。
医学生医学生
じゃあ固形成分の少ない順は、重湯、三分粥、五分粥、七分粥、全粥ですね。三分粥が粥の中で一番少ないので、つい選びそうになりました。
ドクタードクター
その引っかけに気づけたのは大きいよ。三分粥は粥の中では最も水分が多いけれど、米粒を含む以上、上澄みだけの重湯よりは固形成分が多い。だから正解は重湯だ。重湯は流動食に分類され、消化管への負担が最も少ない。
医学生医学生
五分粥はちょうど半々、七分粥は全粥に近い、全粥は常食の一つ手前、という位置づけですね。
ドクタードクター
その通り。全粥の次が軟飯や常食、つまり普通のご飯になる。この順番で段階的に進めることを「食上げ」と呼ぶんだ。
医学生医学生
臨床実習で消化器外科を回ったとき、術後の患者さんが「明日から三分粥です」と言われていました。あれが食上げなんですね。
ドクタードクター
まさにそれ。消化管手術後や、急性膵炎・急性胃腸炎で絶食していた患者さんは、流動食から始めて、症状を見ながら一段ずつ上げていく。では、段階を上げてよいかは何で判断すると思う?
医学生医学生
腹痛や嘔吐がないこと、それから腸が動いているかでしょうか。聴診で腸蠕動音を確認したり、排ガスを聞いたり。
ドクタードクター
いいね。腹痛、嘔吐、腹部膨満、下痢などの消化器症状が出ていないか、腸蠕動音や排ガスがあるかを確認しながら進める。副食も同じで、軟らかいものや刻んだものから通常の形態へと変えていくんだ。
医学生医学生
重湯だけで何日も過ごすのは、栄養的に大丈夫なんでしょうか。
ドクタードクター
鋭い疑問だ。重湯は100gあたり20kcal程度、五分粥は約35kcal、全粥でも約65kcalで、普通のご飯の約155kcalと比べるとかなり少ない。流動食や分粥食が長引くなら、栄養補助食品などで不足を補う必要がある。
医学生医学生
「消化にやさしい」は「栄養が足りない」と裏表なんですね。
ドクタードクター
そういうこと。それもあって、最近は消化器手術後でもERAS、つまり術後回復強化の考え方に基づいて早期に経口摂取を再開し、流動食の期間を短くする傾向がある。施設によっては途中の段階を省略することもあるよ。それから、病院食は一般食と、糖尿病食や腎臓病食、減塩食などの特別治療食に大別される。今回の粥の段階は、主に一般食の形態の話だと位置づけておこう。
医学生医学生
形態の段階と、栄養素を調整する治療食は、別の軸で考えるんですね。
ドクタードクター
その整理ができれば十分。指示を出すときに迷わないよう、名前と順番をセットで覚えておこう。

まとめ

病院食の主食は、固形成分の少ない順に重湯、三分粥、五分粥、七分粥、全粥、軟飯・常食と段階的に設定されています。重湯は粥の上澄みで米粒をほとんど含まない流動食であり、「○分粥」の数字は全粥と重湯を混ぜたときの全粥の割合と考えると理解しやすく、粥の中で最も薄い三分粥でも重湯よりは固形成分が多い点に注意が必要です。術後や絶食明けには消化器症状や腸蠕動音・排ガスを確認しながら食上げを進めますが、分粥食はエネルギーが少ないため、長引く場合は栄養補助が必要になります。近年はERASの考え方で早期経口摂取が重視されており、食形態の順序と栄養量の特徴を押さえておくことは、病棟での食事指示や患者説明の基本となります。

解答・解説

正解はaです

病院食(治療食・一般食)のうち、主食の形態は消化管への負担の軽いものから順に段階的に設定されている。消化管の手術後や、急性胃腸炎・膵炎などで絶食していた患者が経口摂取を再開する際には、まず液体に近い流動食から始め、症状を見ながら固形成分の多い食事へと段階的に進めていく。 主食の段階は、固形成分の少ない順に「重湯(流動食)→ 三分粥 → 五分粥 → 七分粥 → 全粥 → 軟飯・常食(米飯)」である。粥の「○分」は、全粥(米の粒が残る普通の粥)と重湯を混ぜる割合を表すと考えるとわかりやすい。例えば三分粥は全粥3に対して重湯7、七分粥は全粥7に対して重湯3の割合であり、数字が大きいほど米粒(固形成分)が多い。 重湯は粥を炊いたときの上澄みの液体部分で、米粒をほとんど含まない。したがって、選択肢の中で固形成分が最も少ないのは重湯である。

選択肢考察

  1. ○a.  重湯

    重湯は、多めの水で米を煮た粥から米粒を除いた上澄み(糊状の液体)であり、固形成分はほとんど含まれない。流動食に分類され、消化管への負担が最も少ない。術後や絶食後の食事再開の最初の段階や、かつては離乳食の開始時にも用いられた。一方、エネルギーは100gあたり20kcal程度と少なく、重湯のみでは必要な栄養量を満たせないため、長期間続ける食事ではない。

  2. ×b.  五分粥

    五分粥は全粥と重湯をおよそ半々の割合で合わせたものに相当し、米粒をある程度含む。三分粥より固形成分が多く、七分粥・全粥より少ない。重湯と比べると固形成分ははるかに多い。

  3. ×c.  三分粥

    三分粥は全粥3に対して重湯7程度の割合に相当し、粥の中では最も水分が多く固形成分が少ない。流動食(重湯)の次の段階として用いられるが、米粒を含むため重湯よりは固形成分が多い。

  4. ×d.  全粥

    全粥は米と水をおおよそ1:5の割合で炊いた、重湯を加えない粥である。粥の中で最も固形成分が多く水分が少ない。エネルギーは100gあたり約65kcalで、米飯(約150kcal強)のおよそ半分弱にあたる。常食(米飯)の一つ手前の段階の食事である。

  5. ×e.  七分粥

    七分粥は全粥7に対して重湯3程度の割合に相当し、五分粥より固形成分が多く、全粥より少ない。重湯と比べると固形成分は多い。

病院食の分類

病院食は、特定の栄養素の調整を必要としない一般食と、疾患に応じて栄養素を調整する特別治療食(糖尿病食、腎臓病食、減塩食など)に大別される。一般食は食事の形態によって、常食、軟食(粥食)、流動食などに分けられる。

段階的な食上げ

流動食(重湯、スープ、果汁、牛乳など)→ 三分粥食 → 五分粥食 → 七分粥食 → 全粥食 → 常食の順に進める(施設によって一部の段階を省略することもある)。主食だけでなく、副食も段階に応じて、消化のよい軟らかいもの・刻んだものから通常の形態へと変えていく。

食上げの判断

腹痛、嘔吐、腹部膨満、下痢などの消化器症状が出ないこと、腸蠕動音や排ガスの有無などを確認しながら段階を上げる。近年は消化器手術後でも、術後回復強化(ERAS: enhanced recovery after surgery)の考え方に基づき、早期から経口摂取を再開し、流動食の期間を短くする傾向がある。

粥の栄養量(100gあたりのおおよそのエネルギー)

重湯 約20kcal、五分粥 約35kcal、全粥 約65kcal、精白米飯 約155kcal。流動食や分粥食は水分が多くエネルギーが少ないため、長期にわたる場合は栄養補助食品などで不足を補う必要がある。

POINT

・固形成分の少ない順:重湯 < 三分粥 < 五分粥 < 七分粥 < 全粥 < 米飯。 ・重湯は粥の上澄みで、固形成分をほとんど含まない流動食である。 ・「○分粥」の数字は、全粥と重湯を混ぜたときの全粥の割合(○割)と考えるとよい。 ・術後や絶食後は、流動食から段階的に食上げする。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。