重湯から常食へ―「○分粥」の数字が教える食上げの階段
第107回医師国家試験 G問題 第28問
国試問題にチャレンジ
病院食のうち固形成分が最も少ないのはどれか。
- a.重湯
- b.五分粥
- c.三分粥
- d.全粥
- e.七分粥
対話形式の解説
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ドクターまとめ
病院食の主食は、固形成分の少ない順に重湯、三分粥、五分粥、七分粥、全粥、軟飯・常食と段階的に設定されています。重湯は粥の上澄みで米粒をほとんど含まない流動食であり、「○分粥」の数字は全粥と重湯を混ぜたときの全粥の割合と考えると理解しやすく、粥の中で最も薄い三分粥でも重湯よりは固形成分が多い点に注意が必要です。術後や絶食明けには消化器症状や腸蠕動音・排ガスを確認しながら食上げを進めますが、分粥食はエネルギーが少ないため、長引く場合は栄養補助が必要になります。近年はERASの考え方で早期経口摂取が重視されており、食形態の順序と栄養量の特徴を押さえておくことは、病棟での食事指示や患者説明の基本となります。
解答・解説
正解はaです
病院食(治療食・一般食)のうち、主食の形態は消化管への負担の軽いものから順に段階的に設定されている。消化管の手術後や、急性胃腸炎・膵炎などで絶食していた患者が経口摂取を再開する際には、まず液体に近い流動食から始め、症状を見ながら固形成分の多い食事へと段階的に進めていく。 主食の段階は、固形成分の少ない順に「重湯(流動食)→ 三分粥 → 五分粥 → 七分粥 → 全粥 → 軟飯・常食(米飯)」である。粥の「○分」は、全粥(米の粒が残る普通の粥)と重湯を混ぜる割合を表すと考えるとわかりやすい。例えば三分粥は全粥3に対して重湯7、七分粥は全粥7に対して重湯3の割合であり、数字が大きいほど米粒(固形成分)が多い。 重湯は粥を炊いたときの上澄みの液体部分で、米粒をほとんど含まない。したがって、選択肢の中で固形成分が最も少ないのは重湯である。
選択肢考察
- ○a. 重湯
重湯は、多めの水で米を煮た粥から米粒を除いた上澄み(糊状の液体)であり、固形成分はほとんど含まれない。流動食に分類され、消化管への負担が最も少ない。術後や絶食後の食事再開の最初の段階や、かつては離乳食の開始時にも用いられた。一方、エネルギーは100gあたり20kcal程度と少なく、重湯のみでは必要な栄養量を満たせないため、長期間続ける食事ではない。
- ×b. 五分粥
五分粥は全粥と重湯をおよそ半々の割合で合わせたものに相当し、米粒をある程度含む。三分粥より固形成分が多く、七分粥・全粥より少ない。重湯と比べると固形成分ははるかに多い。
- ×c. 三分粥
三分粥は全粥3に対して重湯7程度の割合に相当し、粥の中では最も水分が多く固形成分が少ない。流動食(重湯)の次の段階として用いられるが、米粒を含むため重湯よりは固形成分が多い。
- ×d. 全粥
全粥は米と水をおおよそ1:5の割合で炊いた、重湯を加えない粥である。粥の中で最も固形成分が多く水分が少ない。エネルギーは100gあたり約65kcalで、米飯(約150kcal強)のおよそ半分弱にあたる。常食(米飯)の一つ手前の段階の食事である。
- ×e. 七分粥
七分粥は全粥7に対して重湯3程度の割合に相当し、五分粥より固形成分が多く、全粥より少ない。重湯と比べると固形成分は多い。
病院食の分類
病院食は、特定の栄養素の調整を必要としない一般食と、疾患に応じて栄養素を調整する特別治療食(糖尿病食、腎臓病食、減塩食など)に大別される。一般食は食事の形態によって、常食、軟食(粥食)、流動食などに分けられる。
段階的な食上げ
流動食(重湯、スープ、果汁、牛乳など)→ 三分粥食 → 五分粥食 → 七分粥食 → 全粥食 → 常食の順に進める(施設によって一部の段階を省略することもある)。主食だけでなく、副食も段階に応じて、消化のよい軟らかいもの・刻んだものから通常の形態へと変えていく。
食上げの判断
腹痛、嘔吐、腹部膨満、下痢などの消化器症状が出ないこと、腸蠕動音や排ガスの有無などを確認しながら段階を上げる。近年は消化器手術後でも、術後回復強化(ERAS: enhanced recovery after surgery)の考え方に基づき、早期から経口摂取を再開し、流動食の期間を短くする傾向がある。
粥の栄養量(100gあたりのおおよそのエネルギー)
重湯 約20kcal、五分粥 約35kcal、全粥 約65kcal、精白米飯 約155kcal。流動食や分粥食は水分が多くエネルギーが少ないため、長期にわたる場合は栄養補助食品などで不足を補う必要がある。
POINT
・固形成分の少ない順:重湯 < 三分粥 < 五分粥 < 七分粥 < 全粥 < 米飯。 ・重湯は粥の上澄みで、固形成分をほとんど含まない流動食である。 ・「○分粥」の数字は、全粥と重湯を混ぜたときの全粥の割合(○割)と考えるとよい。 ・術後や絶食後は、流動食から段階的に食上げする。
