StudyMed医師国家試験

胸の上の6つの電極―「第4肋間」と「水平線」で決まる胸部誘導の正しい位置

第105回医師国家試験 H問題 第18問

国試問題にチャレンジ

第105回 H問題 第18問

心電図検査を行う際の胸部誘導の電極と肋骨の位置関係を別に示す。  正しい電極の位置はどれか。

第105回 H問題 第18問の問題画像
  1. a.①
  2. b.②
  3. c.③
  4. d.④
  5. e.⑤

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は心電図の胸部誘導、V1からV6の電極をどこに貼るかという問題だ。図はどれも似て見えるけれど、確認すべきポイントは2つだけ。V1・V2の高さと、V4からV6の並び方だ。まずはV1とV2の位置を言えるかな。
医学生医学生
V1が第4肋間胸骨右縁、V2が第4肋間胸骨左縁です。OSCEの前に何度も練習しました。
ドクタードクター
完璧だね。では、実際の患者さんの胸で第4肋間をどうやって探す?
医学生医学生
鎖骨の下から順に数える……でしょうか。
ドクタードクター
それでも数えられなくはないけど、第1肋骨は鎖骨に隠れて触れにくいので、ずれやすいんだ。確実なのは胸骨角、いわゆるルイ角を使う方法。胸骨柄と胸骨体のつなぎ目が横向きの隆起として触れて、その真横に第2肋骨がつく。そのすぐ下が第2肋間だから、そこから2つ下がれば第4肋間だ。
医学生医学生
解剖学実習で胸骨角が第2肋骨の高さだと習ったのが、ここで生きてくるんですね。
ドクタードクター
そういうこと。次にV3からV6。V4はどこだった?
医学生医学生
第5肋間の左鎖骨中線上です。V3はV2とV4の中間ですね。V5とV6は第5肋間に沿って前腋窩線、中腋窩線……でしょうか。
ドクタードクター
そこが今回いちばんの落とし穴なんだ。肋間は外側に行くほど斜め下へ下がっていくよね。V5・V6を肋間に沿って貼ると、だんだん低くなってしまう。正しくは、V4と同じ高さの水平線上で、前腋窩線と交わる点がV5、中腋窩線と交わる点がV6だ。
医学生医学生
肋間をたどるんじゃなくて、V4から真横に線を引くんですね。勘違いしていました。
ドクタードクター
この2条件で図を見ていこう。正解の図では、V1・V2が胸骨をはさんで左右対称に第4肋間の高さにあり、V4が第5肋間鎖骨中線上、V3がその中間、そしてV5・V6がV4と同じ高さに水平に並んでいる。すべての条件を満たしているね。
医学生医学生
ほかの図は、どこかの条件が崩れているわけですね。
ドクタードクター
そう。V4からV6は水平に並んでいるのに、V1・V2が1つ上の肋間に貼られている図がある。逆にV1・V2の高さは正しいのに、V5・V6が肋間に沿って外側下方へ下がっている図もある。V1・V2が低すぎて、しかもV5・V6も下がっている、両方の条件を外した図もあるね。
医学生医学生
6個全部を第4肋間で一直線に並べた図もありました。見た目はきれいなので一瞬迷いました。
ドクタードクター
整っていて正しそうに見えるのが罠だね。V4は第5肋間だから、正しい配置ではV2から外側へ向かって一段下がる形になる。一直線にはならないんだ。
医学生医学生
電極位置がずれると、波形にも影響が出るんですか。
ドクタードクター
出るよ。たとえばV1・V2を高い肋間に貼ると、rSr'型が出たりR波が小さくなったりして、右脚ブロックや前壁中隔梗塞と見誤ることがある。V5・V6の位置がずれれば、R波とS波がほぼ等しくなる移行帯の評価も狂う。貼り方ひとつで診断が変わりうるわけだ。
医学生医学生
循環器内科の実習で、心電図を前回と比べるときに貼る位置がずれていると比較できない、と言われたのを思い出しました。
ドクタードクター
経時的な比較はST変化を追ううえで大事だからね。発展として、各誘導が見ている部位も押さえよう。V1・V2は中隔、V3・V4は前壁、V5・V6は側壁。右室梗塞を疑えばV3R・V4Rといった右側胸部誘導を、後壁梗塞を疑えばV6と同じ高さで背側にV7からV9を追加する。
医学生医学生
電極の色は、V1から赤・黄・緑・茶・黒・紫で「あきみちゃんこくし」ですよね。
ドクタードクター
その通り。四肢誘導は右手赤、左手黄、左足緑、右足黒。研修医になれば自分で貼る機会がたくさんあるから、胸骨角から肋間を数える手順を体で覚えておこう。

まとめ

胸部誘導はV1が第4肋間胸骨右縁、V2が第4肋間胸骨左縁、V4が第5肋間左鎖骨中線上、V3がV2とV4の中点に置き、V5・V6はV4と同じ高さの水平線上で、それぞれ左前腋窩線、左中腋窩線との交点に置きます。第4肋間は、第2肋骨がつく胸骨角から数えると確実に同定できます。よくある誤りは、V1・V2を高い肋間に貼ることと、V5・V6を肋間に沿って下げてしまうことです。電極位置のずれはrSr'型やR波減高、移行帯の誤認につながり、右脚ブロックや心筋梗塞の誤診を招くおそれがあります。正しい装着は心電図を正しく読み、経時的に比較するための出発点です。

解答・解説

正解はbです

問われていること

標準12誘導心電図のうち、胸部誘導(V1〜V6)の6個の電極を、肋骨・肋間と体表の目印となる線(胸骨縁、鎖骨中線、腋窩線)を基準にどこへ貼るかを問う問題である。

正しい装着位置

・V1:第4肋間 胸骨右縁 ・V2:第4肋間 胸骨左縁 ・V4:第5肋間 左鎖骨中線上 ・V3:V2とV4を結ぶ線の中点 ・V5:V4と同じ高さの水平線上で、左前腋窩線との交点 ・V6:V4と同じ高さの水平線上で、左中腋窩線との交点

判定の手順

図を見るときは次の2点を確認すればよい。 1)V1とV2が胸骨をはさんで左右対称に、第4肋間の高さにあるか。胸骨角(胸骨柄と胸骨体の結合部)の横に第2肋骨が付着するので、そこから下へ肋間を数えると第4肋間が同定できる。 2)V4・V5・V6が同じ高さの水平線上に並んでいるか。V5・V6は肋間に沿って斜め下外側へ下げるのではなく、V4から真横(水平)に外側へ伸ばした線上に置く。 この2条件を同時に満たす図が正解である。

選択肢考察

  1. ×a.  ①

    V4〜V6は水平に並んでいるが、V1とV2が正しい位置より一つ上の肋間(第3肋間相当)に置かれている。V1・V2は第4肋間に置くのが正しいため誤りである。V1・V2を高い位置に貼ると、右脚ブロック様の波形(rSr'型)や前胸部のR波減高など、実際とは異なる所見が記録される原因となる。

  2. ○b.  ②

    V1とV2が胸骨の右縁・左縁で第4肋間の高さに置かれ、V4は第5肋間鎖骨中線上、V3はV2とV4の中間にある。さらにV5・V6がV4と同じ高さの水平線上に並んでおり、標準的な装着位置の条件をすべて満たすため正しい。

  3. ×c.  ③

    V1・V2の高さは第4肋間で適切だが、V5とV6がV4と同じ高さに並ばず、肋間に沿うように外側下方へずれて配置されている。V5・V6はV4からの水平線上に置くのが正しいため誤りである。

  4. ×d.  ④

    V1・V2が第4肋間よりも低い位置に置かれており、さらにV5・V6もV4の高さから外側下方へ下がっている。胸骨縁の高さ、V4〜V6の水平配置のいずれの条件も満たさないため誤りである。

  5. ×e.  ⑤

    V1〜V6の6個すべてを第4肋間の高さで一直線に並べている。V4は第5肋間鎖骨中線上に置くべきで、V3はV2とV4の中間、V5・V6はV4と同じ高さとなるため、全体としてV2から外側に向かって一段下がる配置になるのが正しい。したがって誤りである。

胸部誘導の電極の色

日本で一般的な色分けは、V1から順に赤・黄・緑・茶・黒・紫である。「あきみちゃんこくし(赤黄緑茶黒紫)」などの語呂で覚えられる。四肢誘導の電極は右手が赤、左手が黄、左足が緑、右足が黒(アース)である。

胸部誘導が見ている心臓の部位

・V1・V2:心室中隔〜右室寄りの前壁(中隔) ・V3・V4:前壁 ・V5・V6:側壁 胸部誘導は水平面の電位変化をとらえる誘導であり、心筋梗塞の部位診断(前壁中隔梗塞ならV1〜V4、側壁梗塞ならV5・V6などにST上昇)に用いられる。

電極位置のずれによる影響

・V1・V2を高い肋間に貼ると、rSr'パターンの出現やR波の減高がみられ、右脚ブロックや前壁中隔梗塞と誤認されることがある。 ・左右の胸骨縁を取り違えたり、V5・V6を下げすぎたりすると、R波の移行帯(R波とS波がほぼ等しくなる誘導、通常V3〜V4付近)の評価を誤る。

追加誘導

右室梗塞を疑うときは、胸部誘導を左右対称に右側胸部へ貼った右側胸部誘導(V3R、V4Rなど)を記録する。後壁梗塞を疑うときは、V6と同じ高さでさらに背側に置くV7(後腋窩線)、V8(肩甲骨中線)、V9(脊柱左縁)を用いる。

肋間の数え方

胸骨角(ルイ角)は体表から触れる横方向の隆起で、その外側に第2肋骨が付着する。第2肋骨のすぐ下が第2肋間であり、ここから下へ数えて第4肋間を同定する。

POINT

・V1:第4肋間胸骨右縁、V2:第4肋間胸骨左縁。 ・V4:第5肋間左鎖骨中線上、V3:V2とV4の中点。 ・V5・V6はV4と同じ高さの水平線上(V5は左前腋窩線、V6は左中腋窩線)。 ・電極の色はV1〜V6の順に赤・黄・緑・茶・黒・紫。 ・胸骨角の横が第2肋骨であり、ここから肋間を数える。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。