StudyMed医師国家試験

法律が決めた2つの節目―1歳6か月児健診と3歳児健診の意味

第104回医師国家試験 G問題 第20問

国試問題にチャレンジ

第104回 G問題 第20問

母子保健法による健康診査が行われる時期はどれか。2つ選べ。

  1. a.1歳
  2. b.1歳6か月
  3. c.2歳
  4. d.2歳6か月
  5. e.3歳

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は母子保健法で定められた幼児健康診査の時期を問う問題だ。乳幼児健診は何回もあるように感じるけれど、法律で実施が義務づけられているのはどれか、という区別がポイントになる。
医学生医学生
自治体の健診って、3〜4か月、1歳、1歳6か月、3歳……とたくさんありますよね。全部法律で決まっているんじゃないんですか。
ドクタードクター
そこがよくある誤解なんだ。母子保健法には健康診査の条文が2つある。第12条は、市町村が必ず行わなければならない健診。第13条は、それ以外に必要に応じて行う、または受診を勧める健診だ。第12条で具体的な年齢が明記されているのが、満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児と、満3歳を超え満4歳に達しない幼児の2つなんだ。
医学生医学生
ということは、正解は1歳6か月と3歳ですね。
ドクタードクター
その通り。乳児健診や妊婦健診は第13条に基づいて行われていて、時期そのものは法律に書かれていない。だから1歳、2歳、2歳6か月は法定の時期ではないんだ。
医学生医学生
2歳はちょっと迷いました。1歳6か月児健診の対象期間が2歳までだから、つい入れたくなります。
ドクタードクター
いいところに気づいたね。満2歳はあくまで1歳6か月児健診の対象期間の上限で、2歳時の健診が定められているわけではない。自治体によっては2歳児歯科健診や2歳6か月の歯科健診を独自にやっているけれど、それは法律に基づくものではないよ。
医学生医学生
1歳も、自治体の乳児健診で9〜10か月ごろにやっているのと混同しそうです。
ドクタードクター
乳児期の健診は多くの自治体で3〜4か月と9〜10か月に行われていて、いずれも第13条の「必要に応じて」の枠なんだ。では、なぜ1歳6か月と3歳が特別なのか考えてみよう。
医学生医学生
1歳6か月は、歩き始めと言葉が出始める時期だから、でしょうか。
ドクタードクター
まさにそう。独歩ができるか、意味のある単語が出ているかで、運動と言語の発達を評価しやすい節目なんだ。身体発育、視覚・聴覚の異常、歯科も確認する。指さしや視線が合うかといった社会性の様子から、自閉スペクトラム症などの発達障害に早く気づく場としても重要だよ。
医学生医学生
小児科の実習で、指さしをしない子の発達相談に同席したことがあります。こういう健診がきっかけだったのかもしれません。
ドクタードクター
そうだろうね。3歳になると会話や指示の理解が進むから、言語や社会性、行動面をより詳しく見られる。加えて視力検査と聴力検査で弱視や難聴を見つけ、尿検査で腎疾患を拾い、歯科健診も行う。総合的な健診なんだ。
医学生医学生
弱視は早く見つけないと視力が育たないと眼科の講義で習いました。3歳で見つける意味は大きいですね。
ドクタードクター
その通り。視覚の感受性期のうちに治療を始めることが大切だから、3歳児健診での発見は将来の視力を左右する。実施主体はどこか、言えるかな。
医学生医学生
市町村です。母子健康手帳の交付も市町村でしたよね。
ドクタードクター
正解。妊娠の届出と母子健康手帳の交付、新生児や未熟児の訪問指導、低体重児の届出の受理なども市町村が担う。2,500g未満で生まれた子は保護者が市町村に届け出る決まりだ。最近では産後ケア事業も法定化されている。
医学生医学生
1か月児健診や5歳児健診も最近ニュースで聞きましたが、あれは法定になったんですか。
ドクタードクター
国が費用を助成して実施を後押しする取り組みは始まっているけれど、第12条で実施義務が明記されているのは今も1歳6か月児と3歳児の2つだ。試験では「義務」と「推進・助成」を区別して覚えておこう。臨床に出たら、健診で指摘されて受診してくる子をみる立場になる。健診がどの時期に何をみているかを知っておくと、紹介の意図を正しく受け止められるよ。

まとめ

母子保健法第12条で市町村に実施が義務づけられている幼児健康診査は、1歳6か月児健康診査(満1歳6か月〜満2歳未満)と3歳児健康診査(満3歳〜満4歳未満)の2つです。1歳6か月は独歩や有意語の出現など運動・言語発達の節目であり、3歳は言語・社会性の評価に加え視力・聴力検査や尿検査、歯科健診を含む総合的な健診として、弱視や難聴、発達障害の早期発見に役立ちます。妊婦健診や乳児健診は第13条に基づき必要に応じて行われるもので、時期は法律に明記されていません。1か月児・5歳児健診は国の助成による推進段階であり、法定義務とは区別が必要です。各健診の目的を理解しておくことは、健診から紹介された子どもを診る臨床医にとっても重要です。

解答・解説

正解はb, eです

問われていること

母子保健法で実施が定められている幼児健康診査の時期を問う問題である。

母子保健法における健康診査の規定

母子保健法には健康診査について2つの条文がある。 ・第12条:市町村は、①満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児(1歳6か月児健康診査)、②満3歳を超え満4歳に達しない幼児(3歳児健康診査)に対し、健康診査を「行わなければならない」。すなわち実施が義務づけられた法定健診である。 ・第13条:市町村は、上記のほか、必要に応じて妊産婦または乳児・幼児に対して健康診査を行い、または受けることを勧奨しなければならない。妊婦健康診査や乳児健康診査(一般に3〜6か月、9〜11か月ごろ)はこの規定に基づいて行われる。

考え方

「母子保健法による健康診査の時期」として条文に具体的な月齢・年齢が明記されているのは1歳6か月と3歳の2つである。1歳、2歳、2歳6か月は法律上の定めがない。

選択肢考察

  1. ×a.  1歳

    母子保健法に満1歳時の健康診査の規定はない。乳児期の健康診査は第13条に基づき、市町村が必要に応じて実施する(多くの自治体で3〜4か月ごろと9〜10か月ごろに行われる)が、「1歳」という時期が法律で定められているわけではない。

  2. ○b.  1歳6か月

    母子保健法第12条により、市町村は満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児に健康診査を行わなければならない。この時期は歩行や意味のある単語(有意語)の出現など、乳児期から幼児期への移行を評価しやすい時期である。身体発育(低身長・肥満・やせ)、運動発達(独歩の可否)、精神・言語発達の遅れ、視覚・聴覚の異常、う歯を含む歯科疾患などを確認し、自閉スペクトラム症などの発達障害の早期発見の場としても重要である。

  3. ×c.  2歳

    満2歳は1歳6か月児健康診査の対象期間(満1歳6か月を超え満2歳に達しない)の上限であり、2歳時の健康診査そのものは法律で定められていない。一部の自治体が独自に2歳児歯科健診などを行うことはあるが、母子保健法に基づくものではない。

  4. ×d.  2歳6か月

    母子保健法に2歳6か月時の健康診査の規定はない。自治体によっては歯科健診などを独自に行う場合があるが、法定の健康診査ではない。

  5. ○e.  3歳

    母子保健法第12条により、市町村は満3歳を超え満4歳に達しない幼児に健康診査を行わなければならない。3歳になると会話や指示の理解が進み、身体面・精神面の両方を詳しく診査できる。身体発育、精神発達(言語、社会性、行動上の問題)、生活習慣の自立に加え、視力検査・聴力検査による弱視や難聴の発見、尿検査による腎疾患の発見、歯科健診などを行う総合的な健診である。

母子保健法の主な内容

・妊娠の届出(第15条)と母子健康手帳の交付(第16条):市町村が行う。 ・健康診査:1歳6か月児・3歳児健康診査は市町村の義務(第12条)、妊産婦・乳幼児のその他の健康診査は必要に応じて実施(第13条)。 ・保健指導、新生児訪問指導、妊産婦訪問指導。 ・低体重児(2,500 g未満)の届出(第18条):保護者が市町村に届け出る。 ・未熟児の訪問指導、養育医療の給付。 ・産後ケア事業(2019年の改正で市町村の努力義務として法定化)。

各健診で重視される項目

・乳児健診(3〜4か月):首のすわり、股関節脱臼(発育性股関節形成不全)、先天性疾患など。 ・乳児健診(9〜10か月):つかまり立ち、はいはい、精神運動発達など。 ・1歳6か月児健診:独歩、有意語、身体発育、歯科。 ・3歳児健診:言語・社会性の発達、視力・聴力、尿検査、歯科。

近年の動き

1か月児健康診査と5歳児健康診査についても、国が費用を助成して市町村での実施を推進する取り組みが始まっているが、第12条で実施義務が明記されているのは現在も1歳6か月児と3歳児の健康診査である。

POINT

・母子保健法第12条で市町村に実施が義務づけられている幼児健診は、1歳6か月児健康診査(満1歳6か月〜満2歳未満)と3歳児健康診査(満3歳〜満4歳未満)の2つ。 ・妊婦健診や乳児健診は第13条に基づき、必要に応じて実施される。 ・実施主体は市町村。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。