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開業したらどこへ行く?―「知事への届出」の窓口は保健所だった

第104回医師国家試験 C問題 第6問

国試問題にチャレンジ

第104回 C問題 第6問

診療所開設の届出先はどれか。

  1. a.法務局
  2. b.保健所
  3. c.町役場
  4. d.地区医師会
  5. e.臨床研修指定病院

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、医師が診療所を開いたときにどこへ届け出るかという、医療法の手続きを問う問題だ。ポイントは「法律上の届出先」と「実際に書類を出す窓口」を区別して考えること。まず、診療所の開設は医療法でどう定められているか覚えているかな。
医学生医学生
公衆衛生の講義で、病院を開くには許可が必要と習った気がします。診療所も同じですか。
ドクタードクター
そこがよく混同されるところだね。病院の開設は、開設者が誰であっても開設前に都道府県知事の許可が要る。一方、臨床研修を修了した医師が診療所を開設する場合は、開設後10日以内に届け出れば足りる「事後届出制」なんだ。
医学生医学生
許可じゃなくて届出なんですね。では届け出る相手は都道府県知事ですか。
ドクタードクター
そう、医療法第8条で、所在地の都道府県知事に届け出ると定められている。ただし、所在地が政令指定都市や中核市などの保健所設置市、あるいは東京23区の場合は、その市長や区長が届出先になる。
医学生医学生
でも選択肢に都道府県知事はありません。知事に直接持っていくわけではないということでしょうか。
ドクタードクター
いいところに気づいたね。実務では、開設届などの書類は管轄の保健所に提出する。保健所は都道府県や保健所設置市、特別区が置く行政機関で、医療機関の開設・変更・廃止の届出の受付や、立入検査、いわゆる医療監視を担っている。だから正解は保健所だ。
医学生医学生
保健所というと感染症対策のイメージが強かったです。地域医療の実習で保健所に行ったときも、結核の話が中心でした。
ドクタードクター
感染症対策は代表的な業務だけど、地域保健法に基づいて医事・薬事、食品衛生、環境衛生、精神保健、難病対策など幅広い業務を担っているんだ。ではほかの選択肢も確認しよう。法務局はどうかな。
医学生医学生
登記を扱うところですよね。開業するなら何か登記が必要な気もして迷いました。
ドクタードクター
鋭いね。医療法人を設立したときの法人登記は法務局で行う。でも、それは法人をつくる手続きであって、診療所の開設そのものの届出先ではない。法務局は法務省の地方機関で、登記、戸籍、供託などを扱うところだ。
医学生医学生
町役場は、住民に身近な行政だから窓口になりそうに思えますが。
ドクタードクター
そこも引っかけやすいね。町村は保健所を設置していないんだ。町役場は住民票や国民健康保険、市町村保健センターによる健診や健康相談などを担うけれど、医療機関を監督する立場にはない。市町村保健センターと保健所の役割の違いは試験でもよく問われる。
医学生医学生
地区医師会は、開業するときにみんな入るものだと思っていました。
ドクタードクター
入会する人は多いけれど、医師会は医師が任意で加入する職能団体で、行政機関ではない。加入は義務ではなく、届出先にもならない。臨床研修指定病院も同じで、初期研修を行うために厚生労働大臣が指定した病院にすぎない。研修修了は届出だけで診療所を開設できる要件だけど、研修病院自体が届出を受け付けるわけではないんだ。
医学生医学生
なるほど、研修を終えていることが「届出でよい」条件なんですね。では医師でない人が診療所を開く場合はどうなりますか。
ドクタードクター
医療法人など医師・歯科医師でない者が診療所を開設する場合は、開設前に許可が必要になる。また、診療所に病床を設ける有床診療所では、病床の設置について許可が要る。休止や廃止のときも10日以内の届出が必要だ。ちなみに病院は病床20床以上、診療所は無床か19床以下という区別も押さえておこう。
医学生医学生
医師が無床診療所を開くなら事後に届出、病院や医師以外の開設なら事前に許可、そして書類の窓口は保健所、と整理できました。
ドクタードクター
完璧だ。将来開業を考えるときだけでなく、勤務医として医療機関の管理や立入検査に関わる場面でも役立つ知識だよ。

まとめ

臨床研修を修了した医師が診療所を開設したときは、医療法第8条により開設後10日以内に所在地の都道府県知事(保健所設置市では市長、特別区では区長)へ届け出る必要があり、その書類を実際に受け付ける窓口が保健所です。病院の開設や、医療法人など医師・歯科医師でない者による診療所の開設は、開設前に許可が必要な点と区別して覚えることが重要です。法務局は医療法人の登記、町役場は住民票や市町村保健センターの業務、医師会は任意加入の職能団体、臨床研修指定病院は研修を行う医療機関であり、いずれも開設届の提出先ではありません。保健所は都道府県・保健所設置市・特別区が設置し、医療機関の監督から感染症対策まで地域保健の要を担っているという全体像を押さえると、医療制度の問題に幅広く対応できます。

解答・解説

正解はbです

本問は、医師が診療所を開設したときにどこへ届け出るかという、医療法上の手続きを問う問題である。

法的な届出先と実際の窓口

医療法第8条により、臨床研修等修了医師(医師免許取得後に2年以上の臨床研修を修了した医師)、臨床研修等修了歯科医師、または助産師が診療所・助産所を開設したときは、開設後10日以内に、所在地の都道府県知事に届け出なければならない。なお、所在地が保健所を設置する市(政令指定都市・中核市など)や東京23区(特別区)の場合は、届出先は都道府県知事ではなくその市長・区長となる。 法律上の届出先は都道府県知事(または保健所設置市の市長・特別区の区長)であるが、実務では開設届などの書類は管轄の保健所に提出する。保健所は都道府県・保健所設置市・特別区が設置する行政機関であり、医療機関の開設・変更・廃止などの届出や立入検査を扱う窓口として機能しているためである。

考え方

選択肢には「都道府県知事」がないため、知事への届出を実際に受け付ける機関はどこかを考えればよい。医療機関の監督や医療監視を担う保健所が答えとなる。

「届出」と「許可」の区別

医師による診療所の開設は、開設後に届け出れば足りる「事後届出制」である。一方、病院の開設や、医師・歯科医師でない者(法人など)による診療所の開設は、開設前に都道府県知事の「許可」を受ける必要がある。この違いは頻出である。

選択肢考察

  1. ×a.  法務局

    法務局は法務省の地方機関であり、不動産・会社などの登記、戸籍・国籍、供託、人権擁護などの事務を扱う。医療法人を設立したときの法人登記は法務局で行うが、診療所の開設そのものを届け出る先ではない。

  2. ○b.  保健所

    医療法第8条により、医師が診療所を開設したときは開設後10日以内に所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区では市長・区長)へ届け出る。その届出書類を実際に受け付けるのが管轄の保健所であり、保健所を経由して知事などに届け出る仕組みになっている。保健所は医療機関への立入検査(医療監視)も担っており、医療機関の開設・廃止などの手続きを扱う窓口である。

  3. ×c.  町役場

    町村は保健所を設置していない(保健所を設置するのは都道府県、政令指定都市・中核市などの保健所設置市、特別区である)。町役場は住民票や国民健康保険、市町村保健センターによる住民向けの保健サービスなどを担うが、診療所開設届の受付先ではない。

  4. ×d.  地区医師会

    医師会は医師が任意で加入する職能団体(公益社団法人・一般社団法人)であり、行政機関ではない。開業時に入会することは多いが、加入は義務ではなく、医療法上の届出先でもない。

  5. ×e.  臨床研修指定病院

    臨床研修指定病院は、医師免許取得後の初期臨床研修(2年以上)を行う病院として厚生労働大臣が指定した医療機関である。研修を修了していることは医師が届出のみで診療所を開設するための要件であるが、研修病院そのものは行政機関ではなく届出先にはならない。

医療機関の開設手続きの整理(医療法)

・病院の開設:開設者を問わず、開設前に都道府県知事(保健所設置市・特別区の場合を含め、病院は原則として都道府県知事)の許可が必要(第7条)。 ・臨床研修等修了医師・歯科医師による診療所の開設:開設後10日以内に都道府県知事(保健所設置市では市長、特別区では区長)へ届出(第8条)。 ・医師・歯科医師でない者(医療法人など)による診療所の開設:開設前に許可が必要(第7条)。 ・助産師による助産所の開設:開設後10日以内に届出(第8条)。 ・診療所に病床を設ける場合(有床診療所):病床の設置について許可が必要となる。 ・休止・廃止:休止・廃止した日から10日以内に届出(第8条の2・第9条)。

保健所の概要

保健所は地域保健法に基づき、都道府県、政令指定都市、中核市、その他政令で定める市、特別区が設置する。業務には、医事・薬事に関する事項(医療機関の開設届の受理や立入検査など)、感染症対策、食品衛生、環境衛生、精神保健、難病対策などがある。一方、市町村が設置する市町村保健センターは、健康相談・健康診査・保健指導など住民に身近な対人保健サービスを担う施設であり、医療機関の監督は行わない。

医療法上の「病院」と「診療所」

病院は入院用の病床が20床以上、診療所は病床なし(無床)または19床以下(有床)の医療施設である。

POINT

・医師が診療所を開設したら、開設後10日以内に都道府県知事(保健所設置市・特別区では市長・区長)へ届出る。実際の提出窓口は保健所。 ・病院の開設、および医師・歯科医師以外の者による診療所の開設は、事前に許可が必要。 ・保健所の設置主体は都道府県・保健所設置市・特別区で、町村は設置しない。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。