子宮底に頭がある―Leopold診察法で読み解く「骨盤位第2胎向」
第104回医師国家試験 B問題 第14問
国試問題にチャレンジ
Leopold診察法の結果を示す。 第1段:胎児頭部を触れる。 第2段:胎児の背部を母体の右側に触れる。 第3,4段:胎児下向部は骨盤内に進入している。 この児の胎位・胎向はどれか。
- a.頭位第1胎向
- b.頭位第2胎向
- c.骨盤位第1胎向
- d.骨盤位第2胎向
- e.横位
対話形式の解説
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ドクターまとめ
Leopold診察法は、第1段で子宮底にある胎児部分、第2段で児背と小部分の位置、第3段で先進部の種類、第4段で先進部の骨盤内進入の程度を評価する腹部触診法です。胎位は胎児と母体の縦軸の関係で決まり、子宮底に硬く球状で浮球感のある児頭を触れれば、下方の先進部は骨盤端であり骨盤位と判断します。胎向は児背の位置で決まり、母体の左側なら第1胎向、右側なら第2胎向で、本問は骨盤位第2胎向となります。横位では子宮底が空虚で先進部が骨盤に入らない点も鑑別の要です。骨盤位が妊娠末期まで持続すれば外回転術や分娩方法の検討が必要になるため、触診と超音波で胎位を正しく把握する力は妊婦健診と分娩管理の基本となります。
解答・解説
正解はdです
Leopold(レオポルド)診察法の所見から、胎位と胎向を判定する問題である。
用語の確認
・胎位:胎児の縦軸と子宮(母体)の縦軸との位置関係。縦位のうち児頭が下にあるものを頭位、骨盤端(殿部・足)が下にあるものを骨盤位という。両軸が直交するものが横位、斜めに交わるものが斜位である。 ・胎向:児背(横位では児頭)が母体のどちら側を向いているか。児背が母体の左側にあれば第1胎向、右側にあれば第2胎向である。
所見の読み取り
・第1段:子宮底部(上方)に胎児頭部を触れる。上に頭があるのだから、下方にあるのは骨盤端であり、胎位は骨盤位と判断できる。 ・第2段:児背を母体の右側に触れる。児背が右側なので第2胎向である。 ・第3・4段:先進部(下向部、ここでは殿部)が骨盤内に進入している。縦位で先進部が骨盤に入っていることから、横位は否定される。 以上から、本児は骨盤位第2胎向である。頭が「上」にあることを見落として頭位と取り違えないこと、胎向は児背の向きで決まり母体の「左=第1、右=第2」であることを確実に押さえておけば解ける。
選択肢考察
- ×a. 頭位第1胎向
頭位であれば第1段で子宮底部に触れるのは殿部(丸みはあるが柔らかく不整で、浮球感に乏しい)であり、児頭は第3段で下方に触れるはずである。本問では第1段で子宮底に児頭を触れているので頭位ではない。さらに第1胎向は児背が母体の左側にある場合を指すが、本問では右側に児背を触れている。胎位・胎向ともに合致しない。
- ×b. 頭位第2胎向
児背が母体右側という点は第2胎向に合致するが、子宮底部で児頭を触れている以上、下方の先進部は骨盤端であり頭位ではない。胎位の判定が誤りである。
- ×c. 骨盤位第1胎向
子宮底に児頭を触れることから骨盤位である点は正しい。しかし第1胎向は児背が母体の左側にある状態であり、本問のように児背を母体右側に触れる場合は第2胎向となる。胎向の判定が誤りである。
- ○d. 骨盤位第2胎向
第1段で子宮底部に硬く丸い児頭(浮球感を伴う)を触れるため、下方の先進部は殿部などの骨盤端であり骨盤位である。第2段で児背を母体の右側に触れるので第2胎向となる。第3・4段で先進部が骨盤内に進入していることも縦位(骨盤位)と矛盾しない。したがって骨盤位第2胎向である。
- ×e. 横位
横位では胎児の縦軸が母体の縦軸と直交するため、子宮底部には胎児の大部分を触れず空虚に感じられ、児頭と殿部は子宮の左右に触れる。また骨盤入口部には先進部がなく、骨盤内への進入も認めない。本問は子宮底に児頭、骨盤内に先進部を触れており縦位であるから、横位は否定される。
Leopold診察法の各段
妊婦を仰臥位・膝を軽く曲げた姿勢にし、腹壁を弛緩させて行う腹部触診法である。胎位・胎向・胎勢(胎児の姿勢)や先進部の種類、骨盤への嵌入の程度を評価する。 ・第1段:検者は妊婦の顔の方を向き、両手掌を子宮底に当てて子宮底の高さと、そこにある胎児部分を確認する。 ・第2段:両手を子宮の左右側壁に移し、児背(平らで広く、抵抗のある面)と小部分(手足:凹凸があり動く)がどちら側にあるかを確認する。胎向の判定に用いる。 ・第3段:片手(通常右手)の母指と他の4指で恥骨結合上の先進部をつかみ、その種類と可動性をみる。 ・第4段:検者は妊婦の足の方を向き、両手の指先を骨盤入口に向けて差し入れ、先進部の骨盤内進入の程度を確かめる。
児頭と殿部の触れ方の違い
・児頭:硬く、球状で表面平滑。左右から押すと浮かんで戻る浮球感(バロットマン)を認める。 ・殿部:やや柔らかく、形が不整で大きい。浮球感は乏しく、胴体と連続して動く。
胎位・胎向の頻度と臨床
・分娩時の胎位は頭位が約95%、骨盤位が約3〜5%、横位は1%未満である。 ・頭位では第1胎向が第2胎向より多い。 ・骨盤位は妊娠中期までは珍しくないが、多くは自然回転で頭位になる。妊娠末期まで骨盤位が持続する場合は、外回転術の検討や分娩方法(多くは選択的帝王切開)の決定が必要となる。 ・横位は経腟分娩が不可能であり、原則として帝王切開の適応となる。 【補足】胎位の最終確認には超音波検査が簡便で確実であり、現在はLeopold診察法と併用して評価される。
POINT
・胎位は胎児縦軸と母体縦軸の関係(頭位・骨盤位・横位・斜位)。 ・胎向は児背の向き:母体左側=第1胎向、右側=第2胎向。 ・Leopold第1段で子宮底に児頭を触れれば骨盤位。 ・第2段で胎向、第3段で先進部の種類、第4段で骨盤内進入度をみる。 ・横位では子宮底が空虚で、先進部が骨盤に入らない。
