日本の人口はいつ減り始めた?―2005年、戦後初の「自然減」が告げた転換点
第118回医師国家試験 F問題 第10問
国試問題にチャレンジ
我が国で日本人の総人口が減少に転じた時期はどれか。
- a.1980年代
- b.1990年代
- c.2000年代
- d.2010年代
- e.2020年代
対話形式の解説
ドクター
医学生
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医学生
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
日本の人口は戦後増え続けましたが、1970年代半ばから合計特殊出生率が人口置換水準を下回り続け、1989年の「1.57ショック」で少子化が社会問題化しました。それでも人口は増加を続け、2005年に死亡数が出生数を初めて上回る自然減となって、総人口が戦後初めて減少に転じました。その後、2008年頃に総人口はピークを迎え、2011年以降は毎年減少が続いています。人口増減は自然増減と社会増減の和であり、日本では自然減の規模が大きいことが人口減少の主因です。「減り始め(2005年)」「ピーク(2008年頃)」「連続減少(2011年以降)」を区別して理解しておくことは、高齢化や生産年齢人口の減少がもたらす医療・社会保障の課題を考えるうえでの基礎になります。
解答・解説
正解はcです
我が国の人口の推移を、おおまかな時期とともに押さえているかを問う問題である。 第二次世界大戦後、日本の人口はベビーブームや死亡率の低下によって増え続けた。しかし1970年代半ば以降は合計特殊出生率が人口を維持できる水準(人口置換水準、おおむね2.1前後)を下回り続け、出生数は長期的に減少した。一方で高齢化が進んで死亡数は増え、2005年には死亡数が出生数を初めて上回り(自然減)、人口推計で総人口が前年を下回った。これが戦後初めての人口減少である。 その後数年間は横ばいに近い状態が続き、総人口は2008年に約1億2,808万人でピークを迎えた。2011年以降は毎年減少が続き、人口減少社会が定着している。 したがって「減少に転じた」最初の時期は2005年を含む2000年代と考えるのが妥当である。2010年代は減少が継続的・確定的になった時期であって、初めて減少に転じた時期ではない。
選択肢考察
- ×a. 1980年代
1980年代は出生数の減少が進んではいたが、死亡数は出生数より少なく(自然増)、人口は毎年増加していた。人口減少はまだ始まっていない。
- ×b. 1990年代
1990年代は1989年の合計特殊出生率1.57(いわゆる「1.57ショック」)を契機に少子化が社会問題として認識された時期である。ただし人口の伸びは鈍化しつつも増加は続いており、減少には転じていない。
- ○c. 2000年代
2005年に死亡数が出生数を上回る自然減となり、総人口が戦後初めて前年より減少した。その後も増減が小さい状態が続いたのち、2008年をピークとして人口は減少局面に入った。人口が初めて減少に転じた時期として最も適切なのは2000年代である。
- ×d. 2010年代
2010年代は2011年以降毎年連続して人口が減少し、減少傾向が定着・加速した時期である。しかし初めて減少に転じたのはそれより前の2005年であり、「減少に転じた時期」としては適切でない。
- ×e. 2020年代
2020年代はすでに長期の人口減少が続いている時期であり、減少幅が年間数十万人規模に拡大している。減少に転じた時期ではない。
人口増減の2つの要素
人口の増減=自然増減(出生数-死亡数)+社会増減(転入数-転出数)である。国全体では社会増減は主に国際的な人の移動(入国・出国)による。自然減であっても、外国からの流入による社会増がそれを上回れば総人口は減らない。我が国では外国人の流入はあるものの、日本人の自然減の規模が大きいため、総人口は減少を続けている。
日本の人口の主な節目
・1974年頃以降:合計特殊出生率が人口置換水準を下回る状態が続く ・1989年:合計特殊出生率1.57(1.57ショック) ・2005年:死亡数が出生数を初めて上回り、総人口が戦後初めて減少 ・2007年以降:自然減が毎年続く ・2008年:総人口がピーク(約1億2,808万人) ・2011年以降:総人口が毎年減少 ・2022年10月1日現在の人口推計:総人口約1億2,494万人、前年比約55.6万人(0.44%)減で12年連続の減少
人口減少と高齢化
出生数の減少と平均寿命の延伸により、65歳以上人口の割合(高齢化率)は上昇を続け、現在は約3割に達している。生産年齢人口(15〜64歳)は1990年代半ばをピークに減少しており、社会保障や医療提供体制に大きな影響を与えている。
POINT
・2005年:自然減となり、総人口が戦後初めて減少(=減少に転じたのは2000年代) ・2008年:総人口のピーク(約1億2,808万人) ・2011年以降:毎年連続して減少 ・人口増減=自然増減+社会増減
