「施設」はどの法律に?―次世代育成支援対策推進法の守備範囲を見極める
第116回医師国家試験 F問題 第20問
国試問題にチャレンジ
次世代育成支援対策推進法について誤っているのはどれか。
- a.児童福祉施設が規定されている。
- b.国民は子育て支援に協力する責務を負っている。
- c.子どもが健やかに生まれ,育成されることを目的とする。
- d.国及び地方公共団体は子育て支援を推進する責務を負っている。
- e.従業員数が100人を超える事業主は次世代育成行動計画を策定する。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
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医学生
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ドクターまとめ
次世代育成支援対策推進法は、少子化を背景に2003年に制定され、子どもが健やかに生まれ育成される社会の形成を目的として、国・地方公共団体・事業主・国民それぞれの責務と行動計画を定めた法律です。常時雇用する労働者が101人以上の事業主には一般事業主行動計画の策定・届出が義務づけられており、基準を満たした企業は「くるみん」認定を受けられます。一方、保育所や乳児院、児童養護施設などの児童福祉施設を規定しているのは児童福祉法であり、本法ではありません。母子保健法、児童福祉法、児童虐待防止法など子どもに関わる法律は数多いため、それぞれの法律が何を定めているかを整理しておくことが、試験対策だけでなく臨床で社会資源を活用するうえでも役立ちます。
解答・解説
正解はaです
問われていること
次世代育成支援対策推進法の目的と、関係者(国・地方公共団体・事業主・国民)の責務、事業主の行動計画について問い、内容として「誤っているもの」を選ぶ問題である。
法律の概要
次世代育成支援対策推進法は、急速な少子化の進行と家庭・地域を取り巻く環境の変化を背景に、2003年に制定された。次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される社会の形成に資することを目的とし、そのための基本理念を定めたうえで、国・地方公共団体・事業主・国民それぞれの責務を明らかにしている。 当初は10年間の時限立法であったが、改正により期限が延長され、現在も効力を有している。
解き方
本法は「子育てを社会全体で支えるために、誰がどのような責務を負い、どんな行動計画を作るか」を定めた法律であり、施設の種類や設置基準を定める法律ではない。児童福祉施設(保育所、乳児院、児童養護施設など)を定めているのは児童福祉法である。この区別ができれば、誤っている選択肢を選べる。
選択肢考察
- ○a. 児童福祉施設が規定されている。
誤りであり、これが正解である。児童福祉施設は児童福祉法に規定されている。児童福祉法は、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センターなどを児童福祉施設として定めている。次世代育成支援対策推進法は、子育て支援を推進するための責務や行動計画を定めた法律であり、施設の規定は含まない。
- ×b. 国民は子育て支援に協力する責務を負っている。
正しい記述である。本法は国民の責務として、次世代育成支援対策の重要性について関心と理解を深めるとともに、国や地方公共団体が講じる次世代育成支援対策に協力しなければならないと定めている。子育て支援を行政や家庭だけに任せず、社会全体で担うという考え方に基づく。
- ×c. 子どもが健やかに生まれ,育成されることを目的とする。
正しい記述である。本法の目的は、次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進し、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ育成される社会の形成に資することである。基本理念として、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという認識のもと、家庭その他の場で子育ての意義が理解され、子育てに伴う喜びが実感されるよう配慮して対策を行うことが掲げられている。
- ×d. 国及び地方公共団体は子育て支援を推進する責務を負っている。
正しい記述である。本法は、国と地方公共団体が基本理念にのっとり、相互に連携を図りながら次世代育成支援対策を総合的かつ効果的に推進するよう努めなければならないと定めている。また、国や地方公共団体の機関は、雇用主としての立場から職員の子育てを支援する「特定事業主行動計画」を策定することとされている。
- ×e. 従業員数が100人を超える事業主は次世代育成行動計画を策定する。
正しい記述である。常時雇用する労働者が100人を超える(101人以上の)民間事業主は、従業員の仕事と子育ての両立を支援するための雇用環境の整備などを内容とする行動計画(法律上は「一般事業主行動計画」)を策定し、都道府県労働局へ届け出て、公表・労働者への周知を行う義務がある。100人以下の事業主では努力義務である。なお、義務の対象は当初301人以上であったが、2011年度から101人以上に拡大された。
次世代育成支援対策推進法の主な内容
・目的:次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される社会の形成に資する。 ・責務:国・地方公共団体(対策の総合的・効果的な推進)、事業主(雇用環境の整備、国や地方公共団体の対策への協力)、国民(関心と理解を深め、対策に協力する)。 ・行動計画:国が行動計画策定指針を示し、これに基づいて市町村・都道府県の行動計画、一般事業主行動計画(民間企業)、特定事業主行動計画(国・地方公共団体の機関)が策定される。 ・認定制度:一般事業主行動計画の目標を達成するなど一定の基準を満たした企業は、厚生労働大臣から「子育てサポート企業」として認定を受け、「くるみん」マークを表示できる。より高い水準を満たすと「プラチナくるみん」の認定がある。 ・期限:2003年に10年間の時限立法として制定され、その後の改正で期限が延長されている。
児童福祉法との違い
児童福祉法(1947年制定)は、すべての児童の福祉を保障する基本法で、児童福祉施設、児童相談所、保育、障害児支援、要保護児童の保護(里親制度など)などを定める。本法とは目的も対象も異なるため混同しないこと。
母子保健・子育て支援に関わる主な法律
・母子保健法:母子健康手帳、妊婦健康診査、乳幼児健康診査(1歳6か月児・3歳児)、新生児訪問指導、低出生体重児の届出など。 ・児童福祉法:児童福祉施設、児童相談所、保育所など。 ・児童虐待の防止等に関する法律:虐待の定義、通告義務など。 ・子ども・子育て支援法:教育・保育給付、地域子ども・子育て支援事業など。 ・育児・介護休業法:育児休業、介護休業の制度。 ・こども基本法:こども施策の基本理念を定める(2023年施行)。
POINT
・次世代育成支援対策推進法=子どもが健やかに生まれ育成される社会の形成が目的。国・地方公共団体・事業主・国民の責務を定める。 ・常時雇用労働者101人以上の事業主は一般事業主行動計画の策定・届出が義務(100人以下は努力義務)。 ・児童福祉施設を規定するのは児童福祉法である。
