分母を間違えるな!―「肥満度」で読み解く子どもの体格評価
第115回医師国家試験 C問題 第75問
国試問題にチャレンジ
7歳5か月の男児。太っていることを心配した母親に連れられて来院した。身長120cm,体重28kg。 肥満度を求めよ。なお,7歳5か月,男児の標準体重を22kgとする。 ただし,小数点以下の数値が得られた場合には,小数第1位を四捨五入すること。 解答:①② %
対話形式の解説
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ドクターまとめ
小児では成長に伴い体格の基準が年齢ごとに変わるため、学童期の体格評価には「肥満度(%)=(実測体重−標準体重)÷標準体重×100」を用います。本問では(28−22)÷22×100=27.27…で、四捨五入して27%となり、分母を実測体重にすると21%と誤るので注意が必要です。学童期は+20%以上が肥満(+20〜30%軽度、+30〜50%中等度、+50%以上高度)、−20%以下がやせと判定され、乳幼児期にはカウプ指数が用いられます。小児肥満の多くは単純性肥満ですが、身長の伸びが悪い場合は内分泌疾患や遺伝性疾患による症候性肥満を疑い、成長曲線で身長と体重を併せて評価することが重要です。正しい計算と判定ができることは、学校健診や外来での早期介入、将来の生活習慣病予防の第一歩になります。
解答・解説
正解は27 %です
考え方
小児の体格評価では、成人のようにBMI(body mass index)の一定の基準値で判定することができない。小児は成長に伴って身長と体重の釣り合いが年齢ごとに変化するため、BMIの基準値も年齢によって大きく変わるからである。そこで学童期以降の小児では、同じ性・年齢・身長の子どもの標準体重と比べて、実際の体重が何%多い(少ない)かを示す「肥満度」を用いる。
計算式
肥満度(%)=(実測体重 − 標準体重)÷ 標準体重 × 100
計算過程
実測体重 28 kg、標準体重 22 kg を代入する。 (28 − 22)÷ 22 × 100 = 6 ÷ 22 × 100 = 0.2727… × 100 = 27.27…(%) 小数第1位を四捨五入すると 27% となる。したがって解答欄①②には「2」「7」を記入する。
判定
学童期では肥満度 +20%以上を肥満とするので、本児の +27% は肥満(軽度肥満:+20%以上 +30%未満)に該当する。母親の心配は妥当であり、生活習慣の確認や食事・運動指導の対象となる。
小児の体格指標の使い分け
・乳幼児期:カウプ指数(Kaup index)= 体重(g)÷ 身長(cm)² × 10。式の形はBMI〔体重(kg)÷ 身長(m)²〕と同じで、単位の取り方が違うだけである。乳幼児ではおおむね 15〜18 程度が標準域とされるが、適正範囲は月齢・年齢によって変わる。 ・学童期:ローレル指数(Rohrer index)= 体重(kg)÷ 身長(cm)³ × 10⁷ も古くから使われ、130前後が標準、160以上が肥満とされる。ただし身長によって値がぶれやすいため、現在の学校保健では肥満度による評価が中心である。 ・幼児期以降〜学童期:肥満度。性別・年齢別・身長別の標準体重(日本では学校保健で用いられる性別・年齢別の身長から算出する式がある)を用いる。
肥満度による判定(学童期)
・+20%以上:肥満 +20%以上 +30%未満:軽度肥満 +30%以上 +50%未満:中等度肥満 +50%以上:高度肥満 ・−20%以下:やせ(痩身)。−30%以下は高度やせ。 幼児期では +15%以上を「太りぎみ」以上として扱う基準が用いられる。
小児肥満の背景
小児肥満の大部分は、エネルギーの摂取過剰と運動不足による単純性(原発性)肥満である。一方、身長の伸びが悪い(低身長や成長率の低下を伴う)肥満では、甲状腺機能低下症、Cushing症候群、成長ホルモン分泌不全などの内分泌疾患や、Prader-Willi症候群などの遺伝性疾患による症候性(二次性)肥満を疑う。単純性肥満では身長の伸びはむしろ良好であることが多い点が鑑別の手がかりとなる。 学童期の肥満は成人期の肥満に移行しやすく、脂質異常症、高血圧、2型糖尿病、脂肪肝(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)などの合併にも注意が必要である。
POINT
・肥満度(%)=(実測体重 − 標準体重)÷ 標準体重 × 100 ・本問:(28 − 22)÷ 22 × 100 = 27.27… → 四捨五入して 27% ・学童期は肥満度 +20%以上で肥満(+20〜30%軽度、+30〜50%中等度、+50%以上高度)、−20%以下でやせ ・乳幼児期はカウプ指数〔体重(g)÷ 身長(cm)² × 10〕で評価する ・分母は実測体重ではなく標準体重である点に注意(実測体重で割ると 21% と誤答になる)
