StudyMed医師国家試験

分母を間違えるな!―「肥満度」で読み解く子どもの体格評価

第115回医師国家試験 C問題 第75問

国試問題にチャレンジ

第115回 C問題 第75問

7歳5か月の男児。太っていることを心配した母親に連れられて来院した。身長120cm,体重28kg。  肥満度を求めよ。なお,7歳5か月,男児の標準体重を22kgとする。  ただし,小数点以下の数値が得られた場合には,小数第1位を四捨五入すること。 解答:①② %

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は小児の体格評価、特に「肥満度」を計算する問題だ。計算そのものはシンプルだけど、何を分母にするかで答えが変わってしまう落とし穴がある。まず、子どもの肥満を評価するとき、大人と同じBMIでいいと思うかな。
医学生医学生
BMIなら25以上が肥満、と覚えていますが、子どもにも同じ基準を当てはめていいのか自信がありません。
ドクタードクター
いい疑問だね。子どもは成長とともに身長と体重の釣り合いが年齢ごとに変わるから、BMIの基準値も年齢によって大きく動いてしまう。成人のように一律の数字で線を引くことができないんだ。
医学生医学生
だから学童期では、同じ性・年齢・身長の子の標準体重と比べる「肥満度」を使うんですね。小児科の講義で式だけは習った記憶があります。
ドクタードクター
その通り。式は、実測体重から標準体重を引いて、それを標準体重で割り、100をかける。つまり「標準よりどれだけ重いか」を標準体重に対する割合で表すわけだ。では実際に計算してみよう。
医学生医学生
28から22を引いて6、それを28で割って……約21%でしょうか。
ドクタードクター
そこが一番多い誤答なんだ。分母は実測体重ではなく標準体重。「標準に比べて何%多いか」を知りたいのだから、基準になるのは標準体重のほうだよ。
医学生医学生
あっ、そうでした。6を22で割ると0.2727…なので、100をかけて27.27…%、小数第1位を四捨五入して27%ですね。
ドクタードクター
正解。答えは27%だ。では、この27%は臨床的にどう判定されるかな。
医学生医学生
+20%以上が肥満だったと思うので、肥満に入りますか。
ドクタードクター
そう。学童期では+20%以上を肥満とし、+20%以上30%未満が軽度、30%以上50%未満が中等度、50%以上が高度肥満と分類する。逆に−20%以下はやせだ。この子は軽度肥満に該当するから、お母さんの心配はもっともで、生活習慣の確認や食事・運動の指導につなげていくことになる。
医学生医学生
乳幼児健診の実習ではカウプ指数を使っていましたが、年齢で指標を使い分けるんですね。
ドクタードクター
よく気づいたね。乳幼児期はカウプ指数、つまり体重(g)を身長(cm)の2乗で割って10をかけたもので、実はBMIと同じ形の式を単位を変えて計算しているだけなんだ。標準域はおおむね15〜18程度だけど、月齢によって変わる。学童期にはローレル指数も昔から使われてきたけど、身長によって値がぶれやすいので、今の学校保健では肥満度による評価が中心になっている。
医学生医学生
肥満の子を診たら、まずは食べすぎと運動不足を考えればいいのでしょうか。
ドクタードクター
大部分はエネルギーの摂取過剰と運動不足による単純性肥満だ。ただし見逃してはいけないのが症候性肥満。甲状腺機能低下症、Cushing症候群、成長ホルモン分泌不全などの内分泌疾患や、Prader-Willi症候群などの遺伝性疾患がある。鑑別のヒントは身長の伸びで、単純性肥満では身長はむしろよく伸びることが多いのに対し、症候性肥満では低身長や成長率の低下を伴いやすい。
医学生医学生
成長曲線を描いて、体重だけでなく身長の推移も一緒に見るのが大事なんですね。
ドクタードクター
その通り。さらに、学童期の肥満は成人肥満に移行しやすく、脂質異常症、高血圧、2型糖尿病、脂肪肝といった合併症にもつながる。だから軽度のうちに気づいて、家族ぐるみで生活習慣を見直す支援をすることが大切なんだ。

まとめ

小児では成長に伴い体格の基準が年齢ごとに変わるため、学童期の体格評価には「肥満度(%)=(実測体重−標準体重)÷標準体重×100」を用います。本問では(28−22)÷22×100=27.27…で、四捨五入して27%となり、分母を実測体重にすると21%と誤るので注意が必要です。学童期は+20%以上が肥満(+20〜30%軽度、+30〜50%中等度、+50%以上高度)、−20%以下がやせと判定され、乳幼児期にはカウプ指数が用いられます。小児肥満の多くは単純性肥満ですが、身長の伸びが悪い場合は内分泌疾患や遺伝性疾患による症候性肥満を疑い、成長曲線で身長と体重を併せて評価することが重要です。正しい計算と判定ができることは、学校健診や外来での早期介入、将来の生活習慣病予防の第一歩になります。

解答・解説

正解は27 %です

考え方

小児の体格評価では、成人のようにBMI(body mass index)の一定の基準値で判定することができない。小児は成長に伴って身長と体重の釣り合いが年齢ごとに変化するため、BMIの基準値も年齢によって大きく変わるからである。そこで学童期以降の小児では、同じ性・年齢・身長の子どもの標準体重と比べて、実際の体重が何%多い(少ない)かを示す「肥満度」を用いる。

計算式

肥満度(%)=(実測体重 − 標準体重)÷ 標準体重 × 100

計算過程

実測体重 28 kg、標準体重 22 kg を代入する。 (28 − 22)÷ 22 × 100 = 6 ÷ 22 × 100 = 0.2727… × 100 = 27.27…(%) 小数第1位を四捨五入すると 27% となる。したがって解答欄①②には「2」「7」を記入する。

判定

学童期では肥満度 +20%以上を肥満とするので、本児の +27% は肥満(軽度肥満:+20%以上 +30%未満)に該当する。母親の心配は妥当であり、生活習慣の確認や食事・運動指導の対象となる。

小児の体格指標の使い分け

・乳幼児期:カウプ指数(Kaup index)= 体重(g)÷ 身長(cm)² × 10。式の形はBMI〔体重(kg)÷ 身長(m)²〕と同じで、単位の取り方が違うだけである。乳幼児ではおおむね 15〜18 程度が標準域とされるが、適正範囲は月齢・年齢によって変わる。 ・学童期:ローレル指数(Rohrer index)= 体重(kg)÷ 身長(cm)³ × 10⁷ も古くから使われ、130前後が標準、160以上が肥満とされる。ただし身長によって値がぶれやすいため、現在の学校保健では肥満度による評価が中心である。 ・幼児期以降〜学童期:肥満度。性別・年齢別・身長別の標準体重(日本では学校保健で用いられる性別・年齢別の身長から算出する式がある)を用いる。

肥満度による判定(学童期)

・+20%以上:肥満  +20%以上 +30%未満:軽度肥満  +30%以上 +50%未満:中等度肥満  +50%以上:高度肥満 ・−20%以下:やせ(痩身)。−30%以下は高度やせ。 幼児期では +15%以上を「太りぎみ」以上として扱う基準が用いられる。

小児肥満の背景

小児肥満の大部分は、エネルギーの摂取過剰と運動不足による単純性(原発性)肥満である。一方、身長の伸びが悪い(低身長や成長率の低下を伴う)肥満では、甲状腺機能低下症、Cushing症候群、成長ホルモン分泌不全などの内分泌疾患や、Prader-Willi症候群などの遺伝性疾患による症候性(二次性)肥満を疑う。単純性肥満では身長の伸びはむしろ良好であることが多い点が鑑別の手がかりとなる。 学童期の肥満は成人期の肥満に移行しやすく、脂質異常症、高血圧、2型糖尿病、脂肪肝(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)などの合併にも注意が必要である。

POINT

・肥満度(%)=(実測体重 − 標準体重)÷ 標準体重 × 100 ・本問:(28 − 22)÷ 22 × 100 = 27.27… → 四捨五入して 27% ・学童期は肥満度 +20%以上で肥満(+20〜30%軽度、+30〜50%中等度、+50%以上高度)、−20%以下でやせ ・乳幼児期はカウプ指数〔体重(g)÷ 身長(cm)² × 10〕で評価する ・分母は実測体重ではなく標準体重である点に注意(実測体重で割ると 21% と誤答になる)

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。