調査票を書くのは誰?―患者調査の「回答者」を見抜く
第113回医師国家試験 F問題 第2問
国試問題にチャレンジ
患者調査について誤っているのはどれか。
- a.受療率がわかる。
- b.3年に1度行われる。
- c.患者本人が回答する。
- d.平均在院日数がわかる。
- e.厚生労働省が実施する。
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
患者調査は、厚生労働省が3年ごとに実施する基幹統計で、層化無作為抽出された病院・一般診療所・歯科診療所が診療録などをもとに調査票を記入します。回答者は医療施設であり患者本人ではない点が最大のポイントで、本人・世帯の申告に基づく有訴者率や通院者率は国民生活基礎調査で把握します。患者調査からは推計患者数、受療率(人口10万対)、退院患者の平均在院日数、総患者数などがわかり、病院全体の平均在院日数や病床利用率を算出する病院報告とは性格が異なります。各統計を「実施主体・周期・回答者・わかる指標」で整理しておくことが、国試対策だけでなく、地域医療や医療政策のデータを読み解く基礎になります。
解答・解説
正解はcです
患者調査の実施主体・周期・調査対象・わかる指標を問う問題である。「誤っているのはどれか」型なので、患者調査の内容と合わない記述を一つ選ぶ。 患者調査は、病院・一般診療所・歯科診療所を利用する患者の傷病の状況などを把握するため、厚生労働省が3年ごとに行う全国調査である。統計法上の基幹統計にあたる。調査票に記入するのは患者ではなく、無作為に抽出された医療施設であり、施設が診療録などをもとに、調査日に受診・入院していた患者や調査期間中の退院患者の情報を記入する。この調査から、推計患者数、受療率、退院患者の平均在院日数、傷病の分類(主傷病名)などがわかる。 したがって「患者本人が回答する」という記述が誤りである。患者本人や世帯が回答する調査(国民生活基礎調査など)と混同しないことが解答のポイントになる。
選択肢考察
- ×a. 受療率がわかる。
記述は正しい。受療率は、調査日に医療施設で受療した推計患者数を人口10万人あたりで表した値であり、患者調査で得られる代表的な指標である。入院・外来別、性・年齢階級別、傷病別に集計される。
- ×b. 3年に1度行われる。
記述は正しい。患者調査は3年周期で実施される。同じく3年ごとに大規模調査が行われるものに国民生活基礎調査や医療施設静態調査があり、周期はまとめて覚えておくとよい。
- ○c. 患者本人が回答する。
記述は誤りであり、これが正解である。患者調査の回答者(調査票の記入者)は、抽出された病院・診療所などの医療施設である。施設が診療録などに基づき、対象患者の性・年齢、傷病名、入院・外来の別、退院患者の在院期間などを記入する。患者に直接質問する調査ではない。自覚症状がある者の割合(有訴者率)や通院者率のように本人・世帯の申告に基づく指標は、国民生活基礎調査で把握される。
- ×d. 平均在院日数がわかる。
記述は正しい。患者調査では、調査期間内(通常は9月の1か月間)に退院した患者について入院から退院までの日数を調べるため、退院患者の平均在院日数を傷病別・年齢別などに算出できる。なお、病院全体の平均在院日数は病院報告からも算出されるので、両者は区別しておく。
- ×e. 厚生労働省が実施する。
記述は正しい。患者調査の実施主体は厚生労働省である。調査票は都道府県・保健所などを通じて医療施設に配布・回収される。
患者調査の概要
・実施主体:厚生労働省(基幹統計調査) ・周期:3年ごと(10月に実施) ・対象:層化無作為抽出された病院・一般診療所・歯科診療所と、そこを利用する患者 ・記入者:医療施設(患者本人ではない) ・調査の区分:入院・外来患者は、施設ごとに指定された調査日1日分の患者が対象。退院患者は9月の1か月間に退院した患者が対象となる。 ・主な結果指標:推計患者数、受療率(人口10万対)、退院患者の平均在院日数、総患者数(調査日には受診していなくても継続的に治療を受けている者を含めた推計値)、傷病別の患者構成など
混同しやすい調査との違い
・国民生活基礎調査:厚生労働省。毎年実施し、3年ごとに大規模調査を行う。世帯・世帯員が回答し、有訴者率、通院者率、要介護者の状況、所得などがわかる。 ・医療施設調査:医療施設の数・病床数・設備などを調べる。静態調査は3年ごと、動態調査は開設・廃止などを随時把握する。 ・病院報告:病院の在院患者数・新入院患者数・退院患者数などを毎月報告するもので、病床利用率や病院全体の平均在院日数の算出に使われる。
受療率の傾向
入院・外来とも、受療率は高齢になるほど高くなる。傷病別にみると、入院では精神及び行動の障害や循環器系の疾患が多く、外来では消化器系の疾患(歯科疾患を含む)や循環器系の疾患(高血圧性疾患など)が多い。
POINT
・患者調査は厚生労働省が3年ごとに実施する基幹統計である。 ・回答(記入)するのは医療施設であり、患者本人ではない。 ・推計患者数、受療率、退院患者の平均在院日数、総患者数がわかる。 ・本人・世帯の申告に基づく有訴者率・通院者率は国民生活基礎調査で把握する。
