StudyMed医師国家試験

脳は6歳でほぼ大人―スキャモンの発育曲線で読み解く「成長の時間差」

第111回医師国家試験 H問題 第12問

国試問題にチャレンジ

第111回 H問題 第12問

縦軸に20歳時の発達・発育量を100%としたときの値,横軸に年齢を示す。  神経系の正常な発達・発育を示しているのはどれか。

第111回 H問題 第12問の問題画像
  1. a.①
  2. b.②
  3. c.③
  4. d.④
  5. e.⑤

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、体の組織ごとに成長のタイミングが違うことを示したグラフ、スキャモンの臓器別発育曲線の問題だ。20歳時点を100%としたとき、どの曲線がいつ立ち上がり、どこで頭打ちになるか。その「形」に注目して見ていこう。
医学生医学生
小児科の講義で出てきた図ですね。でも正直、曲線の形と組織の対応がうろ覚えで…。
ドクタードクター
丸暗記より、それぞれの組織が「いつ必要になるか」を考えると覚えやすいよ。スキャモンの曲線は神経系型、リンパ系型、一般型、生殖器型の4つに分けられる。まず神経系。赤ちゃんは生まれてすぐ、見る・聞く・動くを学び始めるよね。
医学生医学生
だから脳は一番早く育つ必要がある、ということですか。
ドクタードクター
その通り。脳重量は出生時に約400gで成人の約25%、6歳ころには約90%に達する。だからグラフ上では、出生直後から急角度で立ち上がり、幼児期のうちに成人値近くで頭打ちになる曲線が神経系型だ。今回の正解はこの曲線になる。
医学生医学生
乳児健診の実習で頭囲を測ったとき、1歳までにぐんと大きくなると教わりました。あれも神経系型の反映なんですね。
ドクタードクター
いいところに気づいたね。頭囲は出生時約33cm、1歳で約45cmと、乳児期に急増する。頭囲も脳の発育を映す指標として神経系型に含まれるんだ。では、学童期に100%を大きく超えて山をつくり、その後下がって20歳で100%に戻る曲線は何だと思う?
医学生医学生
100%を超えるのは不思議ですけど…一時的に大きくなって縮むなら、胸腺とか扁桃でしょうか。
ドクタードクター
正解、リンパ系型だ。胸腺、リンパ節、扁桃などのリンパ組織は学童期に成人の2倍近くまで増大し、思春期以降に退縮する。子どもに扁桃肥大やアデノイドが多く、成長とともに目立たなくなるのはこのためだよ。
医学生医学生
耳鼻科の外来見学で、アデノイドの子どもが多かったのを思い出しました。では、途中でいったん伸びが緩やかになってから、また伸びる曲線は?
ドクタードクター
それが一般型。身長・体重、骨格、筋肉、呼吸器、消化器、腎臓、血液量などが該当する。乳幼児期と思春期に2回の成長スパートがあり、全体としてS字状になる。成長曲線で見る身長の伸び方と同じ形だね。
医学生医学生
思春期まではほぼ平らで、そこから急上昇する曲線は生殖器型ですね。精巣や卵巣、子宮、前立腺。
ドクタードクター
そう。性ホルモンの分泌が高まる二次性徴期に一気に発育する。ちなみに選択肢の中には、年齢とともにまっすぐ直線的に増える曲線もあったけれど、スキャモンの分類にそういう型はない。
医学生医学生
直線だと一番素直に見えるので、引っかけとして気をつけます。まとめると、早い順に神経系、リンパ系と一般型、最後に生殖器、ということですね。
ドクタードクター
よく整理できているね。臨床的な意味も押さえておこう。神経系は早く発達する分、その時期の栄養障害や環境要因の影響を受けやすい。発達には器官ごとに臨界期があって、乳幼児期の低栄養や虐待・ネグレクトなどが後々の発達に影響しうるんだ。
医学生医学生
だから乳幼児健診で頭囲や発達を細かくチェックするんですね。小頭症や大頭症の早期発見にもつながりそうです。
ドクタードクター
その通り。頭囲が成長曲線から外れていく場合は、脳の発育異常や水頭症などを考えるきっかけになる。身長は1歳で出生時の約1.5倍、4歳で約2倍、体重は1歳で約3倍といった目安も、一般型の理解とセットで覚えておくと健診や外来で役立つよ。

まとめ

スキャモンの臓器別発育曲線は、20歳時を100%として組織の発育を神経系型・リンパ系型・一般型・生殖器型の4型に分けたものです。神経系型は出生直後から急速に立ち上がり、脳重量は6歳ころに成人の約90%に達するため、最も早く頭打ちになる曲線として識別できます。リンパ系型は学童期に成人の2倍近くまで増大してから退縮し、一般型は乳幼児期と思春期の2つのスパートを持つS字状、生殖器型は思春期以降に急上昇するのが特徴で、直線的に増える型は存在しません。神経系が早期に発達することは、乳幼児期の栄養や環境が発達に大きく影響すること、そして頭囲測定を含む乳幼児健診が重要であることの根拠にもなります。曲線の形を「その組織がいつ必要になるか」と結びつけて理解することが、小児の成長発達を評価する土台となります。

解答・解説

正解はbです

本問の図は、Scammon(スキャモン)の臓器別発育曲線である。20歳時点の発育量を100%として、体の各組織が年齢とともにどのような速さで成長するかを4つの型(リンパ系型・神経系型・一般型・生殖器型)に分けて示したものである。 各曲線は形の特徴で見分けられる。 ・出生直後から急速に立ち上がり、幼児期のうちに成人値近くに達する曲線 → 神経系型 ・学童期に100%を大きく超えて山を作り、その後低下して20歳で100%に戻る曲線 → リンパ系型 ・乳幼児期と思春期の2回に伸びが大きく、全体としてS字状になる曲線 → 一般型 ・思春期まではほとんど伸びず、思春期以降に急上昇する曲線 → 生殖器型 神経系は最も早期に発達する組織であり、脳重量は出生時に成人の約25%、6歳ころには成人の約90%に達する。したがって、最も早い時期に急峻に立ち上がり、早く頭打ちになる②が神経系型である。

選択肢考察

  1. ×a.  ①

    誤り。①は学童期(10~12歳ころ)に成人値の約2倍近くまで達したのち、思春期以降に縮小して20歳で100%に戻る曲線であり、リンパ系型である。胸腺、リンパ節、扁桃、腸管などのリンパ組織が該当する。小児期に扁桃やアデノイドが大きく、思春期以降に退縮していくのはこのためである。

  2. ○b.  ②

    正しい。②は出生直後から急激に増加し、乳幼児期のうちに成人値の大部分に到達する曲線で、神経系型である。脳、脊髄、視覚器、頭囲などが該当する。脳重量は出生時約400gで成人の約25%、6歳ころには約90%に達し、他のどの組織よりも早く成熟に近づく。乳幼児期に頭囲が急速に大きくなるのもこれを反映している。

  3. ×c.  ③

    誤り。③は乳幼児期に大きく伸び、学童期にはゆるやかになり、思春期に再び伸びが加速するS字状の曲線で、一般型である。身長・体重、骨格、筋肉全体、呼吸器、消化器、腎臓、血液量などが該当する。乳児期と思春期の2つの成長スパートを持つのが特徴である。

  4. ×d.  ④

    誤り。④は年齢とともに一定の割合で直線的に増加する曲線である。Scammonの発育曲線にはこのような直線型の組織は含まれず、該当する組織はない。

  5. ×e.  ⑤

    誤り。⑤は思春期まではほとんど増加せず、思春期以降に急激に発育する曲線で、生殖器型である。精巣、卵巣、子宮、前立腺などが該当する。性ホルモンの分泌が高まる二次性徴期に一気に成長する。

Scammonの臓器別発育曲線(4型)

・神経系型:脳、脊髄、視覚器、頭囲など。出生後最も早く発達し、6歳ころには成人の約90%に達する。 ・リンパ系型:胸腺、リンパ節、扁桃などのリンパ組織。学童期に成人の約2倍近くまで増大し、その後退縮して20歳で成人レベルとなる。 ・一般型:身長、体重、骨格、筋肉、呼吸器、消化器、腎臓、血液量など。乳幼児期と思春期に伸びが大きいS字状曲線を描く。 ・生殖器型:精巣、卵巣、子宮、前立腺など。思春期までほとんど発育せず、思春期以降に急速に発育する。

関連事項

・頭囲は出生時約33cm、1歳で約45cmと乳児期に急増する。大泉門は1歳半ころまでに閉鎖する。 ・身長は1歳で出生時の約1.5倍、4歳で約2倍となる。体重は生後3~4か月で約2倍、1歳で約3倍となる。 ・成長の速度は器官ごとに異なり、各器官には発達の「臨界期」が存在する。神経系は早期に発達するため、乳幼児期の栄養障害や環境要因の影響を受けやすい。

POINT

・Scammonの発育曲線は、神経系型・リンパ系型・一般型・生殖器型の4型。 ・神経系型:最も早く立ち上がり、6歳ころに成人の約90%。 ・リンパ系型:学童期に100%を超える山(約200%近く)を作り、その後低下。 ・一般型:S字状(乳幼児期と思春期に2つのスパート)。 ・生殖器型:思春期以降に急増。 ・直線的に増加する型は存在しない。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。