「1日350g」を覚えているか―健康日本21(第二次)が数値で追いかけた食べもの
第110回医師国家試験 C問題 第13問
国試問題にチャレンジ
健康日本21(第二次)で摂取量の目標値が設定されているのはどれか。
- a.魚
- b.卵
- c.豆類
- d.野菜
- e.乳製品
対話形式の解説
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ドクターまとめ
健康日本21(第二次)は健康寿命の延伸と健康格差の縮小を最上位目標とする国民健康づくり運動で、栄養・食生活分野のうち摂取量に数値目標が置かれたのは食塩(1日平均8g)、野菜(1日平均350g)、果物(1日100g未満の者の割合を30%に)です。魚・卵・豆類・乳製品には摂取量の目標はなく、特に豆類と牛乳・乳製品は第一次ではカルシウム源として目標があったものの第二次では外れた点がひっかけになります。2024年度からの第三次では食塩7g、果物200gへと見直されましたが、野菜350gは引き継がれています。こうした数値は試験対策にとどまらず、外来や健診での具体的な食事・保健指導の目安として活用できます。
解答・解説
正解はdです
健康日本21(第二次)の「栄養・食生活」分野で、どの食品・栄養素に具体的な摂取量の数値目標が置かれているかを問う知識問題である。
健康日本21(第二次)とは
健康増進法に基づく「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」として、2013年度から実施された国民健康づくり運動である(当初は2022年度までの計画であったが、延長されて2023年度まで実施された)。最上位の目標として健康寿命の延伸と健康格差の縮小を掲げ、生活習慣の改善については栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康の各分野に数値目標を設定した。
栄養・食生活分野の主な目標
・適正体重を維持している者の増加(肥満・やせの減少) ・主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日の者の割合の増加 ・食塩摂取量の減少(1日平均8gを目標) ・野菜と果物の摂取量の増加(野菜は1日平均350g、果物は1日の摂取量が100g未満の者の割合を30%に減らす) ・共食(家族などと一緒に食事をとること)の増加 ・食品中の食塩や脂肪を減らす取り組みを行う企業や、利用者に応じた食事を提供する特定給食施設の増加 つまり「摂取量」に目標値があるのは食塩、野菜、果物であり、選択肢の中では野菜が該当する。野菜の目標値350gは、カリウム・食物繊維・ビタミンなどを適量とるのに必要な量として算出されたもので、国民の平均摂取量(成人で1日280g前後)はこれを下回る状態が続いている。
選択肢考察
- ×a. 魚
誤り。魚は良質なたんぱく質やn-3系脂肪酸(EPA・DHA)の供給源として推奨される食品であるが、健康日本21(第二次)では魚の摂取量についての数値目標は設定されていない。
- ×b. 卵
誤り。卵は良質なたんぱく質源であり、コレステロールを多く含む食品でもあるが、健康日本21(第二次)では卵の摂取量の目標値は定められていない。なお日本人の食事摂取基準でも、2015年版以降はコレステロール摂取量の目標量(上限値)の設定は見送られている。
- ×c. 豆類
誤り。豆類は植物性たんぱく質や食物繊維の供給源であるが、健康日本21(第二次)では豆類の摂取量の目標値は設定されていない。なお、前身の健康日本21(第一次、2000〜2012年度)ではカルシウムに富む食品として豆類の摂取量の目標(成人1日100g以上)が置かれていたが、第二次では採用されなかった。
- ○d. 野菜
正しい。健康日本21(第二次)では「野菜と果物の摂取量の増加」が目標の一つとされ、野菜については1日の平均摂取量を350gに増やすことが目標値として示された。野菜にはカリウム、食物繊維、抗酸化ビタミンなどが含まれ、十分な摂取は循環器病(高血圧・脳卒中など)や2型糖尿病、一部のがんの予防に役立つと考えられている。この350gという目標は、2024年度から始まった健康日本21(第三次)にも引き継がれている。
- ×e. 乳製品
誤り。乳製品はカルシウムの重要な供給源であるが、健康日本21(第二次)では乳製品(牛乳・乳製品)の摂取量の目標値は設定されていない。第一次の健康日本21では、カルシウムに富む食品として牛乳・乳製品(成人1日130g以上)の摂取量の目標が置かれていたが、第二次では除かれた。
健康日本21の変遷
・第一次: 2000〜2012年度。9分野で目標を設定。栄養・食生活では、食塩、野菜、カルシウムに富む食品(牛乳・乳製品、豆類、緑黄色野菜)、脂肪エネルギー比率などに目標があった。 ・第二次: 2013〜2023年度。健康寿命の延伸と健康格差の縮小を最上位目標とし、生活習慣病の発症予防と重症化予防、社会環境の整備などを柱とした。 ・第三次: 2024〜2035年度。「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」をビジョンとし、誰一人取り残さない健康づくりやライフコースアプローチを重視する。
第二次と第三次の主な食事関連目標の比較
・食塩: 第二次 1日平均8g → 第三次 1日平均7g ・野菜: 第二次・第三次とも 1日平均350g ・果物: 第二次 摂取量100g未満の者の割合30% → 第三次 1日平均200g ・主食・主菜・副菜を組み合わせた食事: 第二次・第三次とも割合の増加が目標とされている
関連する他分野の目標(第二次)
・飲酒: 生活習慣病のリスクを高める量(1日当たり純アルコール摂取量 男性40g以上、女性20g以上)を飲酒している者の割合の減少 ・喫煙: 成人の喫煙率の減少(12%)、未成年者・妊娠中の喫煙をなくす
POINT
・健康日本21(第二次)で摂取量の目標値があるのは食塩(8g)、野菜(350g)、果物(100g未満の者の割合30%)。 ・魚、卵、豆類、乳製品には数値目標はない(豆類・乳製品は第一次では目標があった)。 ・第三次(2024年度〜)では食塩7g、野菜350g、果物200g。
