自分でデータを集めない研究とは?―一次研究と二次研究で整理する研究デザイン
第109回医師国家試験 C問題 第9問
国試問題にチャレンジ
研究を行う本人が患者や対象者の集団に働きかけて直接データを収集しないのはどれか。
- a.コホート研究
- b.症例対照研究
- c.ランダム化比較試験
- d.ケースシリーズ研究
- e.メタ分析〈メタアナリシス〉
対話形式の解説
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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医学生
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ドクターまとめ
研究は、研究者が自ら対象者を設定してデータを集める一次研究と、既に公表された複数の研究結果を集めて統合する二次研究に分けられます。コホート研究、症例対照研究、ランダム化比較試験、ケースシリーズ研究はいずれも一次研究であり、後ろ向きに既存の記録を使う場合でも研究者自身が対象者を定めてデータを集める点は変わりません。メタ分析は系統的レビューで集めた研究結果を統計学的に統合する二次研究で、新たに対象者からデータを収集しないため本問の答えとなります。RCTのメタ分析は治療効果に関する最も高いエビデンスレベルに位置づけられますが、出版バイアスや研究間の異質性、元の研究の質に左右される点にも注意が必要です。研究デザインの特徴を理解することは、論文を批判的に読み、診療に適切にエビデンスを活かすための基本となります。
解答・解説
正解はeです
臨床研究・疫学研究は、研究者がデータをどこから得るかによって大きく二つに分けて考えることができる。 ・一次研究(原著研究):研究者自身が患者や対象集団を設定し、観察・調査・介入を行って直接データを集め、解析する研究。記述研究(症例報告、ケースシリーズなど)、観察研究(横断研究、症例対照研究、コホート研究など)、介入研究(ランダム化比較試験など)がこれに当たる。 ・二次研究:すでに発表された複数の一次研究の結果を収集・評価・統合する研究。系統的レビュー(システマティックレビュー)やメタ分析がこれに当たる。 本問は「研究者本人が対象者に働きかけて直接データを収集しない」研究デザインを問うている。選択肢のうちコホート研究、症例対照研究、ランダム化比較試験、ケースシリーズ研究はいずれも研究者が対象者を設定してデータを得る一次研究である(既存の診療録などを用いる後ろ向き研究であっても、研究者自身が対象者を定めて個々のデータを集める点は変わらない)。これに対し、メタ分析は既に公表された研究の結果を材料として統計的に統合する二次研究であり、研究者が新たに対象者からデータを集めることはない。
選択肢考察
- ×a. コホート研究
該当しない。コホート研究は、ある要因(曝露)の有無で分けた集団を追跡し、その後の疾病発生などを比較する観察研究である。研究者が対象集団を設定し、曝露情報や転帰(アウトカム)のデータを自ら収集する一次研究である。前向きに追跡するものが典型だが、過去の記録を利用して追跡する後ろ向きコホート研究もある。相対危険(リスク比)や罹患率を直接算出できる。
- ×b. 症例対照研究
該当しない。症例対照研究は、疾病をもつ人(症例)と疾病をもたない人(対照)を選び、過去の要因への曝露状況を面接や記録から調べて比較する観察研究である。研究者が症例と対照を選定し、曝露に関するデータを収集する一次研究である。まれな疾患の研究に向き、関連の強さはオッズ比で評価する。想起バイアスなどの影響を受けやすい。
- ×c. ランダム化比較試験
該当しない。ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)は、対象者を無作為に介入群と対照群に割り付け、介入(治療など)の効果を比較する介入研究である。研究者が対象者に積極的に働きかけて介入を行い、転帰のデータを収集する典型的な一次研究である。無作為化により既知・未知の交絡因子が群間で均等化されるため、一次研究の中で最もエビデンスレベルが高い。
- ×d. ケースシリーズ研究
該当しない。ケースシリーズ研究(症例集積研究)は、同じ疾患や同じ治療を受けた複数の患者の臨床経過・所見をまとめて記述する記述研究である。対照群をもたないため因果関係の検証には弱いが、研究者自身が患者を集めてデータを収集・整理する一次研究である。新しい疾患や稀な副作用の最初の報告などに用いられる。
- ○e. メタ分析〈メタアナリシス〉
該当する。メタ分析は、同じテーマについて独立に行われた複数の研究の結果を系統的に集め、統計学的手法で統合して、より精度の高い効果の推定値を得る方法である。研究者は既に公表された論文などの結果を解析の材料とするため、自ら患者や対象集団に働きかけて新たにデータを収集することはない。個々の研究では症例数が少なく結論が出せない場合でも、統合により検出力を高められる。一方で、出版バイアス(有意な結果の研究ほど公表されやすい)や、統合する研究間の異質性に注意が必要である。
研究デザインの分類
・記述研究:症例報告、ケースシリーズ研究、記述疫学(生態学的研究を含む) ・分析的観察研究:横断研究、症例対照研究、コホート研究 ・介入研究:ランダム化比較試験、非ランダム化比較試験、クロスオーバー試験など ・二次研究:系統的レビュー、メタ分析
系統的レビューとメタ分析
系統的レビューは、あらかじめ定めた検索方法と選択基準に従って関連する研究を網羅的に探し出し、質を評価して結果をまとめる手法である。そのうえで結果を数量的に統合する統計手法がメタ分析であり、結果はフォレストプロット(各研究と統合結果の効果量・信頼区間を並べた図)で示されることが多い。出版バイアスの検討にはファンネルプロットが用いられる。
エビデンスレベル(治療・介入の有効性に関する一般的な序列)
高い順に、ランダム化比較試験の系統的レビュー・メタ分析 > ランダム化比較試験 > 非ランダム化比較試験 > コホート研究 > 症例対照研究 > 横断研究 > ケースシリーズ・症例報告 > 専門家の意見、とされる。ただし、統合される個々の研究の質が低ければ、メタ分析の結論の信頼性も低くなる点に注意する。
前向き研究と後ろ向き研究
前向き・後ろ向きは、データ収集の時間的方向を示す区分である。後ろ向き研究は既存の記録を用いることが多いが、研究者自身が対象者を設定して個別データを集める点で一次研究であり、他の研究の結果を統合する二次研究(メタ分析)とは異なる。
POINT
・メタ分析は既存の複数の研究結果を統計学的に統合する二次研究で、研究者が対象者から直接データを集めない ・コホート研究、症例対照研究、ランダム化比較試験、ケースシリーズ研究は研究者が自らデータを収集する一次研究 ・RCTのメタ分析は治療効果に関する最も高いエビデンスレベルに位置づけられる ・メタ分析では出版バイアスと研究間の異質性に注意する
