StudyMed医師国家試験

4か月健診で見るのは「首」―頭から足へ進む運動発達の地図

第106回医師国家試験 C問題 第6問

国試問題にチャレンジ

第106回 C問題 第6問

運動発達が正常な4か月の乳児が可能なのはどれか。

  1. a.お坐り
  2. b.頸定
  3. c.つかまり立ち
  4. d.寝返り
  5. e.はいはい

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は乳児の運動発達のマイルストーンを問う問題だ。個々の月齢を暗記するより先に、発達がどんな順番で進むかという原則を押さえると、ぐっと解きやすくなるよ。
医学生医学生
小児科の講義で「頭尾方向」と習った記憶があります。
ドクタードクター
そう、それがまず1つ目の原則。運動発達は頭部から足のほうへ、そして体の中心から末梢へと進む。だから最初に制御できるようになるのは首の筋肉で、次に体幹、最後に下肢で体重を支える動作だ。
医学生医学生
となると、4か月だと首がすわる時期なので、頸定でしょうか。
ドクタードクター
正解。頸定は3〜4か月で完成する、粗大運動発達の最初の大きな節目だ。では、順番を一通り確認してみよう。頸定の次は何かな。
医学生医学生
寝返りですか。うちの親戚の赤ちゃんが4か月で寝返りしたと聞いたので、ちょっと迷いました。
ドクタードクター
早い子はいるけれど、一般的な目安は5〜6か月だ。首がすわった後、体幹をひねる力がついて獲得される。首がすわる前に体が横に倒れて偶然うつぶせになることもあるけれど、それは自発的な寝返りとはいえない。目安の月齢は「その時期にできる子が多い」という意味だと理解しておこう。
医学生医学生
お坐りはその次ですね。7か月くらいでしたっけ。
ドクタードクター
そう、支えなしのお坐りは7か月ごろ。体幹の筋力とバランスが育たないと坐位は保てないので、4か月の子を坐らせても前や横に倒れてしまう。続いてはいはいが8か月ごろ、つかまり立ちが9〜10か月ごろ、伝い歩きが10〜11か月、独歩が1歳〜1歳3か月ごろだ。
医学生医学生
はいはいは上肢と下肢を交互に動かす協調運動、つかまり立ちは下肢で体重を支える動作なので、どちらも4か月では無理ですね。
ドクタードクター
その通り。ちなみに、はいはいをほとんどせずに立って歩く子もいるから、はいはいの有無だけで発達異常とは判断しない。ここは臨床でもよく保護者から質問されるところだよ。
医学生医学生
実際の健診では、首がすわったかどうかはどうやって確かめるんですか。OSCEの小児診察の練習でも少しやった気がします。
ドクタードクター
仰向けで両手を持って引き起こしたときに、頭が体幹に遅れずについてくるかを見る。これが引き起こし反応だ。縦抱きや腹臥位で頭を安定して保てるかも確認する。5か月になっても頸定がみられなければ、運動発達の遅れとして精査を考える。
医学生医学生
運動以外の発達も、4か月だとどのあたりですか。
ドクタードクター
3〜4か月では、あやすと声を出して笑う、180度の追視ができる、手を口に持っていく、といった時期だ。5〜6か月で手を伸ばして物をつかみ喃語が出て、7〜8か月で物の持ちかえや人見知り、9〜10か月で母指と示指でつまむピンセットつまみ、1歳前後で有意語、2歳で二語文と覚えておくといい。
医学生医学生
原始反射との関係も気になります。Moro反射っていつ消えるんでしたっけ。
ドクタードクター
おおむね4〜6か月で消える。原始反射は大脳の成熟とともに消えて、代わりに随意運動や姿勢反応が育ってくる。消えるべき時期を過ぎても残っていたり、左右差があったりする場合は、脳性麻痺などの中枢神経障害を疑うきっかけになるんだ。
医学生医学生
早産で生まれた子の場合も、同じ月齢で見ていいんですか。
ドクタードクター
いい質問だね。早産児は出生予定日から数えた修正月齢で評価する。実際の月齢で判断すると、正常な子を「遅れている」と誤って評価してしまうから注意が必要だ。

まとめ

乳児の粗大運動発達は頭部から下肢へ、体幹中心から末梢へと進み、頸定(3〜4か月)→寝返り(5〜6か月)→お坐り(7か月)→はいはい(8か月)→つかまり立ち(9〜10か月)→伝い歩き(10〜11か月)→独歩(1歳〜1歳3か月)が目安となります。正常な4か月児で可能なのはこのうち頸定であり、引き起こし反応で頭部が体幹に遅れずついてくるかで確認し、5か月を過ぎても頸定がなければ精査を考えます。発達の評価では、追視や喃語などの他領域の発達、Moro反射など原始反射の消失時期もあわせて確認し、早産児は修正月齢で判断します。月齢の数字を丸暗記するのではなく発達の順序と原則で理解しておくと、乳幼児健診や保護者への説明で迷わず判断できるようになります。

解答・解説

正解はbです

問われていること

乳児の粗大運動(体幹や四肢を使う大きな運動)の発達の順序と、おおよその獲得月齢(キー・マイルストーン)を問う問題である。

考え方

乳児の運動発達には、「頭部から足のほうへ(頭尾方向)」「体の中心から末梢へ」進むという原則がある。まず首(頸部)の筋肉の制御が可能になり、次に体幹をひねる寝返り、体幹を支えるお坐り、四肢を協調させるはいはい、下肢で体重を支えるつかまり立ち、そして独歩へと進む。 標準的な獲得時期の目安は次のとおりである。 ・頸定(首のすわり):3〜4か月 ・寝返り:5〜6か月 ・お坐り(支えなしの坐位):7か月ごろ ・はいはい:8か月ごろ ・つかまり立ち:9〜10か月 ・伝い歩き:10〜11か月 ・独歩(ひとり歩き):1歳〜1歳3か月ごろ 4か月の時点で可能と期待されるのは、選択肢の中では頸定のみである。

選択肢考察

  1. ×a.  お坐り

    支えなしで坐っていられる「お坐り」は7か月ごろに可能となる。頸定と寝返りを経て体幹の筋力とバランス制御が発達して初めて獲得される動作であり、4か月では体幹の支えが不十分なため、坐らせても前や横に倒れてしまう。

  2. ○b.  頸定

    頸定(首のすわり)は3〜4か月で完成し、4か月の正常な乳児では可能である。仰向けで両手を持って引き起こしたとき(引き起こし反応)に頭部が体幹に遅れずついてくること、縦抱きや腹臥位で頭を安定して保持できることで確認する。粗大運動発達の最初の大きな節目であり、4か月健診での重要な評価項目である。5か月になっても頸定がみられない場合は、運動発達の遅れとして精査を検討する。

  3. ×c.  つかまり立ち

    家具などにつかまって立ち上がる「つかまり立ち」は9〜10か月ごろに可能となる。下肢で体重を支える筋力と、立位でのバランス保持が必要であり、4か月では不可能である。

  4. ×d.  寝返り

    寝返りは5〜6か月ごろに可能となる。頸定が完成した後、体幹をひねる動作が発達して獲得される。4か月では一般にまだできない。なお、首がすわる前に体が横に倒れて偶然うつぶせになることはあるが、これは自発的な寝返りとはいえない。

  5. ×e.  はいはい

    はいはい(四つばい)は8か月ごろに可能となる。お坐りが安定し、上肢と下肢を交互に協調させて体重を移動できるようになって獲得される。4か月では不可能である。なお、はいはいをほとんどせずに立位・歩行に進む児もおり、はいはいの有無だけで発達異常とは判断しない。

粗大運動と微細運動・言語・社会性の目安

・3〜4か月:頸定、あやすと声を出して笑う、追視(180度)、手を口にもっていく ・5〜6か月:寝返り、手を伸ばして物をつかむ、喃語 ・7〜8か月:お坐り、物を持ちかえる、人見知り ・9〜10か月:つかまり立ち、はいはい、母指と示指でつまむ(ピンセットつまみ)、バイバイなどの模倣 ・1歳〜1歳3か月:独歩、意味のある単語(有意語)を話し始める ・1歳6か月:上手に歩く、意味のある単語を複数話す ・2歳:走る、二語文

原始反射との関係

新生児期にみられるMoro反射や手掌把握反射などの原始反射は、大脳の成熟とともに消失し、それに代わって随意運動や姿勢反応が発達する。Moro反射はおおむね4〜6か月で消失する。原始反射が消えるべき時期を過ぎても残存する場合や、左右差がある場合は、脳性麻痺などの中枢神経障害を疑う。

評価上の注意

発達の獲得時期には個人差があり、上記の月齢は「その時期にできる児が多い」という目安である。早産児では出生予定日から数えた修正月齢で評価する。

POINT

・運動発達の目安:頸定3〜4か月 → 寝返り5〜6か月 → お坐り7か月 → はいはい8か月 → つかまり立ち9〜10か月 → 伝い歩き10〜11か月 → 独歩1歳〜1歳3か月。 ・運動発達は頭部から下肢へ、体幹中心から末梢へと進む。 ・4か月健診では頸定の確認が重要(引き起こし反応で頭部が遅れずついてくるか)。 ・早産児は修正月齢で評価する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。