StudyMed医師国家試験

減る人口、増える支え手の負担―年齢3区分と従属人口指数で読む日本の未来

第106回医師国家試験 B問題 第39問

国試問題にチャレンジ

第106回 B問題 第39問

 我が国の将来推計人口で,2025年に現時点よりも増加していることが予想されるのはどれか。2つ選べ。

  1. a.総人口
  2. b.年少人口
  3. c.老年人口
  4. d.従属人口指数
  5. e.生産年齢人口

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は日本の人口構造がこれからどう変わるかを問う公衆衛生の問題だ。ポイントは「少子高齢化」という大きな流れを、年齢3区分と人口指数の定義に当てはめて考えること。なお、この問題が出題されたのは2010年頃なので、「現時点」はその頃と読み替えてほしい。まずは年齢3区分を確認しよう。
医学生医学生
年少人口が0〜14歳、生産年齢人口が15〜64歳、老年人口が65歳以上ですね。CBTの公衆衛生で何度も出てきました。
ドクタードクター
完璧だ。では、少子化と高齢化が続くと、それぞれの区分はどう動くと思う?
医学生医学生
子どもが生まれにくいので年少人口は減って、長生きの人が増えるので老年人口は増える。総人口は……高齢者が増える分、むしろ増えそうな気もします。
ドクタードクター
そこはよくある誤解だね。日本の総人口は2008年頃をピークにすでに減少に転じている。出生数が死亡数を下回る「自然減」が続いていて、しかもその差は年々広がっているんだ。高齢者が増えても、亡くなる方も増え、生まれる子どもは少ない。だから総人口は減る。
医学生医学生
なるほど、高齢者の「割合」が増えることと、総人口が増えることは別なんですね。
ドクタードクター
その通り。年少人口は、合計特殊出生率が人口置換水準の約2.1を長く下回り続けているから一貫して減少。生産年齢人口はどうだろう。
医学生医学生
少子化世代が15歳に達して入ってくる人数は少ないのに、出ていく側は人数が多い世代なので、減りそうです。
ドクタードクター
いい推論だ。生産年齢人口は1995年頃をピークに減っている。入口が細く、出口から団塊の世代のような大きな塊が65歳へ抜けていくイメージだね。一方、老年人口は平均寿命の延長に加え、団塊の世代が2012〜2014年に65歳に達したことで大きく増えた。つまり実数で増えるのは老年人口だけなんだ。
医学生医学生
じゃあ答えは老年人口だけで、もう一つは何だろう……従属人口指数ですか?
ドクタードクター
そこが本問の肝だね。従属人口指数の定義を言えるかな。
医学生医学生
えっと、(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100、でしたっけ。働き手1人が何人を支えているかの指標だと講義で習いました。
ドクタードクター
正解。分子では年少人口が減るけれど、それを上回る勢いで老年人口が増えるから分子は増える。しかも分母の生産年齢人口は減っている。分子が増えて分母が減るのだから、指数は確実に上昇する。従属人口指数は1990年代前半に最低となり、その後は上がり続けているんだ。
医学生医学生
割り算の指標は、分子と分母を別々に考えると迷わないですね。年少人口指数は下がって、老年人口指数は上がる、ということも同時に整理できました。
ドクタードクター
そう、ついでに老年化指数、つまり老年人口÷年少人口×100も押さえておこう。分子が増えて分母が減るから、これも大きく上昇している。指数の定義は今でも頻出だから、式ごと覚えておくといい。
医学生医学生
2025年という年にも何か意味があるんですか?地域医療の実習で「2025年問題」という言葉を聞きました。
ドクタードクター
よく覚えていたね。2025年は団塊の世代が全員75歳以上、つまり後期高齢者になる年だ。医療・介護の需要が急増し、社会保障費の負担が大きな課題になる。それを見据えて、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムづくりが進められてきたんだ。
医学生医学生
高齢化率で社会の呼び方が変わるのも関連事項ですよね。7%、14%、21%でしたか。
ドクタードクター
その通り。7%超で高齢化社会、14%超で高齢社会、21%超で超高齢社会。日本は1970年、1994年、2007年にそれぞれ超えた。将来推計人口は国立社会保障・人口問題研究所が国勢調査をもとにおおむね5年ごとに公表していて、通常は出生中位・死亡中位推計が使われる。この問題自体は特定時点の推計に基づくものだけど、年齢3区分の動向と指数の定義は、地域の医療計画を考えるうえでも欠かせない基礎知識だよ。

まとめ

日本では少子化と高齢化が同時に進み、総人口・年少人口・生産年齢人口は減少する一方、老年人口は増加しています。従属人口指数は(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100で表され、老年人口の増加が年少人口の減少を上回り、さらに分母の生産年齢人口が減るため上昇を続けています。同様に年少人口指数は低下し、老年人口指数や老年化指数は上昇しており、割り算の指標は分子と分母を分けて考えると整理しやすくなります。2025年は団塊の世代が全員75歳以上となる節目で、医療・介護需要の増大に備えた地域包括ケアシステムの構築が進められてきました。人口構造と指数の定義を理解することは、国試対策にとどまらず、これからの地域医療や社会保障を考える土台になります。

解答・解説

正解はc, dです

我が国の人口構造が今後どう変化するかを問う問題である。本問は第106回(2012年実施)の出題であり、「現時点」とは2010年前後を指す。 日本の総人口は2008年頃をピークに減少局面に入っており、その背景には長く続く少子化(出生数の減少)と、平均寿命の延長による高齢化がある。この「少子高齢化」という大きな流れを年齢3区分に当てはめれば、各指標の増減は次のように整理できる。 ・年少人口(0〜14歳):出生数の減少により減る。 ・生産年齢人口(15〜64歳):少子化世代が順次この年齢層に入る一方、人数の多い世代が65歳以上へ移るため減る。 ・老年人口(65歳以上):団塊の世代(1947〜1949年生まれ)などが加わり増える。 ・総人口:出生数が死亡数を下回る状態(自然減)が続くため減る。 次に、人口指数の定義を押さえる。従属人口指数は(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100で求められ、働き手1人あたりが支える子どもと高齢者の数を表す。分子のうち年少人口は減るが、それを上回る勢いで老年人口が増え、しかも分母の生産年齢人口は減少するため、従属人口指数は上昇する。 よって、2025年に増加していると予想されるのは老年人口と従属人口指数である。 なお、本問は特定時点の将来推計を前提とした設問であり、現在の国試対策として有用ではない設問とされている。ただし、年齢3区分の動向や人口指数の定義は現在も頻出であり、その理解の確認として活用するとよい。

選択肢考察

  1. ×a.  総人口

    日本の総人口は2008年頃の約1億2,800万人をピークに減少へ転じた。2010年の国勢調査では約1億2,806万人、2020年の国勢調査では約1億2,615万人であり、出生数が死亡数を下回る自然減が年々拡大している。2025年に2010年頃より増えていることはなく、減少が予想される。

  2. ×b.  年少人口

    年少人口(0〜14歳)は、合計特殊出生率が人口置換水準(約2.1)を長く下回り続け、出生数が減少しているために一貫して減っている。総人口に占める割合も2010年の13.1%から2020年には11.9%へ低下しており、2025年も減少が予想される。

  3. ○c.  老年人口

    老年人口(65歳以上)は、平均寿命の延長に加え、人口規模の大きい団塊の世代が2012〜2014年に65歳に達したことなどにより増え続けている。高齢化率(総人口に占める老年人口の割合)は2010年の23.0%から2020年には28.6%へ上昇した。2025年は団塊の世代が全員75歳以上(後期高齢者)となる年であり、老年人口は2010年頃より大きく増加していると予想される。老年人口の実数は2040年代前半にピークを迎えるとされ、その後も高齢化率は上昇が続くと見込まれている。

  4. ○d.  従属人口指数

    従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100であり、年少人口指数と老年人口指数の和である。年少人口は減少するものの、老年人口の増加幅がそれを上回るため分子は増え、さらに分母の生産年齢人口が減るので、指数は上昇する。1990年代前半に最も低くなった後、上昇に転じており、2025年にも2010年頃より増加していると予想される。働き手1人あたりの扶養負担が重くなることを意味する。

  5. ×e.  生産年齢人口

    生産年齢人口(15〜64歳)は1995年頃をピークに減少している。少子化により新たにこの年齢層に加わる人数が少ない一方、人数の多い世代が65歳に到達して老年人口へ移っていくためである。総人口に占める割合も2010年の63.8%から2020年には59.5%へ低下しており、2025年も減少が予想される。

年齢3区分

・年少人口:0〜14歳 ・生産年齢人口:15〜64歳 ・老年人口:65歳以上(65〜74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼ぶ) ・従属人口:年少人口+老年人口(生産年齢人口に扶養される側とみなす人口)

人口指数の定義

・年少人口指数=年少人口÷生産年齢人口×100 ・老年人口指数=老年人口÷生産年齢人口×100 ・従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100(=年少人口指数+老年人口指数) ・老年化指数=老年人口÷年少人口×100 少子高齢化が進む日本では、年少人口指数は低下し、老年人口指数・従属人口指数・老年化指数は上昇している。

高齢化の段階

高齢化率が7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会と呼ばれる。日本は1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超えた。

2025年問題

2025年は団塊の世代がすべて75歳以上となる年であり、医療・介護の需要が急増し、社会保障費の負担が大きな課題となる。これを見据えて、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が進められてきた。

将来推計人口

国立社会保障・人口問題研究所が国勢調査の結果に基づいて、おおむね5年ごとに公表する。出生・死亡の仮定の違いにより複数の推計(中位・高位・低位)が示され、一般には出生中位・死亡中位推計が用いられる。

POINT

・日本では総人口、年少人口、生産年齢人口が減少し、老年人口は増加している。 ・従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100。老年人口の増加と生産年齢人口の減少により上昇している。 ・年少人口指数は低下、老年人口指数・老年化指数は上昇。 ・2025年は団塊の世代が全員75歳以上となる節目の年である。 ・本問は特定時点の推計に基づく設問であり、現在の国試対策としての有用性は低い。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。