日本の人口は「縮み」「老い」「小さくなる」―人口動態の3つの流れで解く
第105回医師国家試験 E問題 第31問
国試問題にチャレンジ
我が国の近年の人口動態・人口構成について正しいのはどれか。
- a.総人口は増加している。
- b.平均世帯人員数は減少傾向にある。
- c.年少人口が老年人口を上回っている。
- d.老年人口割合は10%台で推移している。
- e.人口ピラミッドはひょうたん型である。
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
日本の総人口は2008年ごろをピークに自然減によって減少しており、老年人口は1997年に年少人口を上回って現在は2倍以上となっています。高齢化率は1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超え、近年は30%近くに達しています。人口ピラミッドはすそがすぼまったつぼ型で、ひょうたん型は若年層が流出した農村型、星型は若年層が流入した都市型です。核家族化や単独世帯の増加、未婚化・少子化により平均世帯人員は一貫して減少し、最近では2.2人台となっています。「人口減少・高齢化・世帯の小規模化」という流れを押さえておくことは、統計問題の得点だけでなく、在宅医療や地域包括ケアを考える土台にもなります。
解答・解説
正解はbです
テーマ
日本の人口の大きさと年齢構成の現状を問う問題である。すべて「少子高齢化」と「世帯の小規模化」という二つの流れから判断できる。
正解を導く考え方
・少子化が続き、出生数が死亡数を下回る自然減の状態になっている。そのため総人口は2008年ごろをピークに減少に転じた。 ・高齢化が進み、老年人口(65歳以上)はすでに年少人口(0〜14歳)の2倍を超えている。老年人口割合(高齢化率)は出題時点(2011年)ですでに20%を超えており、現在は30%に近い。 ・人口ピラミッドは、すそ(年少人口)がすぼまった「つぼ型」である。 ・核家族化、単独世帯(一人暮らし)の増加、未婚化・少子化により、1世帯あたりの人数は一貫して減り続けている。 したがって、正しい記述は「平均世帯人員数は減少傾向にある」だけである。 なお、本問は2011年に出題された。統計数値は年々変わるが、傾向を問う点は今も変わらない。
選択肢考察
- ×a. 総人口は増加している。
2005年の国勢調査人口(約1億2,777万人)は、その前年の推計人口をわずかに下回った。戦後初めて人口が前年より減った年として注目された。総人口は2008年の約1億2,808万人が最多で、2011年以降は毎年減少が続いている。出生数が死亡数を下回る自然減が拡大していることが原因であり、「増加している」は誤りである。
- ○b. 平均世帯人員数は減少傾向にある。
一般世帯の1世帯あたり人員は、1950年代には約5人だったが、その後は減少の一途をたどっている。国勢調査では、2000年に2.67人、2005年に2.55人と下がり、2020年には2.2人台となった。背景には、核家族化、単独世帯(とくに高齢者の一人暮らし)の増加、未婚化・晩婚化、少子化がある。したがって正しい記述である。
- ×c. 年少人口が老年人口を上回っている。
1997年に老年人口が年少人口を初めて上回り、それ以降は老年人口のほうが多い状態が続いている。2005年の国勢調査では、年少人口(0〜14歳)が約1,752万人、老年人口(65歳以上)が約2,567万人だった。現在では老年人口は年少人口の2倍以上であり、この記述は誤りである。
- ×d. 老年人口割合は10%台で推移している。
老年人口割合(高齢化率)は、1970年に7%を超えて高齢化社会となり、1994年に14%を超えて高齢社会、2007年に21%を超えて超高齢社会となった。2005年の国勢調査ですでに20.1%であり、その後も上昇を続けて近年は29%前後に達している。10%台だったのは1980年代〜2000年代前半のことで、「10%台で推移」は誤りである。
- ×e. 人口ピラミッドはひょうたん型である。
日本全体の人口ピラミッドは、出生率の低下によってすそが狭まった「つぼ型(紡錘型)」に分類される。細かく見ると、第1次ベビーブーム世代(団塊の世代)と第2次ベビーブーム世代(団塊ジュニア)の2か所にふくらみがある。2005年時点では55〜59歳と30〜34歳を中心とする二つのふくらみがあり、「逆ひょうたん型」と表現されることもある。一方、典型的な「ひょうたん型」は、若い生産年齢人口が都市へ流出した農村部に見られる形であり、国全体の形ではない。
人口ピラミッドの基本型
・ピラミッド型(富士山型):多産多死。すそが広い。発展途上国に多い。 ・つりがね型(ベル型):少産少死で人口が静止している状態。 ・つぼ型(紡錘型):少産少死が進み、出生数が死亡数を下回る人口減少型。日本などの先進国。 ・星型(都市型):生産年齢人口が流入した都市部。 ・ひょうたん型(農村型):生産年齢人口が流出した農村部。
年齢3区分
・年少人口:0〜14歳 ・生産年齢人口:15〜64歳 ・老年人口:65歳以上 ・年少人口指数=年少人口÷生産年齢人口×100 ・老年人口指数=老年人口÷生産年齢人口×100 ・従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100 ・老年化指数=老年人口÷年少人口×100
高齢化の段階(WHO・国連の慣用的な区分)
・高齢化社会:高齢化率7%超(日本は1970年) ・高齢社会:14%超(1994年) ・超高齢社会:21%超(2007年)
人口統計の種類
・人口静態統計:ある時点の人口の規模や構成を示す。国勢調査(5年ごと、10月1日現在)が代表である。世帯人員もここから得られる。 ・人口動態統計:一定期間の出生・死亡・死産・婚姻・離婚を示す。届出に基づいて集計される。
POINT
・総人口は2008年がピークで、その後は減少している(自然減)。 ・老年人口は1997年に年少人口を上回り、現在は2倍以上ある。 ・高齢化率は7%(1970年)→14%(1994年)→21%(2007年)と上がり、現在は30%に近い。 ・平均世帯人員は減り続けている(核家族化・単独世帯の増加)。 ・日本の人口ピラミッドはつぼ型。ひょうたん型は農村型、星型は都市型。
