StudyMed医師国家試験

日本の人口は「縮み」「老い」「小さくなる」―人口動態の3つの流れで解く

第105回医師国家試験 E問題 第31問

国試問題にチャレンジ

第105回 E問題 第31問

 我が国の近年の人口動態・人口構成について正しいのはどれか。

  1. a.総人口は増加している。
  2. b.平均世帯人員数は減少傾向にある。
  3. c.年少人口が老年人口を上回っている。
  4. d.老年人口割合は10%台で推移している。
  5. e.人口ピラミッドはひょうたん型である。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、日本の人口の大きさと年齢構成、そして世帯のかたちの現状を問う問題だ。細かい数字を暗記していなくても、「少子高齢化」と「世帯の小規模化」という2つの大きな流れを押さえていれば判断できる。まず、総人口はいま増えていると思うかな、減っていると思うかな。
医学生医学生
ニュースで「人口減少社会」とよく聞くので、減っていると思います。ただ、いつから減り始めたのかは自信がありません。
ドクタードクター
総人口は2008年ごろの約1億2,800万人がピークで、その後は減少に転じている。原因は、出生数が死亡数を下回る「自然減」が年々拡大していることだ。だから「総人口は増加している」は誤りになる。
医学生医学生
社会医学の講義で、出生数より死亡数が多い状態が続いていると習いました。高齢者が多ければ死亡数も自然と増えますよね。
ドクタードクター
その通り。少子化と高齢化は、人口減少の両輪なんだ。では年齢構成を見てみよう。年齢3区分は覚えているかな。
医学生医学生
年少人口が0〜14歳、生産年齢人口が15〜64歳、老年人口が65歳以上です。CBTの公衆衛生で何度も出てきました。
ドクタードクター
完璧だね。老年人口は1997年に初めて年少人口を上回り、それ以降は逆転したままだ。現在では老年人口が年少人口の2倍を超えている。だから「年少人口が老年人口を上回っている」も誤り。
医学生医学生
高齢化率は、たしか20%台後半くらいでしたよね。「10%台で推移」は低すぎる気がします。
ドクタードクター
いい感覚だ。高齢化率は1970年に7%を超えて高齢化社会、1994年に14%を超えて高齢社会、2007年に21%を超えて超高齢社会になった。2000年代半ばにはすでに20%を超え、近年は30%近くに達している。10%台だったのは1980年代から2000年代前半の話だね。
医学生医学生
7、14、21と7の倍数で区切られているんですね。それなら覚えやすいです。
ドクタードクター
次は人口ピラミッドの形だ。「ひょうたん型」はどんな地域の形か知っているかな。
医学生医学生
真ん中がくびれている形なので……若い世代が出ていった地域でしょうか。
ドクタードクター
正解。ひょうたん型は、若い生産年齢人口が都市へ流出した農村部に見られる「農村型」だ。逆に生産年齢人口が流入した都市部は「星型」になる。日本全体としては、出生率の低下ですそがすぼまった「つぼ型」に分類される。団塊の世代と団塊ジュニアの2か所にふくらみがあるのも日本の特徴だね。
医学生医学生
ということは、残った「平均世帯人員数は減少傾向にある」が正しいわけですね。地域医療実習で訪問診療に同行したとき、一人暮らしの高齢者がとても多くて驚きました。
ドクタードクター
まさにそれが背景だよ。1世帯あたりの人数は1950年代には約5人だったけれど、その後は一貫して減り続け、最近の国勢調査では2.2人台になっている。核家族化、高齢者を中心とした単独世帯の増加、未婚化・晩婚化、少子化が重なった結果だ。
医学生医学生
世帯人員みたいなデータは、人口動態統計ではなく国勢調査から得られるんですよね。
ドクタードクター
よく区別できているね。ある時点の人口の規模や構成を示すのが人口静態統計で、代表は5年ごとに10月1日現在で行う国勢調査だ。一方、出生・死亡・死産・婚姻・離婚といった一定期間の出来事を届出に基づいて集計するのが人口動態統計。この区別もよく問われる。
医学生医学生
臨床に出ると、統計の話はあまり関係ないように感じてしまいますが……。
ドクタードクター
実はそうでもない。独居高齢者が増えれば、退院後に誰が服薬を管理するのか、急変に誰が気づくのかといった問題が日常的に出てくる。在宅医療や地域包括ケアの必要性も、こうした人口構造の変化から生まれているんだ。統計の数値は年ごとに変わるけれど、「人口は減り、高齢者は増え、世帯は小さくなる」という流れを理解しておけば、多くの問題に対応できるよ。

まとめ

日本の総人口は2008年ごろをピークに自然減によって減少しており、老年人口は1997年に年少人口を上回って現在は2倍以上となっています。高齢化率は1970年に7%、1994年に14%、2007年に21%を超え、近年は30%近くに達しています。人口ピラミッドはすそがすぼまったつぼ型で、ひょうたん型は若年層が流出した農村型、星型は若年層が流入した都市型です。核家族化や単独世帯の増加、未婚化・少子化により平均世帯人員は一貫して減少し、最近では2.2人台となっています。「人口減少・高齢化・世帯の小規模化」という流れを押さえておくことは、統計問題の得点だけでなく、在宅医療や地域包括ケアを考える土台にもなります。

解答・解説

正解はbです

テーマ

日本の人口の大きさと年齢構成の現状を問う問題である。すべて「少子高齢化」と「世帯の小規模化」という二つの流れから判断できる。

正解を導く考え方

・少子化が続き、出生数が死亡数を下回る自然減の状態になっている。そのため総人口は2008年ごろをピークに減少に転じた。 ・高齢化が進み、老年人口(65歳以上)はすでに年少人口(0〜14歳)の2倍を超えている。老年人口割合(高齢化率)は出題時点(2011年)ですでに20%を超えており、現在は30%に近い。 ・人口ピラミッドは、すそ(年少人口)がすぼまった「つぼ型」である。 ・核家族化、単独世帯(一人暮らし)の増加、未婚化・少子化により、1世帯あたりの人数は一貫して減り続けている。 したがって、正しい記述は「平均世帯人員数は減少傾向にある」だけである。 なお、本問は2011年に出題された。統計数値は年々変わるが、傾向を問う点は今も変わらない。

選択肢考察

  1. ×a.  総人口は増加している。

    2005年の国勢調査人口(約1億2,777万人)は、その前年の推計人口をわずかに下回った。戦後初めて人口が前年より減った年として注目された。総人口は2008年の約1億2,808万人が最多で、2011年以降は毎年減少が続いている。出生数が死亡数を下回る自然減が拡大していることが原因であり、「増加している」は誤りである。

  2. ○b.  平均世帯人員数は減少傾向にある。

    一般世帯の1世帯あたり人員は、1950年代には約5人だったが、その後は減少の一途をたどっている。国勢調査では、2000年に2.67人、2005年に2.55人と下がり、2020年には2.2人台となった。背景には、核家族化、単独世帯(とくに高齢者の一人暮らし)の増加、未婚化・晩婚化、少子化がある。したがって正しい記述である。

  3. ×c.  年少人口が老年人口を上回っている。

    1997年に老年人口が年少人口を初めて上回り、それ以降は老年人口のほうが多い状態が続いている。2005年の国勢調査では、年少人口(0〜14歳)が約1,752万人、老年人口(65歳以上)が約2,567万人だった。現在では老年人口は年少人口の2倍以上であり、この記述は誤りである。

  4. ×d.  老年人口割合は10%台で推移している。

    老年人口割合(高齢化率)は、1970年に7%を超えて高齢化社会となり、1994年に14%を超えて高齢社会、2007年に21%を超えて超高齢社会となった。2005年の国勢調査ですでに20.1%であり、その後も上昇を続けて近年は29%前後に達している。10%台だったのは1980年代〜2000年代前半のことで、「10%台で推移」は誤りである。

  5. ×e.  人口ピラミッドはひょうたん型である。

    日本全体の人口ピラミッドは、出生率の低下によってすそが狭まった「つぼ型(紡錘型)」に分類される。細かく見ると、第1次ベビーブーム世代(団塊の世代)と第2次ベビーブーム世代(団塊ジュニア)の2か所にふくらみがある。2005年時点では55〜59歳と30〜34歳を中心とする二つのふくらみがあり、「逆ひょうたん型」と表現されることもある。一方、典型的な「ひょうたん型」は、若い生産年齢人口が都市へ流出した農村部に見られる形であり、国全体の形ではない。

人口ピラミッドの基本型

・ピラミッド型(富士山型):多産多死。すそが広い。発展途上国に多い。 ・つりがね型(ベル型):少産少死で人口が静止している状態。 ・つぼ型(紡錘型):少産少死が進み、出生数が死亡数を下回る人口減少型。日本などの先進国。 ・星型(都市型):生産年齢人口が流入した都市部。 ・ひょうたん型(農村型):生産年齢人口が流出した農村部。

年齢3区分

・年少人口:0〜14歳 ・生産年齢人口:15〜64歳 ・老年人口:65歳以上 ・年少人口指数=年少人口÷生産年齢人口×100 ・老年人口指数=老年人口÷生産年齢人口×100 ・従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100 ・老年化指数=老年人口÷年少人口×100

高齢化の段階(WHO・国連の慣用的な区分)

・高齢化社会:高齢化率7%超(日本は1970年) ・高齢社会:14%超(1994年) ・超高齢社会:21%超(2007年)

人口統計の種類

・人口静態統計:ある時点の人口の規模や構成を示す。国勢調査(5年ごと、10月1日現在)が代表である。世帯人員もここから得られる。 ・人口動態統計:一定期間の出生・死亡・死産・婚姻・離婚を示す。届出に基づいて集計される。

POINT

・総人口は2008年がピークで、その後は減少している(自然減)。 ・老年人口は1997年に年少人口を上回り、現在は2倍以上ある。 ・高齢化率は7%(1970年)→14%(1994年)→21%(2007年)と上がり、現在は30%に近い。 ・平均世帯人員は減り続けている(核家族化・単独世帯の増加)。 ・日本の人口ピラミッドはつぼ型。ひょうたん型は農村型、星型は都市型。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。