着床は何日目?流産率は何%?―妊娠の「時間割」を正しく刻む
第104回医師国家試験 B問題 第39問
国試問題にチャレンジ
妊娠について正しいのはどれか。
- a.着床は受精後2日目に起こる。
- b.子宮外妊娠では卵巣妊娠が最も多い。
- c.自然妊娠における流産率は10~15%である。
- d.妊娠36週6日の分娩は正期産である。
- e.妊娠41週6日の分娩は過期産である。
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
受精は卵管膨大部で起こり、受精卵は数日かけて子宮へ運ばれ、受精後6〜7日ごろに着床を始めて12日前後で完了します。異所性妊娠の95%以上は卵管妊娠(とくに膨大部)で、卵巣妊娠はまれです。臨床的に確認された妊娠の約10〜15%が流産に終わり、その多くは胎児の染色体異常による12週未満の早期流産で、母体年齢とともに頻度が上がります。分娩時期は早産(22週0日〜36週6日)、正期産(37週0日〜41週6日)、過期産(42週0日以降)に区分され、境界の1日前を問う出題に注意が必要です。これらの時間軸と数字を正確に押さえることは、妊婦健診での説明や分娩管理の判断の基礎になります。
解答・解説
正解はcです
妊娠の成立から分娩までの基本的な時間経過と、妊娠期間に関する定義を確認する問題である。 【受精から着床まで】排卵された卵子は卵管采に取り込まれ、卵管膨大部で精子と出会って受精する。卵子の受精能は排卵後およそ24時間と短いため、受精は排卵当日から翌日に起こる。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、卵管内を子宮へ運ばれる。桑実胚から胚盤胞の段階で子宮腔に到達し、受精後6〜7日ごろに子宮内膜への着床を始める。着床の完了は受精後12日前後である。 【妊娠週数の数え方】妊娠週数は、最終月経の開始日を妊娠0週0日として満で数える。月経周期が28日なら排卵・受精は2週0日ごろ、着床は3週台にあたる。分娩時期は、早産(22週0日〜36週6日)、正期産(37週0日〜41週6日)、過期産(42週0日以降)に分けられる。22週未満で妊娠が終わった場合は流産である。 これらの定義を正確に覚えていれば、各選択肢の正誤は判断できる。
選択肢考察
- ×a. 着床は受精後2日目に起こる。
受精後2日目の受精卵は、まだ2〜4細胞程度の段階で卵管内にある。受精卵は3〜4日かけて卵管を移動し、子宮腔内で胚盤胞になる。そこから受精後6〜7日ごろに着床を始め、12日前後で完了する。一般には「着床は受精後約1週(7〜10日)」と覚えればよい。
- ×b. 子宮外妊娠では卵巣妊娠が最も多い。
子宮外妊娠(異所性妊娠)の大部分(約95%以上)は卵管妊娠である。卵管の中では受精の場である膨大部が最も多く、次いで峡部、卵管采、間質部の順となる。卵巣妊娠は数%以下とまれで、ほかに腹膜妊娠や頸管妊娠がある。
- ○c. 自然妊娠における流産率は10~15%である。
臨床的に確認された妊娠のうち、流産に終わるものは約10〜15%とされる。大部分は妊娠12週未満の早期流産で、その主な原因は胎児(胎芽)の染色体異常である。流産率は母体の年齢とともに上昇し、40歳以上では高率になる。なお、妊娠反応のみが陽性となり超音波で胎嚢が確認される前に終わる「生化学的妊娠」を含めると、妊娠が失われる割合はさらに高くなる。
- ×d. 妊娠36週6日の分娩は正期産である。
正期産は妊娠37週0日から41週6日までの分娩である。36週6日の分娩は早産(22週0日〜36週6日)に含まれる。とくに34〜36週の早産は後期早産と呼ばれ、新生児の呼吸障害や低血糖などに注意が必要である。
- ×e. 妊娠41週6日の分娩は過期産である。
過期産は妊娠42週0日以降の分娩をいう。41週6日はまだ正期産の範囲内である。ただし、41週を過ぎると胎盤機能の低下、羊水過少、胎便吸引症候群などのリスクが高まる。そのため、実臨床では41週台に分娩誘発を検討することが多い。
妊娠期間の区分
・流産:妊娠22週未満の妊娠終結。12週未満を早期流産、12週以降22週未満を後期流産という。 ・早産:22週0日〜36週6日 ・正期産:37週0日〜41週6日 ・過期産:42週0日以降 ・分娩予定日:40週0日(最終月経開始日から280日目)
異所性妊娠の部位別頻度(おおよそ)
・卵管妊娠:約95%以上(膨大部>峡部>采部>間質部) ・卵巣妊娠、腹膜妊娠、頸管妊娠:いずれもまれ ・危険因子:骨盤内炎症性疾患(クラミジア感染など)、卵管手術の既往、異所性妊娠の既往、生殖補助医療、子宮内避妊器具(IUD)使用中の妊娠など。 ・近年は帝王切開瘢痕部妊娠も注目されている。
流産
・早期流産の原因は胎児側の染色体異常(とくに常染色体トリソミー)が最多である。 ・2回連続する流産を反復流産、3回以上を習慣流産という。これらに流産・死産を繰り返す場合を含めた概念を不育症という。
POINT
・受精は卵管膨大部、着床は受精後約1週(6〜7日で開始し、約12日で完了)。 ・異所性妊娠の最多部位は卵管膨大部で、卵巣妊娠はまれである。 ・自然流産率は約10〜15%で、主な原因は胎児の染色体異常である。 ・早産は22週0日〜36週6日、正期産は37週0日〜41週6日、過期産は42週0日以降。
