StudyMed医師国家試験

着床は何日目?流産率は何%?―妊娠の「時間割」を正しく刻む

第104回医師国家試験 B問題 第39問

国試問題にチャレンジ

第104回 B問題 第39問

妊娠について正しいのはどれか。

  1. a.着床は受精後2日目に起こる。
  2. b.子宮外妊娠では卵巣妊娠が最も多い。
  3. c.自然妊娠における流産率は10~15%である。
  4. d.妊娠36週6日の分娩は正期産である。
  5. e.妊娠41週6日の分娩は過期産である。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、受精から分娩までの時間経過と、妊娠に関する数字や定義を確認する問題だ。着床のタイミング、異所性妊娠の好発部位、流産率、そして早産・正期産・過期産の境界線。どれも「なんとなく」覚えていると足をすくわれるところだから、一つずつ整理していこう。
医学生医学生
数字の問題は苦手です……。週数の境目が36週だったか37週だったか、いつも迷ってしまいます。
ドクタードクター
そこは後でしっかり固めよう。まずは受精と着床から。排卵された卵子はどこで受精するか覚えているかな。
医学生医学生
卵管膨大部です。発生学の講義で、受精卵が分裂しながら子宮へ運ばれていく図を描かされました。
ドクタードクター
その通り。卵子の受精能は排卵後およそ24時間しかないから、受精は排卵当日から翌日に起こる。受精卵は3〜4日かけて卵管を移動し、子宮腔で胚盤胞になってから、受精後6〜7日ごろに着床を始め、12日前後で完了する。受精後2日目だとまだ2〜4細胞くらいで、卵管の中にいる段階だ。
医学生医学生
じゃあ「着床は受精後2日目」は早すぎますね。だいたい1週間と覚えればいいですか。
ドクタードクター
それでいい。次は子宮外妊娠、いまは異所性妊娠と呼ぶことが多い。最も多い部位はどこだろう。
医学生医学生
名前に引っ張られて卵巣かなと一瞬思いましたが、卵管だった気がします。
ドクタードクター
正解は卵管で、異所性妊娠の約95%以上を占める。卵管の中でも受精の場である膨大部が最多で、峡部、采部、間質部と続く。卵巣妊娠は数%以下のまれなものだ。危険因子として、クラミジアなどによる骨盤内炎症性疾患や卵管手術の既往、生殖補助医療は押さえておこう。
医学生医学生
卵管が炎症で狭くなると、受精卵が子宮までたどり着けずに途中で着床してしまうんですね。
ドクタードクター
そういうイメージでいい。では流産率。臨床的に確認された妊娠のうち、流産に終わるのはどれくらいだと思う?
医学生医学生
産婦人科の実習で「意外と多いよ」と言われた記憶があります。10〜15%くらいでしょうか。
ドクタードクター
その通り、これが正解だ。大部分は妊娠12週未満の早期流産で、主な原因は胎児側の染色体異常、とくに常染色体トリソミーだ。母体年齢とともに流産率は上がり、40歳以上ではかなり高くなる。さらに、超音波で胎嚢が見える前に終わる生化学的妊娠まで含めると、妊娠が失われる割合はもっと高い。
医学生医学生
早期流産の多くは胎児側の問題なので、お母さんの行動のせいではない、と患者さんに説明できるのは大事ですね。
ドクタードクター
とても大切な視点だ。外来で自分を責めてしまう人は少なくないからね。最後に分娩時期の区分。妊娠週数は最終月経開始日を0週0日として満で数える。早産は22週0日から36週6日、正期産は37週0日から41週6日、過期産は42週0日以降だ。
医学生医学生
ということは、36週6日はまだ早産で、41週6日はぎりぎり正期産ですね。境目の1日前をわざと狙った選択肢だったんだ。
ドクタードクター
まさにそこが出題者の狙い。分娩予定日の40週0日を中心に、前後に「37週から42週の手前まで」が正期産と覚えるとぶれにくい。臨床的には、34〜36週の後期早産でも新生児の呼吸障害や低血糖に注意が必要だし、41週を過ぎると胎盤機能低下や羊水過少、胎便吸引症候群のリスクが上がるので、41週台で分娩誘発を検討することが多い。
医学生医学生
定義上は正期産でも、41週台は「そろそろ急ぐべき時期」という意識が必要なんですね。
ドクタードクター
そう。あわせて、流産は22週未満の妊娠終結で、12週未満を早期流産、それ以降を後期流産と呼ぶ。2回連続の流産を反復流産、3回以上を習慣流産といい、これらを含めて流産・死産を繰り返す状態を不育症という。数字の定義は国試だけでなく、診断書や母子手帳の記載でも毎日使う知識だよ。

まとめ

受精は卵管膨大部で起こり、受精卵は数日かけて子宮へ運ばれ、受精後6〜7日ごろに着床を始めて12日前後で完了します。異所性妊娠の95%以上は卵管妊娠(とくに膨大部)で、卵巣妊娠はまれです。臨床的に確認された妊娠の約10〜15%が流産に終わり、その多くは胎児の染色体異常による12週未満の早期流産で、母体年齢とともに頻度が上がります。分娩時期は早産(22週0日〜36週6日)、正期産(37週0日〜41週6日)、過期産(42週0日以降)に区分され、境界の1日前を問う出題に注意が必要です。これらの時間軸と数字を正確に押さえることは、妊婦健診での説明や分娩管理の判断の基礎になります。

解答・解説

正解はcです

妊娠の成立から分娩までの基本的な時間経過と、妊娠期間に関する定義を確認する問題である。 【受精から着床まで】排卵された卵子は卵管采に取り込まれ、卵管膨大部で精子と出会って受精する。卵子の受精能は排卵後およそ24時間と短いため、受精は排卵当日から翌日に起こる。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、卵管内を子宮へ運ばれる。桑実胚から胚盤胞の段階で子宮腔に到達し、受精後6〜7日ごろに子宮内膜への着床を始める。着床の完了は受精後12日前後である。 【妊娠週数の数え方】妊娠週数は、最終月経の開始日を妊娠0週0日として満で数える。月経周期が28日なら排卵・受精は2週0日ごろ、着床は3週台にあたる。分娩時期は、早産(22週0日〜36週6日)、正期産(37週0日〜41週6日)、過期産(42週0日以降)に分けられる。22週未満で妊娠が終わった場合は流産である。 これらの定義を正確に覚えていれば、各選択肢の正誤は判断できる。

選択肢考察

  1. ×a.  着床は受精後2日目に起こる。

    受精後2日目の受精卵は、まだ2〜4細胞程度の段階で卵管内にある。受精卵は3〜4日かけて卵管を移動し、子宮腔内で胚盤胞になる。そこから受精後6〜7日ごろに着床を始め、12日前後で完了する。一般には「着床は受精後約1週(7〜10日)」と覚えればよい。

  2. ×b.  子宮外妊娠では卵巣妊娠が最も多い。

    子宮外妊娠(異所性妊娠)の大部分(約95%以上)は卵管妊娠である。卵管の中では受精の場である膨大部が最も多く、次いで峡部、卵管采、間質部の順となる。卵巣妊娠は数%以下とまれで、ほかに腹膜妊娠や頸管妊娠がある。

  3. ○c.  自然妊娠における流産率は10~15%である。

    臨床的に確認された妊娠のうち、流産に終わるものは約10〜15%とされる。大部分は妊娠12週未満の早期流産で、その主な原因は胎児(胎芽)の染色体異常である。流産率は母体の年齢とともに上昇し、40歳以上では高率になる。なお、妊娠反応のみが陽性となり超音波で胎嚢が確認される前に終わる「生化学的妊娠」を含めると、妊娠が失われる割合はさらに高くなる。

  4. ×d.  妊娠36週6日の分娩は正期産である。

    正期産は妊娠37週0日から41週6日までの分娩である。36週6日の分娩は早産(22週0日〜36週6日)に含まれる。とくに34〜36週の早産は後期早産と呼ばれ、新生児の呼吸障害や低血糖などに注意が必要である。

  5. ×e.  妊娠41週6日の分娩は過期産である。

    過期産は妊娠42週0日以降の分娩をいう。41週6日はまだ正期産の範囲内である。ただし、41週を過ぎると胎盤機能の低下、羊水過少、胎便吸引症候群などのリスクが高まる。そのため、実臨床では41週台に分娩誘発を検討することが多い。

妊娠期間の区分

・流産:妊娠22週未満の妊娠終結。12週未満を早期流産、12週以降22週未満を後期流産という。 ・早産:22週0日〜36週6日 ・正期産:37週0日〜41週6日 ・過期産:42週0日以降 ・分娩予定日:40週0日(最終月経開始日から280日目)

異所性妊娠の部位別頻度(おおよそ)

・卵管妊娠:約95%以上(膨大部>峡部>采部>間質部) ・卵巣妊娠、腹膜妊娠、頸管妊娠:いずれもまれ ・危険因子:骨盤内炎症性疾患(クラミジア感染など)、卵管手術の既往、異所性妊娠の既往、生殖補助医療、子宮内避妊器具(IUD)使用中の妊娠など。 ・近年は帝王切開瘢痕部妊娠も注目されている。

流産

・早期流産の原因は胎児側の染色体異常(とくに常染色体トリソミー)が最多である。 ・2回連続する流産を反復流産、3回以上を習慣流産という。これらに流産・死産を繰り返す場合を含めた概念を不育症という。

POINT

・受精は卵管膨大部、着床は受精後約1週(6〜7日で開始し、約12日で完了)。 ・異所性妊娠の最多部位は卵管膨大部で、卵巣妊娠はまれである。 ・自然流産率は約10〜15%で、主な原因は胎児の染色体異常である。 ・早産は22週0日〜36週6日、正期産は37週0日〜41週6日、過期産は42週0日以降。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。