StudyMed医師国家試験

うぶ毛は「減って」大人になる―外表所見で読み解く新生児の成熟度

第102回医師国家試験 E問題 第18問

国試問題にチャレンジ

第102回 E問題 第18問

新生児の未成熟を示す徴候はどれか。

  1. a.皮膚が厚い。
  2. b.うぶ毛が多い。
  3. c.皮下脂肪が厚い。
  4. d.耳介軟骨が厚い。
  5. e.足底のしわが多い。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、新生児の外見から成熟度を判断する問題だ。ポイントは、それぞれの所見が在胎週数が進むにつれて「増えるのか、減るのか」を押さえているかどうか。ほとんどの所見は成熟とともに増えたり厚くなったりするけれど、逆の動きをするものが一つある。
医学生医学生
成熟度の評価というと、小児科の講義で出てきたDubowitz法やBallard法ですね。
ドクタードクター
そう。在胎週数がはっきりしないときや、発育が週数相当かを確かめたいときに、外表所見と神経学的所見を点数化して推定する方法だ。今はNew Ballard法がよく使われていて、皮膚、うぶ毛、足底、乳房、眼・耳、外性器が身体成熟度の項目に入っている。まず皮膚から考えてみよう。未熟な赤ちゃんの皮膚はどんなイメージかな。
医学生医学生
NICUを見学したとき、早産の赤ちゃんの皮膚がすごく薄くて赤くて、血管が透けて見えたのを覚えています。
ドクタードクター
いい観察だね。未熟児の皮膚は薄くてゼラチン様、血管が透けて見える。成熟するにつれて角質層が発達して厚くなり、血管は見えにくくなる。過期産に近づくと落屑やひび割れも出てくる。だから皮膚が厚いのは成熟の徴候だ。
医学生医学生
皮下脂肪も同じですよね。早産の子はやせていて、しわしわな感じでした。
ドクタードクター
その通り。皮下脂肪は妊娠末期の数週間で急速に蓄積するから、早産児は脂肪が乏しく、体温も保ちにくい。保育器が必要になる理由の一つだね。皮下脂肪が厚いのも成熟の徴候になる。
医学生医学生
耳介はどうでしょう。軟骨が厚い方が成熟、という理解でいいですか。
ドクタードクター
いいよ。未熟児の耳介は軟骨が乏しく薄くて柔らかいから、折り曲げても元に戻らなかったり、戻るのが遅かったりする。成熟すると軟骨がしっかりして、曲げてもすぐに跳ね返る。診察では実際に耳を軽く折って確かめるんだ。
医学生医学生
足底のしわは……正直、しわが多いと「未熟でくしゃっとしている」ようにも思えてしまいました。
ドクタードクター
そこは間違えやすいポイントだね。足底のしわは未熟児ではほとんどなく、まずつま先側に赤い線として現れて、成熟につれて踵の方へ広がっていく。正期産児では足底全体に深いしわがある。だから足底のしわが多いのは成熟の徴候なんだ。
医学生医学生
ということは、ここまでの選択肢は全部成熟側で、残るうぶ毛が答えですね。うぶ毛は生まれる前に抜けていくんでしたっけ。
ドクタードクター
正解。うぶ毛、つまり胎毛は妊娠20週ごろから全身に生えはじめ、妊娠後期の早い時期に最も多くなって、そこから正期産に向けて抜けていく。正期産児では肩や背中の上の方にわずかに残る程度だ。だから全身にうぶ毛が多いのは未成熟を示す所見になる。
医学生医学生
成熟とともに減るものを選ばせる問題だったんですね。
ドクタードクター
そういうこと。ただ一つ補足すると、おおむね妊娠24週未満の超早産児ではうぶ毛がまだ生えそろっておらず、むしろ少ないことがある。Ballard法でも、うぶ毛が「ない」のは最も未熟な側に置かれている。「少なければ必ず成熟」と決めつけないことも大事だね。
医学生医学生
国試的には「多い=未熟」でいいけれど、超早産では例外がある、と覚えておきます。ほかに未熟さを示す外表所見はありますか。
ドクタードクター
乳房では乳輪が平坦で乳腺組織をほとんど触れないこと、外性器では男児の精巣が未下降で陰嚢のしわが乏しいこと、女児では大陰唇が小さく小陰唇や陰核が目立つことが挙げられる。正期産児では精巣が陰嚢内に下降し、大陰唇が小陰唇と陰核を覆うようになる。
医学生医学生
成熟度を評価する意味は、在胎週数を推定するためだけですか。
ドクタードクター
それだけじゃない。推定した在胎週数と出生体重を照らし合わせることで、週数に比べて小さいのか大きいのかがわかる。そうすると低血糖や低体温、呼吸障害など、その子に起こりやすい問題を予測して先回りできる。臨床では、外表所見を見る目がそのまま新生児管理の第一歩になるんだ。

まとめ

新生児の成熟度はDubowitz法やNew Ballard法で外表所見と神経学的所見から評価し、皮膚の厚み、皮下脂肪、耳介軟骨、足底のしわ、乳腺組織は在胎週数が進むほど増加・発達します。一方、うぶ毛(胎毛)は妊娠後期の早い時期をピークに正期産へ向けて減少するため、全身にうぶ毛が多いことは未成熟の徴候です。ただし超早産児ではうぶ毛がまだ生えそろわず少ないこともあり、Ballard法でも「なし」は最も未熟な側に位置づけられています。各所見が「成熟とともに増えるか減るか」を整理しておくと迷わず判断でき、在胎週数と出生体重を合わせた評価は、低血糖や低体温など出生後のリスクを予測する新生児管理の基礎になります。

解答・解説

正解はbです

新生児がどの程度成熟しているか(在胎週数相当の発育を遂げているか)は、外表の特徴と神経学的所見から推定できる。臨床ではDubowitz法やその簡略版であるNew Ballard法が用いられ、皮膚、うぶ毛、足底のしわ、乳房、耳介、外性器といった外表所見が評価項目に含まれる。 外表所見は「在胎週数が進むにつれてどう変化するか」を押さえておけば判断できる。成熟に伴って増える・厚くなるものは、皮膚の厚み、皮下脂肪、耳介軟骨、足底のしわ、乳腺組織である。反対に、成熟に伴って減るものの代表がうぶ毛(胎毛、lanugo)で、正期産児では肩から背部上方などにわずかに残る程度になる。 本問は「未成熟を示す」所見を問うているので、成熟とともに減少する所見、すなわち「うぶ毛が多い」を選ぶ。その他の選択肢はいずれも成熟が進んだことを示す所見である。

選択肢考察

  1. ×a.  皮膚が厚い。

    誤り。未熟な新生児の皮膚は薄くゼラチン様で、赤みが強く、皮下の血管が透けて見える。成熟するにつれて角質層が発達して厚くなり、血管は見えにくくなる。正期産から過期産に近づくと、表皮の落屑や亀裂(ひび割れ)もみられる。皮膚が厚いのは成熟の徴候である。

  2. ○b.  うぶ毛が多い。

    正しい。うぶ毛(胎毛)は妊娠20週ごろから全身に生え、妊娠後期の早い時期に最も多くなり、その後は正期産に向けて徐々に抜けていく。正期産児では肩や背部上方に少し残るだけで、ほとんどない部分も多い。したがって全身にうぶ毛が多いことは未成熟の徴候である。なお、超早産児(おおむね妊娠24週未満)ではまだうぶ毛が生えそろっておらず、むしろ少ないことがある点も、Ballard法の評価で知っておくとよい。

  3. ×c.  皮下脂肪が厚い。

    誤り。皮下脂肪は妊娠後期、とくに妊娠末期の数週間に急速に蓄積する。そのため早産児は皮下脂肪が乏しく、皮膚にしわが寄ったやせた外観を示し、体温を保ちにくい。皮下脂肪が厚いことは成熟の徴候である。

  4. ×d.  耳介軟骨が厚い。

    誤り。未熟な新生児の耳介は軟骨の発達が乏しく、薄く軟らかい。折り曲げても元に戻らない、あるいは戻りが遅い。成熟するにつれて軟骨がしっかりして厚みを増し、耳介の辺縁は巻き込み、折り曲げてもすぐに跳ね返るようになる。耳介軟骨が厚いのは成熟の徴候である。

  5. ×e.  足底のしわが多い。

    誤り。足底のしわ(足底溝)は、未熟児ではほとんどみられず、まずつま先側(前方)に赤い線として現れる。成熟につれて踵の方向へ広がり、正期産児では足底全体に深いしわがみられる。足底のしわが多いことは成熟の徴候である。

成熟度評価法

・Dubowitz法: 神経学的所見(姿勢、関節の角度、筋緊張など)と外表所見を点数化し、合計点から在胎週数を推定する。 ・New Ballard法: Dubowitz法を簡略化した方法で、神経筋成熟度6項目と身体成熟度6項目(皮膚、うぶ毛、足底、乳房、眼・耳、外性器)で評価し、超早産児にも適用できるよう拡張されている。

成熟した新生児(正期産児)の外表所見

・皮膚: 厚みがあり、血管は透見されない。 ・うぶ毛: 肩から上腕、背部上方など一部にわずかに残る。 ・胎脂: 皮膚のしわの部分(関節屈曲部など)に少量残る程度。 ・爪: 指先まで達する。 ・乳房: 乳輪が隆起し、乳腺組織を触れる。 ・耳介: 軟骨がしっかりして、曲げてもすぐ元に戻る。 ・外性器: 男児では精巣が陰嚢内に下降し、陰嚢のしわが多い。女児では大陰唇が発達して小陰唇と陰核を覆う。 ・手足: 浮腫がなく、足底全体にしわがある。

未熟な新生児の外表所見

皮膚が薄く赤く血管が透けて見える、うぶ毛が多い、皮下脂肪が乏しい、耳介が軟らかい、乳腺組織をほとんど触れない、足底のしわが乏しい、精巣が未下降、大陰唇が小さく小陰唇・陰核が目立つ、などがみられる。

POINT

・成熟に伴い増加・肥厚するもの: 皮膚の厚み、皮下脂肪、耳介軟骨、足底のしわ、乳腺組織。 ・成熟に伴い減少するもの: うぶ毛(全身に多ければ未熟)、皮膚の血管透見。 ・在胎週数の推定にはDubowitz法、New Ballard法(外表所見+神経学的所見)を用いる。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。