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素手はどこに触れていい?―滅菌手袋装着の「内と外」を見抜く

第101回医師国家試験 C問題 第40問

国試問題にチャレンジ

第101回 C問題 第40問

清潔に手袋を装着する操作(①〜⑤)を示す。 適切でないのはどれか。

第101回 C問題 第40問の問題画像
  1. a.①
  2. b.②
  3. c.③
  4. d.④
  5. e.⑤

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、滅菌手袋を装着する一連の写真から、清潔操作として不適切な場面を選ぶ問題だ。見るべきポイントは2つだけ。「誰の手が」、つまり素手か手袋をした手かと、「手袋のどの面に」、内側か外側かに触れているか。この組み合わせを1枚ずつ確認していこう。
医学生医学生
OSCEの練習で何度もやりましたけど、写真で見せられると意外と判断に迷いますね。
ドクタードクター
実際に手を動かすのと、写真で判定するのとでは頭の使い方が違うからね。まず原則を言葉にしておこう。素手は手袋の内側、つまり皮膚に接する面にだけ触れてよい。手袋をした手は、もう一方の手袋の外側、つまり清潔面にだけ触れてよい。これが全部の基本だ。
医学生医学生
だから滅菌手袋はカフが外側に折り返された状態で包装されているんですね。
ドクタードクター
その通り。折り返された部分の表に見えている面は、装着後には皮膚側になる内面だ。だから素手でそこをつまんでも清潔面を汚さない。では最初の場面、包装紙を開くところはどうかな。
医学生医学生
包装紙の端を両手でつまんで左右に開いているだけで、手袋には触れていないので問題ないと思います。
ドクタードクター
そうだね。開いた包装紙の内面は清潔野として扱うから、端以外には触れないように開く。次の場面は、素手で片方の手袋の折り返しカフをつまんで持ち上げているところだ。
医学生医学生
折り返し部分は手袋の内面なので、素手で持ってよい場所ですね。
ドクタードクター
正しい。ここを持ったまま、もう一方の手を差し入れる。問題はその次の場面だ。手袋を引き上げるとき、素手の指がどこに触れているか注目してみよう。
医学生医学生
あ、素手の指が手袋の外側の表面に当たっています。早くはめようとして、つい引っぱってしまう動きですね。
ドクタードクター
そこが不適切な操作だ。清潔面に素手が触れた瞬間、その手袋は不潔になる。正しくは折り返し部分だけを持って手を差し入れ、カフは折り返したままにしておく。素手でカフを伸ばそうとしないことが大事だ。
医学生医学生
カフを伸ばしたくなる気持ち、すごくわかります。外科の実習で手洗いしたときも、指導医に止められました。
ドクタードクター
多くの人が一度はやるミスだね。では残りの2枚。手袋をした手の指を、2枚目の手袋の折り返しの内側に差し込んで持ち上げている場面と、そのまま素手を差し入れて引き上げを補助している場面だ。
医学生医学生
折り返しの内側に入っている面は、装着後に外側になる面だから清潔面ですよね。手袋同士が清潔面で触れているだけなので、どちらも問題なしです。
ドクタードクター
完璧だ。2枚目を着け終えたら、手袋をした手で2枚目の折り返しを伸ばし、最後に1枚目の折り返しも同じように清潔面同士で伸ばす。これで両手とも袖口まで覆われる。
医学生医学生
素手は内側、手袋の手は外側。この対応さえ守れば、どの写真も判定できるということですね。
ドクタードクター
そういうこと。臨床での注意点も押さえておこう。装着後は両手を腰より上、胸の高さに保ち、不潔なものに触れない。もし清潔面に素手が触れた、手袋が破れた、未滅菌物に触れたと気づいたら、迷わず交換する。
医学生医学生
もったいないと思ってそのまま使うのは、絶対にだめですね。
ドクタードクター
そう、感染対策では自己申告が何より大事だ。それから、手術室で滅菌ガウンを着る場面では、手を袖口から出さずに袖の中で手袋を着けるクローズド法が一般的だ。今回の写真はガウンを着ない場面で使うオープン法で、中心静脈カテーテル挿入や腰椎穿刺など病棟の処置でよく使う。どちらの方法でも、内と外の原則は共通だよ。

まとめ

滅菌手袋のオープン法による装着では、「素手は手袋の内面(折り返されたカフ)だけ、手袋をした手は手袋の外面(清潔面)だけに触れる」という原則がすべての判断基準になります。1枚目は素手で折り返し部分をつまんで装着し、カフは折り返したままにしておきます。2枚目は手袋をした指を折り返しの内側に入れて持ち上げ、装着後に手袋をした手で両方のカフを伸ばします。手袋を引き上げる際に素手の指が手袋の外表面に触れる操作は清潔面を汚染するため不適切であり、汚染に気づいたら手袋を交換します。この「内と外」の考え方は、手術室でのクローズド法や病棟での侵襲的処置にも共通する清潔操作の土台となります。

解答・解説

正解はcです

滅菌手袋を装着する手技(クローズド法ではない、いわゆるオープン法)の手順を写真で示し、清潔操作として不適切な場面を選ばせる問題である。 滅菌手袋の装着で守るべき原則は一つに集約できる。「素手は手袋の内側(皮膚に接する面、折り返されたカフの裏側)にだけ触れてよく、手袋の外側(清潔面)には触れてはならない。逆に、手袋を着けた手は他方の手袋の外側(清潔面)にだけ触れ、内側や素肌には触れない」というものである。このため滅菌手袋はカフ(袖口)が外側に折り返された状態で包装されており、素手は折り返し部分(=手袋の内面)をつまむことで清潔面に触れずに1枚目を装着できる。2枚目は、すでに手袋を着けた手の指を折り返しの内側(折り返しの外面=清潔面)に差し入れて持ち上げ、装着する。 各写真を見る際は、①誰の手(素手か手袋を着けた手か)が、②手袋のどの面(内側か外側か)に触れているか、の2点を確認すればよい。③では素手の手が手袋の外表面(清潔面)に触れてしまっているため、この操作が不適切である。

選択肢考察

  1. ×a.  ①

    適切。包装紙(内包)の外縁を両手でつまみ、左右に開いて手袋を露出させている。素手が触れているのは包装紙の端の部分だけで、中の手袋やその周囲の清潔な内面には触れていない。開いた包装紙の内面は清潔野として扱うため、端以外に触れないよう注意して開く。

  2. ×b.  ②

    適切。素手(左手)で一方の手袋の折り返されたカフ部分をつまんでいる。折り返し部分は手袋の内面(装着後は皮膚側となる面)であり、素手で触れてよい部位である。ここを持って手袋を持ち上げ、もう一方の手を差し入れる。

  3. ○c.  ③

    不適切(正解)。手袋を引き上げる際に、素手の指が手袋の外側表面、すなわち清潔面に触れてしまっている。素手で触れてよいのは折り返されたカフの内側部分だけであり、清潔面に素手が接触した時点でその手袋は不潔となる。正しくは折り返し部分を持ったまま手を差し入れ、カフは折り返したままにしておき(素手でカフを伸ばそうとしない)、2枚目を着けた後に手袋をした手で整える。

  4. ×d.  ④

    適切。手袋を装着した手の指を、残る手袋の折り返しの内側(折り返し部分の外面=清潔面)に差し込んで持ち上げている。清潔な手袋同士が接しているだけで、手袋をした手が素手や手袋の内面に触れることはないので問題ない。

  5. ×e.  ⑤

    適切。手袋を着けた手の指を2枚目のカフの折り返しの中に入れたまま、素手を手袋に差し入れ、引き上げるのを補助している。手袋をした手は清潔面同士でのみ接しており、素手の皮膚や手袋の内面に触れていない。このあと折り返しを伸ばして袖口にかぶせ、最後に1枚目の折り返しも手袋をした手で同様に伸ばす。

滅菌手袋装着(オープン法)の手順

1. 手指衛生(手術時は手術時手洗い)を行い、手を十分に乾燥させる。 2. 外装を開け、内包を清潔な台の上に置き、端だけを持って開く。 3. 素手で一方の手袋の折り返しカフ(内面)をつまみ、手を差し入れる。カフは折り返したままにする。 4. 手袋を着けた手の指を、もう一方の手袋の折り返しの内側(清潔面)に入れて持ち上げ、素手を差し入れる。 5. 手袋を着けた手で2枚目の折り返しを伸ばし、続いて1枚目の折り返しも清潔面同士で伸ばす。 6. 装着後は両手を腰より上・胸の高さに保ち、不潔なものに触れない。

清潔・不潔の考え方

・素手 ⇔ 手袋の内面: 接触可。 ・手袋をした手 ⇔ 手袋の外面: 接触可。 ・素手 ⇔ 手袋の外面、手袋をした手 ⇔ 素肌・手袋内面・未滅菌物: 接触不可。

クローズド法

手術室で滅菌ガウンを着用する場合は、手をガウンの袖口から出さずに袖の中で手袋を装着するクローズド法が一般的であり、素手が手袋に触れる機会がさらに少ない。

不潔になった場合

清潔面に素手が触れた、あるいは手袋が破れた・不潔物に触れた場合は、その手袋を交換する。

POINT

・素手は手袋の内面(折り返しカフ)だけ、手袋をした手は手袋の外面だけに触れる。 ・1枚目は素手で折り返し部分を持って装着し、カフは折り返したままにする。 ・2枚目は手袋をした指を折り返しの内側(清潔面)に入れて装着する。 ・清潔面に素手が触れたら、その手袋は不潔として交換する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。