StudyMed医師国家試験

乳歯は20本、始まりは下の前歯から―数字で押さえる歯の萌出

第108回医師国家試験 G問題 第15問

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第108回 G問題 第15問

乳歯について正しいのはどれか。

  1. a.32本である。
  2. b.臼歯から生え始める。
  3. c.5~6歳で生え終わる。
  4. d.生後6~8か月から生え始める。
  5. e.10歳ころから永久歯に生え替わり始める。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は乳歯の基本を問う問題だ。歯の生え方は乳幼児健診でも使われる発育の目安で、「何本あるか」「いつ、どの歯から生え始めるか」「いつ生えそろうか」「いつ永久歯に替わり始めるか」の4点を整理しておけば迷わない。まず本数から確認しよう。乳歯は何本かな。
医学生医学生
大人の歯が32本なので、乳歯はそれより少ないはず……たしか20本でしたよね。
ドクタードクター
その通り。32本は親知らず(第三大臼歯)まで含めた永久歯の本数だ。乳歯は片顎あたり乳切歯4本、乳犬歯2本、乳臼歯4本の計10本で、上下あわせて20本になる。
医学生医学生
永久歯にある小臼歯は、乳歯にはないんですか。
ドクタードクター
いいところに気づいたね。乳歯列には小臼歯がなく、代わりに乳臼歯がある。乳臼歯が抜けたあと、その位置に永久歯の小臼歯が生えてくるんだ。大臼歯は乳歯列の後ろに新たに生え足されるイメージだよ。
医学生医学生
解剖学の講義で歯式を書かされたとき、乳歯と永久歯をごっちゃにして減点されたのを思い出しました。
ドクタードクター
よくある混乱だね。では生え始めの時期と順番はどうだろう。
医学生医学生
奥歯からだと噛めるので便利そうですが……臼歯から生え始めるのではないですか。
ドクタードクター
そこが引っかけだ。乳歯は生後6〜8か月ころ、下顎の乳中切歯、つまり下の前歯から生え始める。続いて上の乳中切歯、乳側切歯、第一乳臼歯、乳犬歯、第二乳臼歯の順に生えていく。臼歯は乳歯の中では遅いほうで、第一乳臼歯が1歳〜1歳半、第二乳臼歯は2〜3歳ころだ。
医学生医学生
乳犬歯が第一乳臼歯より後なんですね。前から順番に並んでいないのが意外です。
ドクタードクター
そう、そこは狙われやすいポイントだ。なお、永久歯では第一大臼歯、いわゆる6歳臼歯が最初に生えることが多い。「臼歯から」というのは永久歯の話と混同しやすいので注意しよう。
医学生医学生
生えそろうのはいつごろですか。5〜6歳くらいでしょうか。
ドクタードクター
乳歯は2歳半〜3歳ころまでに20本すべてそろう。5〜6歳はむしろ次の段階で、6歳前後に第一大臼歯が乳歯列の奥に生え、同じころ下顎の中切歯から永久歯への生え替わりが始まるんだ。
医学生医学生
ということは、10歳ころから生え替わり始めるというのも遅すぎますね。小児科の臨床実習で、小学1年生くらいの子の前歯が抜けていたのを見ました。
ドクタードクター
まさにそれが典型像だね。10〜12歳ころは乳犬歯や乳臼歯が犬歯・小臼歯に替わる時期で、12〜13歳ころに第二大臼歯が生えて、親知らずを除く28本がそろう。だから正しいのは「生後6〜8か月から生え始める」だ。
医学生医学生
整理すると、6〜8か月で下の前歯から生え始め、3歳ころまでに20本そろい、6歳前後で6歳臼歯と生え替わりが始まる、という流れですね。
ドクタードクター
完璧だ。臨床での注意点も押さえておこう。生え始めの時期は個人差が大きく、3〜4か月で生える子もいれば1歳近くまで生えない子もいる。ただ、1歳を過ぎても1本も生えない場合は萌出遅延として、甲状腺機能低下症、くる病、下垂体機能低下症、鎖骨頭蓋異形成症、Down症候群などの全身性疾患がないかを考える必要がある。
医学生医学生
逆に、生まれたときから歯が生えていることもあるんですか。
ドクタードクター
あるよ。先天歯や出産歯と呼ばれ、哺乳のたびに舌の裏がこすれて潰瘍をつくるRiga-Fede病の原因になることがある。歯の萌出は骨年齢や大泉門の閉鎖、身長・体重の推移と並ぶ発育評価の材料だから、数字をセットで覚えておくと健診の場で役立つよ。

まとめ

乳歯は片顎あたり乳切歯4本・乳犬歯2本・乳臼歯4本の上下計20本で、小臼歯はありません。生後6〜8か月ころに下顎乳中切歯から生え始め、乳犬歯は第一乳臼歯より後に生え、2歳半〜3歳ころまでに20本がそろいます。6歳前後に第一大臼歯(6歳臼歯)が萌出し、下顎中切歯から永久歯への生え替わりが始まり、親知らずを含めると永久歯は32本になります。1歳を過ぎても歯が生えない場合は、甲状腺機能低下症やくる病などの全身性疾患による萌出遅延を考えます。歯の萌出時期は乳幼児健診で発育を評価する身近な指標であり、数字を正確に押さえることが小児診療の基礎になります。

解答・解説

正解はdです

歯の生え方(萌出)は、乳幼児の発育を評価する目安の一つであり、「何本か」「いつ、どの歯から生え始めるか」「いつ生えそろうか」「いつ永久歯に替わり始めるか」の4点を押さえておけばよい。 乳歯は上下あわせて20本で、生後6〜8か月ころに下顎の乳中切歯(下の前歯)から生え始める。その後、上顎の乳中切歯、乳側切歯、第一乳臼歯、乳犬歯、第二乳臼歯の順に生え、2歳半〜3歳ころまでに20本すべてが生えそろう。6歳前後になると、第一大臼歯(いわゆる6歳臼歯)が乳歯列の奥に生え、同じころから下顎の中切歯を皮切りに乳歯が永久歯に生え替わり始める。永久歯は第三大臼歯(親知らず)を除いて12〜13歳ころに生えそろい、親知らずを含めると32本となる。 これらの数字を覚えておけば、選択肢の正誤は数や時期を照らし合わせるだけで判断できる。

選択肢考察

  1. ×a.  32本である。

    32本は第三大臼歯を含めた永久歯の本数である。乳歯は上下それぞれ、乳切歯4本(乳中切歯2本、乳側切歯2本)、乳犬歯2本、乳臼歯4本(第一乳臼歯2本、第二乳臼歯2本)の計10本で、上下あわせて20本である。乳歯列には小臼歯(premolar)はなく、乳臼歯が抜けた後にその位置へ永久歯の小臼歯が生えてくる。

  2. ×b.  臼歯から生え始める。

    乳歯は前歯である下顎の乳中切歯から生え始め、上顎の乳中切歯が続く。第一乳臼歯が生えるのは1歳〜1歳半ころ、第二乳臼歯は2〜3歳ころであり、臼歯は乳歯の中では遅い時期に生える。なお、永久歯では第一大臼歯(6歳臼歯)が最初に生えることが多いので、乳歯と混同しないように注意する。

  3. ×c.  5~6歳で生え終わる。

    乳歯は2歳半〜3歳ころまでに20本すべて生えそろう。5〜6歳は、第一大臼歯が生え、乳歯が永久歯に生え替わり始める時期にあたる。

  4. ○d.  生後6~8か月から生え始める。

    乳歯は生後6〜8か月ころ、下顎の乳中切歯から生え始める。生え始める時期には個人差が大きく、生後3〜4か月で生える子もいれば、1歳近くまで生えない子もいる。1歳を過ぎても1本も生えない場合は萌出遅延として、甲状腺機能低下症、くる病、下垂体機能低下症、鎖骨頭蓋異形成症などの全身性疾患がないかを考える。

  5. ×e.  10歳ころから永久歯に生え替わり始める。

    乳歯から永久歯への生え替わりは6歳前後に始まり、多くは下顎の中切歯から抜け替わる。同じころに第一大臼歯も生えてくる。10〜12歳ころは乳犬歯や乳臼歯が犬歯・小臼歯に替わる時期で、12〜13歳ころに第二大臼歯が生えて、第三大臼歯以外の永久歯28本がそろう。

乳歯の萌出時期の目安

・乳中切歯:生後6〜10か月(下顎が先) ・乳側切歯:生後9か月〜1歳ころ ・第一乳臼歯:1歳〜1歳半ころ ・乳犬歯:1歳半ころ ・第二乳臼歯:2〜3歳ころ ※乳犬歯は第一乳臼歯より後に生える点が特徴的である。

歯の本数と構成(片顎あたり)

・乳歯(計20本):乳切歯4本、乳犬歯2本、乳臼歯4本 ・永久歯(計32本):切歯4本、犬歯2本、小臼歯4本、大臼歯6本(第三大臼歯を含む)

永久歯の萌出

6歳前後に第一大臼歯と下顎中切歯が生え、その後、切歯→犬歯・小臼歯の順に生え替わる。12〜13歳ころに第二大臼歯が生えて28本がそろう。第三大臼歯(親知らず)は10歳代後半〜20歳代前半に生えるが、生えない人や埋伏したままの人も多い。

萌出の異常

・早期萌出:出生時にすでに生えている歯(先天歯・出産歯)がみられることがあり、哺乳時の舌の裏の潰瘍(Riga-Fede病)の原因となる。 ・萌出遅延:甲状腺機能低下症(クレチン症)、くる病、下垂体機能低下症、Down症候群、鎖骨頭蓋異形成症などでみられる。

その他の発達の目安

小児の発育評価では、歯の萌出のほかに、骨年齢(手のX線写真で手根骨などの骨化の程度をみる)、大泉門の閉鎖時期(1歳半ころまで)、身長・体重の推移なども用いられる。

POINT

・乳歯は上下あわせて20本(片顎:乳切歯4、乳犬歯2、乳臼歯4)。乳歯には小臼歯がない。 ・生後6〜8か月ころ、下顎乳中切歯から生え始める。 ・2歳半〜3歳ころまでに生えそろう。 ・6歳前後に第一大臼歯(6歳臼歯)が生え、永久歯への生え替わりが始まる。 ・永久歯は32本(親知らずを除けば28本で、12〜13歳ころにそろう)。 ・1歳を過ぎても歯が生えないときは、甲状腺機能低下症などの全身性疾患を考える。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。