子どもの相談はここに集まる―児童相談所の守備範囲と「生活保護」の窓口
第107回医師国家試験 F問題 第2問
国試問題にチャレンジ
児童相談所の業務の対象でないのはどれか。
- a.虐待
- b.非行
- c.不登校
- d.生活保護
- e.心身障害
対話形式の解説
ドクター
医学生
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医学生
ドクター
医学生
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医学生
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ドクターまとめ
児童相談所は児童福祉法にもとづき、18歳未満の子どもとその家庭の相談に応じる専門機関で、都道府県と政令指定都市に設置が義務づけられています。受ける相談は養護(虐待を含む)、保健、障害、非行(虞犯・触法)、育成(不登校・しつけなど)の5つに整理され、虐待・非行・不登校・心身障害はいずれも業務の対象です。一方、生活保護は生活保護法にもとづき福祉事務所が世帯単位で実施する制度であり、子どもが受給世帯に含まれることはあっても児童相談所の業務ではありません。保健所・市町村保健センター・福祉事務所・家庭裁判所との役割分担を押さえておくと、虐待の通告先や困窮世帯の支援など、臨床で子どもと家庭を適切な機関につなぐ判断に役立ちます。
解答・解説
正解はdです
児童相談所は、児童福祉法にもとづいて設置される、子ども(18歳未満の児童)に関する相談・支援の専門機関である。都道府県と政令指定都市には設置が義務づけられており、中核市や東京都の特別区も設置することができる。家庭などから寄せられる子どもに関するあらゆる相談に応じ、調査・診断(社会診断、心理診断、医学診断、行動診断)を行ったうえで、助言・指導、児童福祉施設への入所措置や里親委託、一時保護などの援助を行う。 児童相談所が受け付ける相談は、おおむね次の5種類に整理されている。 ・養護相談:保護者の病気・家出・離婚・死亡などによる養育困難、児童虐待など ・保健相談:未熟児、虚弱児、小児喘息など一般的な健康管理に関する相談 ・障害相談:肢体不自由、視聴覚障害、言語発達障害、重症心身障害、知的障害、自閉スペクトラム症(発達障害)など ・非行相談:虞犯(ぐはん)行為、触法行為など ・育成相談:性格・行動上の問題、しつけ、不登校、進学・適性など したがって、本問は「子どもの福祉に関する相談」に当たらないもの、つまり別の機関が所管する業務を選べばよい。生活保護は生活保護法にもとづき、福祉事務所が世帯単位で実施する制度であり、児童相談所の業務ではない。
選択肢考察
- ×a. 虐待
児童虐待は養護相談に含まれ、児童相談所の中心的な業務である。児童虐待防止法(児童虐待の防止等に関する法律)により、虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、市町村・福祉事務所または児童相談所へ通告する義務を負う(医師などには守秘義務より通告義務が優先される)。児童相談所は通告を受けると安全確認を行い、必要に応じて一時保護、立入調査、施設入所措置や里親委託などを行う。全国共通の相談ダイヤル「189(いちはやく)」も児童相談所につながる。
- ×b. 非行
非行は非行相談として扱われ、児童相談所の業務に含まれる。対象には、将来罪を犯すおそれのある虞犯行為(家出、不良交友など)や、14歳未満の児童が刑罰法令に触れる行為をした触法行為が含まれる。とくに14歳未満の触法少年は刑事責任を問われないため、警察からの通告を受けて児童相談所が対応し、必要に応じて児童自立支援施設への入所措置や家庭裁判所への送致を行う。
- ×c. 不登校
不登校は育成相談に分類され、児童相談所の業務に含まれる。育成相談では、不登校のほか、性格や行動上の問題、しつけ、進学・適性などの相談にも応じ、児童心理司による心理面接や、保護者への助言などを行う。学校や教育委員会の教育相談とも連携して対応する。
- ○d. 生活保護
生活保護は、生活保護法にもとづいて生活に困窮する人に最低限度の生活を保障し、自立を助ける制度であり、実施機関は福祉事務所(都道府県・市などが設置)である。保護は原則として世帯単位で行われるため、子どもが受給世帯の一員として保護の対象に含まれることはあるが、申請の受付・調査・決定・給付といった業務は福祉事務所が担い、児童相談所の業務ではない。したがって、これが児童相談所の業務の対象でないものである。なお、生活困窮が養育困難や虐待の背景にある場合は、児童相談所と福祉事務所が連携して支援にあたる。
- ×e. 心身障害
心身障害は障害相談として扱われ、児童相談所の業務に含まれる。肢体不自由、視覚・聴覚障害、言語発達の遅れ、重症心身障害、知的障害(知的能力障害)、自閉スペクトラム症などが対象である。児童相談所は知的障害児の判定を行い、療育手帳の交付に関わるほか、障害児入所施設への入所などの手続きにも関与する。
児童相談所の概要
・根拠法:児童福祉法 ・設置主体:都道府県・政令指定都市(義務)、中核市・特別区(任意) ・対象:18歳未満の児童とその家庭 ・主な機能:相談、調査・判定(診断)、指導、措置(児童福祉施設入所・里親委託など)、一時保護 ・主な職員:児童福祉司(ソーシャルワーカー)、児童心理司、医師(精神科医・小児科医)、保健師、弁護士など。所長は医師である必要はない
似た機関との区別
・福祉事務所:社会福祉法にもとづく。生活保護法など福祉六法(生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法)に関する援護・育成・更生の措置を行う。生活保護の実施機関である ・保健所:地域保健法にもとづく。感染症対策、精神保健、難病対策、食品衛生など、広域的・専門的な保健業務を担う ・市町村保健センター:母子健康手帳の交付、乳幼児健診、予防接種など、住民に身近な保健サービスを担う ・家庭裁判所:少年事件(14歳以上の犯罪少年など)の審判を行う
子どもの年齢による非行の扱い
・14歳未満で刑罰法令に触れた触法少年:刑事責任を問われず、主に児童相談所が対応する ・14歳以上20歳未満の犯罪少年:家庭裁判所に送致される
POINT
・児童相談所は児童福祉法にもとづき、18歳未満の子どもの相談に応じる専門機関 ・相談の5分類:養護(虐待を含む)、保健、障害、非行、育成(不登校・しつけなど) ・生活保護は生活保護法にもとづき福祉事務所が実施する業務であり、児童相談所の業務ではない ・虐待の通告先は市町村・福祉事務所・児童相談所
