StudyMed医師国家試験

10か月の赤ちゃんは何ができる?―つかまり立ちと人見知りで読み解く発達マイルストーン

第101回医師国家試験 B問題 第54問

国試問題にチャレンジ

第101回 B問題 第54問

10か月の乳児でみられるのはどれか。2つ選べ。

  1. a.人見知りをする。
  2. b.積木を2つ重ねる。
  3. c.つかまり立ちをする。
  4. d.意味のある単語を言う。
  5. e.他の子どもに興味を示す。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は乳児の発達の目安、いわゆるマイルストーンを問う問題だ。ポイントは、発達を粗大運動、微細運動、言語、社会性の4つの領域に分けて、それぞれ10か月時点でどこまで到達しているかを考えること。選択肢もちょうどこの領域に散らばっているよ。
医学生医学生
月齢と発達の対応は、小児科の講義で表を丸暗記しようとして挫折した分野です……。
ドクタードクター
丸暗記より、順番の流れで覚えるほうが確実だよ。まず粗大運動から。首すわりが3〜4か月、寝返りが5〜6か月、お座りが7か月前後、はいはいが8〜9か月、そのあとは?
医学生医学生
つかまり立ちが9〜10か月、伝い歩きが10〜11か月、ひとり歩きが1歳ごろですね。だとすると10か月でつかまり立ちは標準的です。
ドクタードクター
正解。粗大運動は頭のほうから下肢へ向かって発達していくから、首、体幹、足の順に支えられるようになる、とイメージするといい。これが正しい選択肢の一つだ。次に社会性。人見知りはいつごろ始まるかな。
医学生医学生
6か月くらいからだったと思います。でも、知らない人を嫌がるのは発達としてはマイナスのように感じてしまいます。
ドクタードクター
そこはよくある誤解だね。人見知りは、いつも世話をしてくれる養育者と見知らぬ人を区別できるようになった証拠なんだ。6〜8か月ごろに始まり、10か月前後で最も強くなる。養育者との愛着、アタッチメントが形成されていることを示す、正常な社会的発達の指標だ。これがもう一つの正解になる。
医学生医学生
小児科の実習で、10か月健診の子を診察しようとしたら大泣きされたのは、順調に育っている証拠だったんですね。
ドクタードクター
そう考えていい。むしろ全く人見知りしないことがあれば、ほかの発達面と合わせて見ていく必要がある。では、積木を2つ重ねるのはどうだろう。
医学生医学生
手先の器用さの問題ですよね。10か月だと物をつかむのはできそうなので、重ねるのもいけそうな気がします。
ドクタードクター
そこが引っかけなんだ。積木を重ねるには、つまんで、目的の位置まで運んで、そっと指を離すという協調運動が必要で、できるのは1歳〜1歳半ごろ。10か月ごろは積木を両手に持って打ち合わせたり、親指と人差し指で小さな物をつまみ始めたりする段階だ。積む個数は1歳半で3個前後、2歳で5〜6個が目安になる。
医学生医学生
「つかむ」と「置いて離す」は別の能力なんですね。意味のある単語はどうですか。「マンマ」くらいなら言えそうですが。
ドクタードクター
いいところに気づいたね。10か月ごろの「マンマ」「ダダダ」は、多くは特定の対象を指していない喃語なんだ。喃語は6か月ごろから出て10か月ごろに盛んになる。特定のものを指して「ママ」「ワンワン」と言う有意語、つまり初語は1歳前後が目安だ。1歳6か月になっても有意語が数語も出なければ、言語発達の評価を考える。
医学生医学生
最後の、他の子どもに興味を示すのは、人見知りと同じ社会性ですよね。
ドクタードクター
そう。同年代の子に自分から近づいたり、じっと様子を見たりするのは1歳過ぎ、おおむね1歳3か月〜1歳半ごろだ。10か月の対人関係は養育者が中心で、知らない相手にはむしろ人見知りをする時期だから、方向性が逆なんだよ。他の子と一緒に関わって遊ぶのは、さらに先の2〜3歳以降になる。
医学生医学生
10か月は「養育者を特別視して、つかまって立ち上がる時期」で、単語や積木、他の子への関心は1歳を越えてから、と整理すると分かりやすいです。
ドクタードクター
とてもいいまとめだ。臨床では、乳幼児健康診査がこの知識を使う場面になる。3〜4か月、9〜10か月、1歳6か月、3歳などの健診で、月齢ごとの到達目安を確認して、遅れがあれば経過観察や精査につなげるんだ。
医学生医学生
1つの領域だけ遅れているのか、全体的に遅れているのかでも考え方が変わりそうですね。
ドクタードクター
その視点は大切だね。言語だけが遅れていれば聴覚障害の確認が欠かせないし、全般的な遅れなら中枢神経系の評価を考える。ただし発達には個人差が大きく、目安には幅があるから、1回の所見だけで決めつけず、経過で判断することも忘れないでほしい。

まとめ

乳児の発達は、粗大運動・微細運動・言語・社会性の領域ごとに月齢と対応させて整理すると判断しやすくなります。10か月児では、お座りやはいはいに加えてつかまり立ちができ、養育者との愛着形成を反映して人見知りが最も強くなります。一方、積木を2つ重ねる(1歳〜1歳半)、意味のある単語を話す(1歳前後)、他の子どもに興味を示す(1歳3か月〜1歳半ごろ)は、いずれも1歳以降に獲得されるのが標準的です。10か月ごろの「マンマ」などは多くが喃語であり、有意語との区別が重要です。こうしたマイルストーンの知識は乳幼児健診で発達の遅れに気づくための基本であり、個人差の幅も踏まえて経過で評価する姿勢が求められます。

解答・解説

正解はa, cです

乳幼児の発達の目安(マイルストーン)を月齢と結びつけて覚えているかを問う一般問題である(2つ選ぶ)。 発達は、粗大運動(姿勢・移動)、微細運動(手先の操作)、言語、社会性(対人関係)の各領域に分けて整理すると判断しやすい。10か月児の到達目安は次のとおりである。 ・粗大運動:一人で安定して座る(お座り)、はいはいをする、つかまり立ちをする。伝い歩きを始める子もいる。 ・微細運動:親指と人差し指で小さな物をつまむ(ピンセットつまみの始まり)。 ・言語:「マンマ」「ダダ」などの喃語(なんご)を盛んに発するが、意味のある単語はまだ出ないことが多い。 ・社会性:人見知りがはっきりしており、バイバイや拍手などの模倣が始まる。 選択肢のうち、積木を2つ重ねる(微細運動)、意味のある単語を言う(言語)、他の子どもに興味を示す(社会性)は、いずれも1歳以降に獲得されるのが標準的である。したがって10か月児でみられるのは「人見知り」と「つかまり立ち」である。

選択肢考察

  1. ○a.  人見知りをする。

    正しい。人見知りは、身近な養育者と見知らぬ人とを区別できるようになった結果として現れる行動で、生後6〜8か月ごろに始まり、10か月前後で最も強くなる。養育者との愛着(アタッチメント)が形成されていることを示す、正常な社会的発達の指標である。

  2. ×b.  積木を2つ重ねる。

    誤り。積木を2つ重ねるには、物をつまんで目的の位置に置き、指を離すという手の協調運動が必要で、1歳〜1歳半ごろにできるようになる。10か月ごろは積木を両手に持って打ち合わせたり、親指と人差し指で小さな物をつまんだりする段階である。なお、積木を積む個数は年齢とともに増え、1歳半で3個前後、2歳で5〜6個程度が目安となる。

  3. ○c.  つかまり立ちをする。

    正しい。粗大運動は頭部から下肢へ向かって発達し、首すわり(3〜4か月)→寝返り(5〜6か月)→お座り(7か月前後)→はいはい(8〜9か月)→つかまり立ち(9〜10か月)→伝い歩き(10〜11か月)→ひとり立ち・ひとり歩き(1歳〜1歳3か月)の順に進む。10か月児がつかまり立ちをするのは標準的な発達である。

  4. ×d.  意味のある単語を言う。

    誤り。「ママ」「ワンワン」など、特定の対象を指して意味のある単語(有意語、初語)を話すようになるのは1歳前後である。10か月ごろは「マンマ」「ダダダ」のような喃語を盛んに発し、大人の言葉や身振りをまねし始める段階であり、まだ有意語は出ないのが一般的である。1歳6か月で有意語が数語もない場合は言語発達の遅れとして評価を考える。

  5. ×e.  他の子どもに興味を示す。

    誤り。同年代の子どもに関心を持ち、自分から近づいて触れたり、じっと様子を見たりするようになるのは1歳過ぎ(おおむね1歳3か月〜1歳半ごろ)である。10か月ごろの対人関係は主に養育者との関係が中心であり、見知らぬ人に対してはむしろ人見知りを示す時期である。なお、他児と関わりながら遊ぶ(並行遊び→協同遊び)のはさらに後の2〜3歳以降である。

粗大運動の発達の目安

・首すわり:3〜4か月 ・寝返り:5〜6か月 ・お座り(ひとり座り):6〜7か月(10か月ではほぼ全員が安定) ・はいはい:8〜9か月 ・つかまり立ち:9〜10か月 ・伝い歩き:10〜11か月 ・ひとり歩き:1歳〜1歳3か月 ・走る:1歳半ごろ、両足跳び:2歳ごろ、片足立ち:3歳ごろ

微細運動の発達の目安

・物に手を伸ばしてつかむ:5か月ごろ ・持ちかえ:6〜7か月 ・親指と人差し指でつまむ:9〜10か月 ・積木を2つ積む:1歳〜1歳半 ・なぐり書き:1歳〜1歳半 ・丸を描く:3歳、十字を描く:4歳、四角を描く:4〜5歳、三角を描く:5〜6歳

言語の発達の目安

・クーイング:2〜3か月 ・喃語:6か月ごろから、10か月ごろに盛ん ・有意語(初語):1歳前後 ・二語文:2歳ごろ

社会性の発達の目安

・社会的微笑(あやすと笑う):2〜3か月 ・人見知り:6〜8か月に始まり、10か月ごろ最も強い ・バイバイ・拍手などの模倣:9〜10か月 ・他児への興味:1歳過ぎ〜1歳半

乳幼児健診との関連

乳幼児健康診査(3〜4か月、9〜10か月、1歳6か月、3歳など)では、上記の発達の目安を確認し、遅れがあれば経過観察や精査につなげる。

POINT

・10か月児:ひとり座り、はいはい、つかまり立ち、人見知り(最も強い時期)、喃語、指でつまむ。 ・1歳前後:ひとり歩き、有意語(初語)。 ・1歳〜1歳半:積木を2つ重ねる、他の子どもに興味を示す。 ・発達は運動(粗大・微細)、言語、社会性の領域ごとに月齢と対応させて覚える。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。